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離婚後の“その先”を描くのが新たなトレンドに? 連ドラで描かれる新たな“離婚観”

離婚が“あるある”となった現代、離婚の先に続く元夫婦の交流に主眼

 とはいえ、今期になって急に離婚を題材にしたドラマが増えたわけではない。天海祐希主演の『離婚弁護士』(フジテレビ系/2004年)は、離婚以外の家庭内のいざこざなども扱ったいわば“人間ドラマ”。『最高の離婚』(同/2013年)は『リコカツ』にも出演する永山瑛太が主演で、サブタイトルでは「なぜだろう。別れたら好きになる」と謳っている。つまり、2000年代に入ったあたりで80〜90年代の“ドロ沼不倫劇”からはすでに脱し、今クールにつながる“イマドキ離婚”が描かれていたということだ。

 離婚自体は今や一般社会によく見られる“あるあるネタ”の一つになったといえる。『大豆田とわ子』のように3回結婚し3回離婚したり、『リコカツ』のように主人公夫妻だけではなく、周囲でも離婚の話が同時多発的に起こる様子は、コメディである反面、リアルさも含んでいる。

 離婚が身近なものとなるなか今期のドラマで特筆すべきは、離婚・離婚決断後に元・パートナーと新たな関係を築きあげていくことに主眼をおいていることである。『大豆田とわ子』は、3人の元夫と離婚後も交流が続く様子を描く。LINEをし、元夫の店に行き、不本意なところはあるものの元夫たちが家に集い、元夫どうしも繋がっている。さらに、結婚初日に離婚を決意する『リコカツ』では、お互いにまだ微妙に惹かれ合っており、「離婚する理由を100考える」という“リコカツ(離婚へ向けた活動)”に入るが、どこか復縁しそうな気配すらある。離婚後・離婚決意後の元・夫婦のみせる関係ない/気になってしまうという絶妙なもどかしい空気感や、マイナスから関係を再構築していくところにドラマ性をつくりだしている点で、これまでのドラマでの離婚とは様相を異とする。

 現実的には、これ以上結婚生活を続けるのが無理だと決断した夫婦が歩みよるのは難しく、離婚した元夫婦、ましてや元夫同士が仲良くなるようなケースはレアだろう。今期ドラマが描きだすような、離婚の先に続く元夫婦の関係性はドラマの世界の話だからこそ楽めるものだろう。しかしドラマの世界においては、図らずも「新しい離婚スタイル」を提唱することもありえるし、実際、現実のほうがドラマに近づく日も近いのかもしれない。

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