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Snow Manの続く快進撃、なぜハマる?  長かった下積み時代からの“ドラマ”が根底に

  • 9月29日リリースのアルバム『Snow Mania S1』のリード曲「EVOLUTION」の再生数は606万回を超えている

    9月29日リリースのアルバム『Snow Mania S1』のリード曲「EVOLUTION」の再生数は606万回を超えている

 ここ最近、NiziUやTHE FIRSTなどオーデイション番組出身のグループに人気・注目が集まる傾向があるが、そんな中、異例の“孤軍奮闘”をしているのがSnow Manだ。グループ活動開始は2012年、シングルデビューは後輩グループに先を越され悔しい思いをしながらも、2020年にデビューを果たした。今年6月発表のオリコン上半期ランキング 2021 アーティスト別セールス部門 トータルランキングでは1位を獲得。さらに最新シングル『HELLO HELLO』は今年度最高となる初週売上80.6万枚を記録するなど、CD売り上げ枚数は近年の男性グループアーティストの中でも跳び抜けており、さらに『それSnow Manにやらせて下さい』(TBS系)という冠番組まで持ち、2022年春公開の映画『おそ松さん』では主演にも抜擢された。ここにきて彼らが快進撃を続ける理由とは、いったいどこにあるのだろうか?

3人のメンバー増員、葛藤と苦悩…デビュー当初からドラマ性を帯びている

 Snow Manがここまでたどり着くには、多くの紆余曲折・苦難に満ちた“ドラマ”があった。2009年、前身ユニット・Mis Snow Manが結成され、2010年には『滝沢歌舞伎 -TAKIZAWA KABUKI-』などで本格的に活動開始し、2012年に正式にSnow Manと名づけられる。当時のジャニーズJr.時代は6人組、“職人集団”といわれるほどアクロバティックなパフォーマンスに長け、多くの先輩からライブのバックダンサーとして帯同を望まれるほどの実力派だった。

 しかし、なかなかデビューの機会に恵まれず、Hey! Say! JUMPの山田涼介と同期のメンバーがいるくらい活動歴も長く、後輩グループ(Sexy ZoneやKing & Prince)のデビューを見守る立場を余儀なくされる。実際、滝沢歌舞伎など舞台の活躍も目立っていたため、このままデビューはせずに舞台中心に活躍していくのか? とのファンたちの声も多かった。

 2019年、新メンバー3名(向井康二、目黒蓮、ラウール)が加入。向井は関西ジャニーズJr.(2006年入所)からの移籍組で、関西Jr.で作られたユニットには入らず上京。目黒も「宇宙Six」というJr.のユニットで活動していたが、脱退して正式加入。新メンバーは“職人集団”として確立されていた6人組に加わるプレッシャーもあったはずだ。

 そもそも元々のメンバーも含め、皆が皆“デビューできないのでは?”“器量不足ではないか?”など、さまざまな苦悩の感情を持っていたグループといっていいかもしれない。

ジャニーズが築き上げてきた“キャラ”を網羅する個性に共演者からの評価も


 しかし逆にいえば、Snow Manというグループはメンバーそれぞれが苦労をしてきただけに、プロとして“個々の役割”が細分化され、バラエティ・ドラマ・音楽番組すべてにおいて立ち回ることができるともいえる。最近話題のリーダー・岩本照はダンスパフォーマンスに優れ、グループの振付もしており、今回発売するアルバム『Snow Mania S1』の収録曲「EVOLUTION」でも振付を担当。YouTubeで公開されたMVは5日で再生数が365万回を超え、『関ジャム 完全燃show』(テレビ朝日系)では、マドンナのバックダンサーを務め、櫻坂46や日向坂46、矢沢永吉、SEKAI NO OWARIなど多くのアーティストの振付を担当する世界的ダンサーのTAKAHIROに、「自分たちが見せたいアーティスティックなところを出しつつ、エンターテインメントもできる。このバランス感覚が絶妙」と大絶賛されている。

 また、バラエティ番組で活躍を見せるのは深澤辰哉だ。先日、『バナナサンド』(TBS系)に出演した際、「もっとカメラに映りたい。9人もいるのでカメラさんに抜いてもらえるのに限りがある」と自身が目立ちたいことを相談。「あえて動かないほうが気になる」とのアドバイス(!?)をもらうと、音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)と『2021FNS歌謡祭 夏』(フジテレビ系)において実際に“棒立ち姿”を披露し、SNSでも「本当にやったよ…」と話題に。バナナマンも自身のラジオ番組で、日村勇紀が「すごいねー。うれしかったしね。またやってくれていたね。完全に深澤くんからブワって(寄っていて)。すばらしかった」と絶賛。深澤は、バナナマンのファンをも惹きつけるバラエティ対応力を見せつけたのである。

 もちろん、他のメンバーも各ジャンルを深く極め、きっちりと役割分担ができている。ラウールは圧倒的な花があるセンターであり、渡辺翔太は意識高い系で5軒の美容クリニックを掛け持ちする美容男子、向井康二は関西出身を活かして“関西ノリ”にも対応したかたちでトークを回すことができるし、阿部亮平は上智大学大学院卒のいわば頭脳担当でありクイズ番組で活躍、目黒蓮はビジュアル担当でルックスがよくモデルもこなし、宮舘涼太は独自の世界観を武器にバラエティでは飛び道具的に使われ、佐久間大介はオタク担当…といった具合に、まさに“全方位”対応。

 アイドルといえども、今やバラエティ番組での対応力は必須。キャラ設定や言動で頑張りすぎて、(ちょっと無理してるな…)といった例もちらほら見える中、それぞれがサラッと自分の立ち位置をすみ分けているSnow Manは、長い活動期間で叩き上げてきた強さを感じさせる。

SNSを強みとして、令和のフォーマットに則ったアイドルの在り方を体現

 とはいえ、まだまだ男性アイドルグループは群雄割拠の時代におかれ、熾烈な生存競争にさらされている。韓国のBTSをはじめ圧倒的なダンスパフォーマンス力が求められる潮流において、Snow Manはダンスパフォーマンスにも主軸を置きつつ、日本の芸能界独特の「バラエティにも対応する老若男女に愛されるオールマイティーなアイドル」という、SMAP、嵐などの先人たちが築いた道筋に則りながら、純国産アイドル的な立ち位置にいる。

 今はアイドルグループに無くてはならないYouTubeのチャンネルもJr.時代から開設しており、SNSの力をしっかりと味方につけていることも彼らの“強み”。グループ結成から約10年を経た“ベテラングループ”だが、途中から加入した新メンバーたちがどのようにグループに馴染んでいったのか、メンバー同士の関係性がどのように変化していったのか、どんな過程をたどって今のSnow Manがあるのか等々、誰でも知ることができるのだ。

 しかしSnow Manの場合、メンバーがまさにデジタルネイティブ世代であることや、事務所がSNSを解禁したタイミングで活動できたことも功を奏したといえよう。“叩き上げ”の強さにYouTubeなどSNSとの親和性の高さ、引き続き2021年下期のSnow Manの動きから目が離せない。

◆Snow Man HP
https://avex.jp/snowman/(外部サイト)

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