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中村倫也の“心の鎖”を断ち切った「シンプルにする考え方」 エッセイから仕事、家族、結婚願望、コロナを見つめる

中村倫也

 「エンターテインメントはイタズラに似ている。驚かせたい、楽しませたいとニヤニヤしながら準備する。その瞬間が一番楽しい」。俳優の中村倫也(34)は、初エッセイ集『THE やんごとなき雑談』(KADOKAWA)の中で、このようにつづっている。同書はもちろん、実際に対面して行ったインタビューでも、中村の“楽しませる力”がいかんなく発揮された。

1本のエッセイを作るまで40回読み返す 人間関係の悩みを解消するきっかけ

 自意識過剰でモテたくて仕方なかった学生時代。クラスメイトに突然奪われたファーストキス。料理や掃除に買い物、たまの実家への帰省と親孝行、そんなありふれた休日。同書では“つかみどころがない”中村のリアルな日常、本音、そして思考のあと……などをユーモアとペーソスあふれる筆致で描く。ロゴや挿絵イラストはすべて本人作で、カバー、表紙にいたるまで、こだわりが詰まっているが、出来上がった本をまじまじと見つめながら「物になったなという感じがしますね」と笑みを浮かべる。

 「まえがき」では、中村が「まず、物事の本質を考えてから行動」する姿勢を感じることができるが「まえがきとあとがきに関しては、そこまで考えずに書くことができました」と明かす。「エッセイを読んでもらう前の名刺交換のようなまえがき、1冊読んだ時のあとがきという形で『スルッとまとまるといいな』というのが頭の中にありました。それに、まえがきとあとがきは約1000字ずつなのですが、エッセイの2000字に比べたら、かなり書きやすかったです(笑)。最初に2000字のエッセイを書き終えた後に、編集から後出しで『実は2000字って難しいんですよ』って言われて、先に言ってくれよと思いましたね(笑)」。
 比喩(ひゆ)表現もさえわたり、心地よいリズム感の文章に仕上がっているが、自分で何度も読み返しながら完成させていった。「一段落書いて、それだけで読み返して、もうひとつ進んだら、また最初から読み返して…。1本のエッセイが書き上がるまでに40回くらいは読み返しているんじゃないかな。エッセイが完成した後も、書いている時の主観とは違った、ちょっと落ち着いた客観的な目線も入れて読み返してみるために、1日寝かせてから読んでみたり。書籍化にあたっても、句読点、カギカッコなどを考えて、読み直していきました。そう考えると、なんだかワイン作りみたいですね…って、ワイン作ったことないんですけど(笑)」。
 思考に思考を重ねながら完成したエッセイだが、明確な“読者像”などを想像しながら書いていたのだろうか。「いえ、特定の誰かとかないんですけど、あえて言うのであれば、これが世に出るというイメージですかね。ざっくりとしていますが、世に出て多くの人に読まれる可能性があるという意識でしょうか。自分の中にあった感覚や経験などを世に出して、どこかの誰かのなにかになればいいなと。漠然としているんですけど、自分の中には具体的に、そういった気持ちがありました」。
 インタビューであっても、ユーモアを交えながら相手を緊張させない気遣いを見せる中村だが、同書の中にある一遍「種と鎖」では、10年ほど前には「全く人を信用せず、どんどん排他的になり、全てが敵に見える」時期もあったと打ち明けている。自分の中にあった“鎖”を断ち切るには「悩み事をシンプルにしていくクセ」をつけることが必要だった。

 「若い頃は悩みますし、放っておいても“悩みたい”みたいな感情になることがあるので。自分というものも不確かで、組織や社会での立ち位置もあやふやで、それはいろんな経験を積んで変わっていくことではあるんですが、一つひとつの悩みなどが無数にあるので、どうしても漠然としちゃうんですよね。それをシンプルにシンプルに細かくして考えていくと『じゃあ、やってみろよ』という結論にいたりました(笑)。こういう仕事柄というものもありますが、自分の力を発揮できれば、期待が高まるでしょうし、期待が需要になって、需要に応えられたら結果になっていく仕事だと思うので、シンプルにしていく中で『やってから悩もう』という考え方になりました」

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