スタジオジブリ初のフル3DCGアニメーション作品『アーヤと魔女』(宮崎吾朗監督)。4ヶ月の延期を経て、『劇場版アーヤと魔女』の公開日が8月27日に決定。東京・三鷹の森ジブリ美術館では6月より宮崎監督の企画・監修による「アーヤと魔女」展が開催中だ。
同展は、『アーヤと魔女』を題材に、3DCGアニメーション映画が生まれる舞台裏を紹介するもの。「3DCGアニメーションの面白さ、奥深さ、表現としての可能性を感じてほしい」と企画された。 まずは、2Dセルアニメーション映画と3DCGアニメーション映画の違いの説明から。2Dの『コクリコ坂から』(2011年)と3DCGの『アーヤと魔女』を例に、宮崎監督によるイラスト入りのチャート図が展示され、制作行程を比較できる。コンピューターを使った方が手描きよりも簡単? むしろ、3DCGアニメーションの方が作業の種類が多くてややこしそう? でも、よく見ると大きな流れは同じかも!?
特にプリプロダクション(企画、脚本、絵コンテといったパート)はほぼ手描きであることが一目瞭然。展示室の壁一面にイメージボードや多くのジブリ作品を支える近藤勝也氏が手がけたキャラクターデザイン、絵コンテなど、手描きの資料がびっしり貼り出されている。 宮崎監督の作業デスクを再現した展示もあり、パソコンモニタ、液晶ペンタブレット、そのほか宮崎監督が愛用しているもの、メモ書きなどがゴチャゴチャと…臨場感たっぷり。目を引いたのはタイカレーの缶詰。『アーヤと魔女』制作当時、宮崎監督のマイブームだったそう。 そして、一番のサプライズは、第89回アカデミー賞の長編アニメ映画部門にノミネートされた米国のスタジオ・ライカのストップモーションアニメーション映画『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)で使用された人形の展示だ。実は、『アーヤと魔女』のキャラクターを魅力的に表現するために、『KUBO/クボ』を参考にしたという。3DCGとしてモデリングされる過程を収めた映像や、3Dプリンターで作ったバンド仲間時代のベラ・ヤーガ、マンドレーク、アーヤのママの人形も公開されている。 さらに、来場者が「キャラクターに命を吹き込む」主人公アーヤの表情を作る体験ができるコーナーも。宮崎監督は「今作での大発見は、キャラクターの顔はアニメーションをつけたアニメーターの顔に似てくる」とコメント。操作パネルのすぐ上に鏡が設定しているのはそのためで、アーヤに表情をつけた後、自分の顔を鏡で見てみると…!? このコーナーには、メインアニメーターたちの似顔絵と彼らがつけたアーヤの表情も展示されている。同時にアニメーターたちの多国籍ぶりも明らかに。
このほか、3DCGで作ったキッチンや「子どもの家」の屋根を模型化し、“ライティング”や背景の“合成”にまつわる“理屈”が感覚的にわかる展示もある。
本編ではアーヤとベラ・ヤーガ、マンドレークが食卓を囲んで食べる“ジブリ飯”も見どころ。なんと、絵コンテを参考に、“映え”を意識して実際に料理を作って、それを3Dスキャンして作り上げていることも紹介している。 3DCGアニメーションはコンピューターを使っているのだからデジタルでパパッと合理的になんでもできそうなイメージがあったが、意外にアナログで、手描きアニメーション作品より手間がかかる工程があり、『アーヤと魔女』も大勢のスタッフによる膨大な手作業によって出来上がっていることがよくわかる展示となっている。「良い作品を作りたいという気持ちに2Dも3Dもない」という宮崎吾朗監督のことばに感心するばかりだ。
なお、企画展示「アーヤと魔女」展にあわせ、映像展示室「土星座」にて昨年テレビで放送された『アーヤと魔女』(82分)の上映も行っている。 (C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli
同展は2022年5月まで開催予定。なお、ジブリ美術館は日時指定の予約制。チケットはローチケWEBサイトにて販売中。新型コロナウイルスの影響で開館時間やチケット販売方法などに変更が生じる可能性がある。最新情報は公式サイトを要確認。
公式サイト⇒(外部サイト)
(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli (C)Museo d’Arte Ghibli (C)Studio Ghibli 『劇場版 アーヤと魔女』8月27日公開
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