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グループ魂、紆余曲折経た結成25周年「ウソのない歌詞がパンクそのもの」
「パンクは詞だ!」ウソのない歌詞がパンクそのもの
破壊(阿部サダヲ) 5年ぶりですからね。時間をかけただけあって、グループ魂らしい曲が揃っていますよね。デモの段階から「力入っているな」と思っていたので。この3人は歌うだけなんで、どういう作り方をしているのか知らないんだけど(笑)。
港カヲル(皆川猿時) スタジオに行って、「さあ、歌って!」ってだけだから。
――(笑)印象的な曲は?
破壊 最初におもしろいなと思ったのは、「Over 50めんどくさい」ですね。「平成の記憶がない!」もおもしろいよね。「30分寝ようと思ったら30年寝ちゃって、おばさんになってた」っていう歌なんだけど、「鶴太郎って人どうしちゃたの?」「ガリガリに痩せて怖いんですぅ」って(笑)。
港カヲル 30年ぶりに(片岡)鶴太郎さんを見ちゃったら、そう思うわね(笑)。
バイト君(村杉蝉之介) 「ケーシー高峰」もいいですよ。歌詞の内容が、ちゃんとケーシー高峰の漫談のフォーマットになっていて。
――「竹内力」「本田博太郎〜magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!〜」など、人名シリーズの楽曲もグループ魂の魅力ですからね。
港カヲル そうね。「昼も蕎麦だった」も好きだなあ。歳を取ると食が細くなって、どうしても蕎麦になっちゃうんだよ。俺はいまだに“マヨネーズぶっかけ飯”だけどね(笑)。
破壊 今回もそうだけど、グループ魂はいつも歌詞がおもしろくて。結成した頃から暴動さんが「パンクは詞だ!」って言っていたんですよ。しかもグループ魂の歌詞はちゃんとストーリーがあるし。サビも繰り返しじゃなくて、ヒネってくるんですよ。その分、覚えづらいんですよね。
港カヲル ちゃんと歳を重ねているのもいいよね。「もうすっかりNO FUTURE!」も「痛風だけど恋愛したい」の歌詞もそうだけど、成長じゃなくて、後退しちゃってるから。ウソがないのもパンクだよね〜。
50歳までバンドをやっていると思わなかった
破壊 最初は歌ってもらう予定じゃなかったんだけど、スタジオに来てもらって「ちょっと歌ってもらえますか?」って(笑)。
港カヲル ひどいよねえ(笑)。
破壊 デモ音源の峯田さんの声がカッコ良かったんですよ。曲も純粋な感じで、すごくよくて。やっぱりいいアーティストなんだなって思いました。俺のボーカルも峯田さんに引っ張られたところがあって。
――すごいテンションですからね。「もうすっかりNO FUTURE!」ではジョン・ライドン(セックス・ピストルズ)みたいな巻き舌で歌ってたり、いろいろなオマージュが入ってたりするのも楽しくて。
破壊 「痛風だけど恋愛したい」は「近藤房之介さんでお願いします」って(笑)。
バイト君 そういえば、「荒ぶる地元の魂たち」という曲にラップが入っていて。レコーディングのときに「こんな感じで歌ってみて」ってかけたのがビースティ・ボーイズの「サボタージュ」という曲だったんですよ。そうしたら破壊さんのボーカルがそれをさらに上回るテンションで。完全にオリジナルになっているのがすごいなって。
破壊 ビースティ・ボーイズを参考にしようと思っても、よくわからなかったんだよね(笑)。
――グループ魂は結成25周年。こんなにバンドを続けられること自体、すごいですよね。
破壊 自分たちも50歳で(バンドを)やっているとは思わなかったですね。芝居ですら、「50歳までやるのかな?」という感じだったのに。バイト君は55歳なんだけど、50歳の時にすでに「歳を取ると眠れないんだよ」って言っていたから(笑)。
バイト君 だんだん衰えてくるんだよ。去年の夏の撮影で、ライブのシーンがあって。若者がピョンピョン飛び跳ねているから、「よし、俺も」と思ったら、ぜんぜん飛べなくて(笑)。体力が心配です。
港カヲル そういえば「モテる努力をしないとモテないゾーン」のコーラスを録った次の日、バイト君と俺は声がガラガラだったじゃない? ミュージカル『キレイ―神様と待ち合わせした女―』の本読みの時に、「おまえら、どうした!」って言われちゃって、恥ずかしかったよねえ。
バイト君 そうだね…。
忌野清志郎さんとも共演を…役者だけでは体験できないこともできた
破壊 秩父のイベント『グループ魂の秩父ぱつんぱつんフェスティバル(雨)』で親父が出ちゃったことかな(笑)。
港カヲル すごかったよね。緊張で震えちゃって、「全身ビブラート」って呼ばれてたんだから。
破壊 カヲルさんなんて、お母さんにキスしてたからね…。
港カヲル 僕ね、ソロコンサート『港カヲル 人間生活46周年コンサート 〜演奏・グループ魂〜』(2017年2月開催)もやらせてもらったんですよ。あの時も家族がなぜか“審査員席”にいて。
――普通のバンドではありえないですよね(笑)。
バイト君 そうですね(笑)。遠藤ミチロウさん、忌野清志郎さん、エンケンさん(遠藤賢司)など、ずっと好きで聴いていたミュージシャンと共演させてもらえたのも思い出になっていますね。
港カヲル 本当だよねえ。清志郎さんと一緒にライブをやった時、コーラスのパートで清志郎さんがこっちに近づいてきたんですよ。「いっしょに歌おうぜ」ということだったと思うんですけど、その頃はコーラスが苦手だったから、「下手なのがバレちゃう、こっちこないで!」って思った(笑)。
破壊 役者だけでは体験できないよね。だって、グループ魂の曲、カラオケに入っているんですよ? すごくない? あんまり歌われてないみたいだから、皆さんも歌ったほうがいいですよ(笑)。
――この先、グループ魂でやりたいことは?
破壊 そうだなあ…。この前、家の整理してたら、結成当時のインタビューの記事が出てきて。「目標は?」という質問に暴動さんが、「ドームツアー」、俺が「再結成」、バイト君が「アッコさん(和田アキ子)ファミリー」って(笑)。
港カヲル ハハハハハ! バイト君、お酒飲めないのに(笑)。
バイト君 テレビに出たかったんだろうね…。
破壊 だからぜんぜん達成してないんだよ。
バイト君 頑張らないと(笑)。それにしても何歳まで(グループ魂を)やれるんだろう?
港カヲル 次のアルバムが5年後だったら、バイト君は60歳だからね。還暦記念(笑)。
バイト君 皆は50歳だから、60歳になるのは10年後か。その時、俺は65歳か…。
破壊 家のローンもあるしね。95歳までだっけ?
バイト君 そこまでじゃないよ!
(文/森朋之 写真/広川智基)