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『セーラームーン』の本質は“破壊”、30年担当編集者語る「いつでも終焉と共に希望と再生がある」

「戻ってきたファンの9割が女性」少女たちの胸に“勇気”を深く刻んだ女性ヒーロー作品

 また同作は読者層、アニメファン層でも既存を覆した。当時の『美少女戦士セーラームーン』の男女ファン比率は4:6。男性ファンが4割もいたのだ。「私自身も、男性として同作を面白いと感じていました。だから男性にもウケるかもしれないとは思っていましたが、さすがにこの比率には驚きました」。読者のほとんどが小学生女子だった『なかよし』をもっといろんな世代、層の人に知ってもらいたいという小佐野氏の想いも叶えられたのだ。

 そして、1997年に原作の連載は終了。TVアニメシリーズの放送も終了した。再放送などはあったものの、長い眠りについていたが、2012年の20周年を機に再始動すると、再び多くのファンに熱狂的に迎えられた。あらゆる作品が毎年出てくる中で、変わらず『美少女戦士セーラームーン』が愛される理由は何なのかと尋ねると、「本質がずっと変わらないこと」と小佐野氏は語る。
 「戻ってきていただけたファンの9割が女性でした」と小佐野氏。それまでのヒロインのイメージを“破壊”した同作品は、当時少女だった女性たちの胸に、勇気とともに深く刻まれていたのだ。

 今回、新作映画のキャラクターデザインはかつての90年代アニメのキャラクターデザインを務めていた只野和子氏。映画化に際して前に進むには「彼女じゃないとだめだと思っていた」と小佐野氏は語る。久しぶりに同作に只野氏の名が挙がったことに対し、ネットでは歓喜の声が相次いだ。様々な“破壊”が“変革”を生み、未来へと進む。これが同作が愛され続ける理由なのだろう。

「アニメ『Crystal』シリーズ、そして今回の劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』は、初めて原作に沿ってアニメ化するという新たな試みです。様々な取り組みを行う中で、忘れてはいけないと思っているのは、立ち上げ当初の『とにかく“破壊”しよう』という精神です。セーラーサターンの『いつでも終焉と共に希望と再生があるのです』というセリフを常に自分に言い聞かせています」

 “破壊”という“月の光に導かれ”続けてきた同作。だからこそファンはうさぎたちに“何度もめぐりあえている”のかもしれない。
(取材・文=衣輪晋一)

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