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「爪あと残す」系ギャルタレントは食傷気味? 薄口の個性が逆に新鮮、めるる躍進の必然
2020年の「増加番組数」198本 CM、ドラマと需要続くめるる
このように、各分野から引っ張りだこのめるる。最近、ブレイクするタレントには「爪あとを残す」ようなインパクトが必須であったが、彼女にはそこまでの強烈さはないように思える。ではなぜ、ここまで需要が高いのだろうか。
バラエティーにあふれる「爪あと残す」系ギャルタレント、インパクト大だけに消費も早い?
さて、この「爪あとを残す」系でブレイクしたタレントだが、めるると同年代の女性タレントでいえば、“みちょぱ”(池田美優)や“ゆきぽよ”(木村有希)」、藤田ニコルなど。少しの上の年齢層では、指原莉乃や朝日奈央などが挙げられるだろう。みちょぱとゆきぽよは、見た目そのままのギャルっぽさがウリで、機転が利いて賢く、ぶっちゃけた発言による親しみやすさも人気の秘訣。藤田もまた、一見すると不思議系に見えるが、頭の回転の速さを感じさせるコメントが評価されている。指原は自虐ネタも辞さない空気を読むトーク力、朝日はワイプで光るリアクションがブレイクの要因だった。いわば彼女たちは、モデルやアイドルといった出自や見た目とはギャップのあるような、バラエティー映えするトーク力やリアクションで「爪あとを残してきた」わけだ。
ただ、そういった若手女性タレントもどんどん増えていき、今ではある程度固定しつつも、飽和状態と言える。すぐに消費されないようにと爪あとを残し、個性を発揮してきた彼女たちだが、インパクトが強いだけに、逆に消費までの時間は短いように思える。視聴者側としても、「またこのタイプか…」というように、食傷気味にならざるを得ない。
“没個性”がむしろ新鮮、消費されにくい強み
本来、めるるのような役割は女性アイドルが担ってきた。だが、AKB48系、特に指原がバラエティー番組でブレイクして以降、女性アイドルたちもまた、爪あとを残そうと前に出るようになった。さらに、同性ウケも重要な要素となったことから、天然系やお嬢さま系タレントが減少していく。そんな中、うまくハマったのがめるるだったと言える。
ブレイク前のタレントは誰もが印象を残そう、消費されないようにしようとあがくが、めるるにはそういったしがみつき感は見えない。これだけテレビに露出していてもバラドルのイメージが薄く、個性が強すぎないからこそ、消費されている感も少ない。実際、自ら「今のお仕事も続けたいですし、大好きなコスメや服、アクセサリーのプロデュース業や演技のお仕事もしたい」と話すように、本人にとっての選択肢も多いようだ。仮に消費されたとしても、すぐに切り替えられる強みすら感じる。その点では、誰よりも“今どき”なのかもしれない。
バラエティーの女性タレント枠は、華やかに見える激戦区。なにか問題があれば、すぐに取って代わられてしまう。先日報じられたゆきぽよの騒動が尾を引いているように、今やバックグラウンドの清廉性も大事だ。その点、「いいとこのお嬢さん」風のめるるは、起用する側にとっても安心感があるのだろう。「爪あとを残す」系タレントが席巻するなか、女性からも男性からも素直に「可愛い」と評され、よい意味で個性の薄いめるるは、2021年も“飄々と”ブレイクし続けていく気配である。