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(更新: ORICON NEWS

小出恵介、4年の空白期間を経て…復帰作に“怖さ”も「償いか恩返しか、貢献しないといけない」

俳優の小出恵介が、ドラマ『酒癖50』(ABEMA)で約4年振りに復帰を果たした。酒によってあぶり出される人間の弱さや醜さを描いた内容に、「攻めていておもしろい」、「演技力に磨きがかかっている」と反響を呼んでいる。4年の空白期間を経ての復帰に向けての想いや手応え、日本を離れていた間の葛藤の日々について話を聞いた。

復帰作品はお酒にまつわるトラブルがテーマ「いざ発表となると足がすくんで」

――4年ぶりのドラマ主演、おめでとうございます。日本の作品への出演はかなり久しぶりとなりましたが、どんな気持ちでしたか?

小出恵介怖さはものすごくありました。世の中にどういう風に受け止められるか怖かったですし、いざ発表となると足がすくんで。今回はドラマの内容も内容ですし、余計に反応が怖かった部分もあります。

――『酒癖50』というタイトルにもあるように、“お酒”にまつわるトラブルがテーマ。観ていて心にずっしりと響く重いドラマですね。

小出恵介脚本が鈴木おさむさんだったこともあり、当初はもっとポップでおもしろおかしい感じに作るのかなと思っていたのですが、かなり深く胸に迫ってくる人間ドラマに仕上がったと思います。

――謎めいた主人公・酒野聖を演じる上で苦労した部分はありますか?

小出恵介1話から4話までは、メインとなる登場人物たちとの距離感が難しくて、自分自身もだいぶ悩みながら演じました。まだ酒野の過去も明かされないので、観た方からは「笑うセールスマンみたいだね」という感想をいただいたりもしましたね(笑)。ただ5話と6話は過去にさかのぼって酒野の人生が描かれる回なので、また切り替えて彼の人生を演じることができて、やっていてとても楽しかったです。
――5話と6話では、ドラマ『ごくせん』以来約15年振りに小池徹平さんとも共演されましたよね。

小出恵介『ごくせん』は僕にとって初めての連ドラだったので、当時はガチガチに緊張していて。徹平くんはキャリア的にもだいぶ先輩で、堂々としている印象でした。向き合って演技をするのは約15年振りでしたけど、1クール一緒にやっていた信頼もあって、最初から遠慮せず思い切ってやれました。

――その信頼は時間が経っても変わりなかったですか?

小出恵介はい、変わらなかったですね。会ってない間にお互いがどんな経験をしてきたかは、表現を通してなんとなく感じ合うものだと思っていて。それを改めて感じることができる時間でした。

刺激を受けた仲間たちの輝き…4年間は「一人の人間としてどう生きたいか考える期間だった」

――日本を離れていた間、ニューヨークではどんなことをされていのでしょうか?

小出恵介 語学学校と演技の学校へ行っていました。向こうでは俳優を目指す人は、ダンスとボイストレーニングも当たり前のようにやっているんですよね。日本ではそういう感覚はなかったので、新しいチャレンジだと思ってダンスやボイトレを学んだり、芝居を観たり、常に演劇と触れ合っていました。学ぶことも多くて体力も使うので毎日ヘトヘトでしたが、充実感もありました。

――出口の見えない中、ニューヨークで過ごす日々は孤独だったとも語っていらっしゃいました。俳優を辞めようと思ったことはなかったのでしょうか?

小出恵介 正直言うとゼロではないです。最初は自分自身、現状を受け止めることがすごく難しくて。いろいろな方にたくさん迷惑をかけて本当に申し訳ない想いと同時に、自分自身もやっぱり傷ついていました。その気持ちに正面から向き合うのは勇気もいりましたし、それでもまだやりたいのか、やれるのかという葛藤はありました。

――その気持ちは、どうやって乗り越えていきましたか?

小出恵介 俳優としてではなく一人の人間として、この先自分がどうしたいのかを突き詰めて考えました。もし自分にこの仕事をやりたいという強い気持ちがなかったら、ピリオドを打てたと思うんです。でも、ニューヨークで新しいエンターテイメントに触れたとき、自分の中にメラメラ燃え上がるものを感じました。

――また俳優をやりたいという思いが?

