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「爪あと残す」系ギャルタレントは食傷気味? 薄口の個性が逆に新鮮、めるる躍進の必然

  • 続くめるる (C)ORICON NewS inc.

    続くめるる (C)ORICON NewS inc.

 ここ最近、活躍ぶりが顕著な“めるる”こと、生見愛瑠(ぬくみ・める)。バラエティーはもちろん、CM等でも見かけない日はなく、3月からは主演ドラマも決定した。なぜここまで、めるるの起用が続いているのか。近年ブレイクしたギャル系タレントのような「爪あとを残す」強さはなく、天然、カワイイお嬢さん…という言葉が思い浮かぶめるる。彼女の需要の理由を探る。

2020年の「増加番組数」198本 CM、ドラマと需要続くめるる

 “めるる”という愛称もすっかりお茶の間に浸透し、佐々木希以来の“超正統派美女モデル出身タレント”の枠をしっかりと確保した感がある生見愛瑠。最近ではバラエティー番組で見ない日はなく、『2020ブレイクタレント』(ニホンモニター)によると、2019年から2020年の「増加番組数」は実に198本(2019年11本→2020年209本)。まさにブレイク真っ最中と言える。また、『17LIVE』などの若者向けから、『CHINTAI』『出前館』といった幅広い世代に向けたものまで、CMにも続々と出演。2月28日スタートのドラマ『おしゃれの答えがわからない』(日本テレビ)では、ドラマ初出演にして初主演も務めることが発表されている。

 このように、各分野から引っ張りだこのめるる。最近、ブレイクするタレントには「爪あとを残す」ようなインパクトが必須であったが、彼女にはそこまでの強烈さはないように思える。ではなぜ、ここまで需要が高いのだろうか。

バラエティーにあふれる「爪あと残す」系ギャルタレント、インパクト大だけに消費も早い?

 ちなみに、「爪あとを残す」という表現の本来の意味は「1.爪でかいた傷あと。2.災害や事件などが残した被害のあと」(大辞林)となり、マイナスの影響を残した場合に使われる。しかし現在では、バラエティー番組に出てきたブレイク前のタレントが、「マネージャーに『絶対、爪あと残して来い』って言われて…」「なんとか爪あとを残そうと、空回りしました」などと言うように、「強い印象を残す」というプラスのイメージで使われている。実際、一般的にも同様の意味で使うことが多くなったようだ。

 さて、この「爪あとを残す」系でブレイクしたタレントだが、めるると同年代の女性タレントでいえば、“みちょぱ”(池田美優)や“ゆきぽよ”(木村有希)」、藤田ニコルなど。少しの上の年齢層では、指原莉乃や朝日奈央などが挙げられるだろう。みちょぱとゆきぽよは、見た目そのままのギャルっぽさがウリで、機転が利いて賢く、ぶっちゃけた発言による親しみやすさも人気の秘訣。藤田もまた、一見すると不思議系に見えるが、頭の回転の速さを感じさせるコメントが評価されている。指原は自虐ネタも辞さない空気を読むトーク力、朝日はワイプで光るリアクションがブレイクの要因だった。いわば彼女たちは、モデルやアイドルといった出自や見た目とはギャップのあるような、バラエティー映えするトーク力やリアクションで「爪あとを残してきた」わけだ。

 ただ、そういった若手女性タレントもどんどん増えていき、今ではある程度固定しつつも、飽和状態と言える。すぐに消費されないようにと爪あとを残し、個性を発揮してきた彼女たちだが、インパクトが強いだけに、逆に消費までの時間は短いように思える。視聴者側としても、「またこのタイプか…」というように、食傷気味にならざるを得ない。

“没個性”がむしろ新鮮、消費されにくい強み

 その一方で、めるるには爪あとを残そうと、とりあえず大声を張り上げてみたり、過激なエピソードを披露するといった“必死感”は皆無だ。ひたすら「天然」で「可愛いお嬢さん」であり、「ちょっとポンコツ」なナチュラルさが、番組を見ていても伝わってくる。最近のバラエティータレントのトレンドからいえば「キャラが弱い」として埋没してしまうはずだが、「爪あとを残す」系女性タレントがしのぎを削る中では、むしろ新鮮に映るのである。

 本来、めるるのような役割は女性アイドルが担ってきた。だが、AKB48系、特に指原がバラエティー番組でブレイクして以降、女性アイドルたちもまた、爪あとを残そうと前に出るようになった。さらに、同性ウケも重要な要素となったことから、天然系やお嬢さま系タレントが減少していく。そんな中、うまくハマったのがめるるだったと言える。

 ブレイク前のタレントは誰もが印象を残そう、消費されないようにしようとあがくが、めるるにはそういったしがみつき感は見えない。これだけテレビに露出していてもバラドルのイメージが薄く、個性が強すぎないからこそ、消費されている感も少ない。実際、自ら「今のお仕事も続けたいですし、大好きなコスメや服、アクセサリーのプロデュース業や演技のお仕事もしたい」と話すように、本人にとっての選択肢も多いようだ。仮に消費されたとしても、すぐに切り替えられる強みすら感じる。その点では、誰よりも“今どき”なのかもしれない。

 バラエティーの女性タレント枠は、華やかに見える激戦区。なにか問題があれば、すぐに取って代わられてしまう。先日報じられたゆきぽよの騒動が尾を引いているように、今やバックグラウンドの清廉性も大事だ。その点、「いいとこのお嬢さん」風のめるるは、起用する側にとっても安心感があるのだろう。「爪あとを残す」系タレントが席巻するなか、女性からも男性からも素直に「可愛い」と評され、よい意味で個性の薄いめるるは、2021年も“飄々と”ブレイクし続けていく気配である。

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