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場内放送室から見た王、長嶋の素顔…45年目にして最後のシーズン開幕、読売巨人軍“レジェンドウグイス嬢”の仕事の流儀

「気にも留めずにひと試合終わっちゃいました」が一番いい場内アナウンス

 巨人の歴史の半分以上を伴走してきた山中さんだが、今年限りで引退を表明。現場を離れるにあたり、感慨や寂しさを感じているのではないかと尋ねてみると、「今は、最後まで間違いを少なく、きっちり完走したいということしか考えられません」とキッパリ。その根底には、現役でいる限り責任感を持って任務を果たすという、選手同様のプロとしての矜持があった。

「引退を決めたのは、危うくアナウンスを間違えそうになってしまってドキドキすることが多くなったからなんです。これまで本当に楽しく仕事をさせてもらってきて、常々『ちゃんとできているうちに辞めたいな』と思っていましたので」

 プロである以上、最高のパフォーマンスを発揮するために、努力を惜しまないところも選手と同じ。山中さんは今でもボイストレーニングに通い続け、コロナ禍で通えない間は、自宅で毎日1時間以上、自主練習を続けていたという。

「歳をとってくると、若い頃よりも努力しないと声が出なくなるんです。腹式呼吸のために腹筋を鍛えることも続けてきました」
 そんな山中さんが45年の間に築き上げてきた場内アナウンスの極意は意外とシンプルなものだった。

「私としてはなんとなく耳に入ってきて、情報は伝わっているけれど、気にもとめないような放送が一番いいかなって思っています。場内アナウンスが注意を引く時って、こちらがミスをして『間違えてるよ』って思われるときなんです(笑)。そういうことはないに越したことはありませんので、お客様にとって、全然気にも留めずに、ひと試合終わっちゃいましたというのが一番理想のアナウンスの在り方だと思っています」

 その考えに至るおおもとには、入団して一番最初に先輩から言われた「場内放送係は審判の代わりだからきっちり伝えなければいけない」というアドバイスがある。そのため、マイクに向かっている間は、一切感情を出さないことを心がけてきたが、キャリア20年を経た頃、こんな変化もあった。

「例えば巨人の選手がホームランを打って戻ってきたときに、ホームゲームだし、ちょっとくらい嬉しそうにアナウンスしてもいいんじゃないかなって思って、少しずつ場内放送に感情を込めるようになりました」

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