小出恵介 そうですね。ずっと役者をやってきて、まったく知りもしなかった取り組み方に出会ったことで、過去の自分に反省しか出てこなくて。役者として、やり残したことしかないなと思うようになったんです。

――ニューヨークで得たものは、小出さんにとって非常に大きかったんですね。

小出恵介 はい、大きく変われた時間でした。自分がエンターテイメントがどれぐらい好きで、どうかかわっていきたいのかをもう1度検証できました。強い気持ちがなければ途絶えてしまっていたかもしれない縁でしたが、自分が再び臨みなおせるのかという試練を与えてもらった時間でしたね。

――再挑戦するステージは、やはり日本がよかったのでしょうか?

小出恵介 僕は日本の芸能界で育ったので、そこに関してはやはり中途半端な形で止まってしまった気がしていて。それが嫌でしたし、もし自分が変われたのだとしたら、償いなのか恩返しなのか…貢献しないといけないと思いました。向こうでの挑戦も続けたいとは思っていますが、海外だけでやっていくのは虫がよすぎるなって。あとは、一緒に頑張っていた仲間たちがどんどん成長していく姿を見て、シンプルに日本に戻りたいって言う気持ちもありました。

――日本の俳優の演技や、作品を観て刺激を受けたこともありましたか?

小出恵介 たくさんありましたよ。映画『シュアリー・サムデイ』で共演した鈴木亮平くんや、舞台『から騒ぎ』で共演した長谷川博己くんが、大河ドラマで活躍している姿が一番眩しく感じたかもしれないですね。一緒に頑張っていた仲間が素敵な俳優さんとして輝きを増して羽ばたいていくのを見て、僕もついていきたいって。当時は自分と向き合いつつ、またいつか一緒にお仕事をしたいという思いが、モチベーションになっていました。

演技は人生経験のすべてが生きる「良いことも悪いことも無駄にならないのが俳優の魅力」

――特に今はSNSで色々な人が発信をできる時代で、反響がダイレクトに届きますよね。世の中の人のさまざまな声について、思うことはありますか?

小出恵介 個人的な思いはあれど、その時の評価や世の中の声に対しては抗えないと思ったんです。その意見が正しくても間違っていても、受け止めなければならないなと。極論ですけど、そういう仕事だし、それが嫌だったら辞めるしか道はなくて。そういうことをすべてひっくるめて、やりたいか、やりたくないかなのかなと思っています。

――我慢することも多そうですね。小出さんにとって、役者という仕事の魅力はどういったものですか?

小出恵介 演技においては、自分の人生経験すべてが生きると思うんです。人間誰しもいい経験も悪い経験もするわけで、それを演技というフィルターを通して表現できる。どんな経験も無駄にならないことが魅力だと思っています。だから前を向けたという部分もあると思います。
――久しぶりにドラマの現場に戻ってきて、改めて感じたことはありますか?

小出恵介 大勢のスタッフさんや共演者が、みんなでひとつの作品を作り上げようとする空間が、とても居心地よかったです。4年の空白期間があっても身体の感覚が覚えていて。僕にとっての日常が、帰ってきたような感じでした。

――最後に、今後の活動への思いを伺えますか?

小出恵介 いろいろな方に支えていただいて、またひとつ新たなスタートを切れたと思うので、映画や舞台と幅広く挑戦していけたらと思っています。
文/辻内史佳
写真/Mitsuru Yamazaki

Information

ドラマ「酒癖50」
https://abema.tv/video/title/90-1537(外部サイト)


小出恵介4年ぶりのドラマ復帰作、ABEMA新オリジナルドラマ
Hate Alcohol Firm に務める酒野聖(小出恵介)は、とある企業の社長から“Hate Alchol プログラム”の依頼を受けることに。それは“酒癖が悪いワースト 50”の社員を集め、彼らに“とあるビデオ”を見せることで、お酒の恐ろしさを理解してもらうというプログラム。しかし、参加者はプログラム受講後も懲りること無く、お酒を飲み続ける。そんな彼らに降りかかる、とんでもない“最悪の結末”とは…?

(C)AbemaTV, Inc.

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