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優等生“第7世代”のカウンター? 岡野陽一、鈴木もぐらなど…クズ芸人脚光の背景

  • 空気階段の鈴木もぐら(左)

    空気階段の鈴木もぐら(左)

 現在、借金1200万円のピン芸人・岡野陽一、ギャンブルや借金を堂々と公言する空気階段など、ここのところ芸人たちの「借金・ギャンブル・遅刻etc.」といった“クズエピソード”がバラエティ番組を賑わすことが多くなった。ただ、「貰うはやってない。借りるだけ」などという“クズ哲学”は、一周回って逆に清々しくもある。これも草食系っぽい(!?)お笑い“第7世代”台頭への抵抗なのだろうか? あるいは“自粛・コンプライアンス強化・空気を読む”…といった社会情勢への反動なのか?

コンプライアンスの強化とともに、求められた清廉性

 かつて(昭和〜平成前半)は、「飲む・打つ・買う」的な行為は“男芸人のたしなみ”であり、成功者のステータス的な側面があった。芸人でいえば、横山やすしが競艇に多額のお金を突っ込んだり、セスナ機を購入したり、ビートたけしが後輩を引き連れて豪快に奢るなど、宵越しの金は持たないノリを体現していた。世間でもそうした振る舞いを「豪快」「親分肌」と称賛し、「あの人ならしょうがない」と受け止めた。しかし近年は、コンプライアンス的に行き過ぎた発言や行為自体が番組では許されなくなっている。かつての“芸人らしさ”は失われつつあるのだ。

 そこへ台頭してきたのが、いわゆるお笑い第7世代。霜降り明星やEXIT、ハナコや四千頭身などはそれぞれ特徴がありながら、お笑い芸人が放つアクの強さ、武勇伝的なものはほぼない。むしろマイペースで根は真面目といった雰囲気があり、これまでの芸人にはなかった“清廉性”が備わっているようにすら見える。
 EXIT・兼近大樹やフワちゃんなどはSNSを騒がせる発言が多く、一見すると自由奔放に振る舞っているようにも見えるが、実は人一倍空気を読み、目上の人にも嫌われない言動を心がけている。彼らは単に(年上世代からは理解できない)新しい価値観を持っているだけではなく、それを角を立てずにスマートに表現することができる“お笑い芸人の新常識”を備えているのだ。そのあたりが第7世代の強みともいえるが、もはや芸人はプライベートな部分で怪しさやいかがわしさを盛って、箔をつける必要がなくなってきたのかもしれない。

第7世代が根付かせた“新常識”を覆す“笑えるクズ”の台頭

 そんなお笑い界の流れに抗うかのように登場してきたのが、先述の岡野陽一や空気階段をはじめとする“クズ芸人”。借金1200万を抱える岡野は、「バイト感覚で借りている」「お金を返すために借金をしている」などと独自の借金哲学を披露してブレイクし、空気階段・鈴木もぐらは「ギャンブル好きで借金は700万円」、相方の水川かたまりは「働きたくなくて親からの仕送りもらっている」などと型破りなエピソードを披露している。さらに岡野、鈴木の両者は、パチンコ番組(テレビ埼玉)の公式YouTubeチャンネルで『もぐら×岡野のくずパチ』なる番組を公開しており、クズネタをリサイクルして(仕事=お金に換える)、クズでブレイクしたといっても過言ではないのである。

 その他、『金借りチャンネル』を立ち上げたヒコロヒー、相方に金を借りる相席スタート・山添寛、ギャンブル狂のマヂカルラブリー・村上など、清々しいほど明るくクズっぷりを見せる芸人が続々と登場してきている。彼らに共通しているのは“信念が一貫しているクズ”。自分に嘘がなく、信念を貫いているからこそクズネタにも迫力があり、その突拍子のなさがお笑いのネタとして確立される。ちなみに岡野は、AbemaTVの『マッドマックスTV』で論破王・ひろゆきとディベート対決をし、「一貫して嘘がない」との判定を受けて勝利している(判定は日本弁論連盟)。

第7世代の“クズ”代表・粗品、千鳥&かまいたちなどトップランナーに共通する清廉性とクズの“良い塩梅”

 また、第7世代代表ともいえる霜降り明星・粗品は、ビールメーカーやアパレルメーカーなど大企業のCMに出演しているが、最近は「借金総額は2000万円以上」「(借金は)未来の自分に金借りてるだけ」との名(迷?)言を吐き、自らギャンブル狂いのエピソードを発信している。うがった見方をすれば、コンプライアンス重視・清廉性の申し子といった第7世代のパブリックイメージとのバランスをとるために、あえて対極のキャラを出したり、本来の自分の“闇”の部分をネタにしているといえるかもしれない。
 また、大ブレイク中の千鳥やかまいたちにしても、芸人としての地位を確立しながらもギャンブル好きを公言している。特に千鳥・大悟の飲酒エピソードなどは、故・志村けんさんのDNAを受け継ぐ「最後のクズ」「泣けるクズ」エピソードとして昇華している感さえある。

 かつては、社会からハミ出した人間・社会不適合者の最大の成功例という側面があった“お笑い芸人”。「芸人をやっていなければ今ごろは…」なんて枕詞もよく耳にしたものだったが、彼らを見て育った視聴者は(特に40代以上男性)、その破天荒な生き様に「カッコいい」「男前」と憧れすら抱いた。社会に生きづらい人たちが自由奔放に熱く生きる姿は、芸人の魅力の一つだったのである。「他人のクズ話はおもしろい」とはよく言われるが、明るく悲壮感のないクズ話は最高のエンタメともなる。コンプライアンスや自粛やらで息苦しい世の中になったが、今を生きる“クズ芸人”たちには、限られたルールの中で徹底的に“クズ”を貫いてほしいものである。

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