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Toshl「若いころは言えなかった」本当の自分、苗字をつけたことで見つけた新たな道
活動にコロナ禍の影響も、「歌にしても、命にしても、残された時間を考えた」
Toshl エンタテインメントを“人に喜んでいただくもの”と解釈するのなら、僕はまさにそのエンタテインメントが大好きなんです。自分が面白い、楽しい、感動することを分かち合いながら、みなさんに喜んでいただける。そして僕も喜ぶという、相乗効果になると思うんです。それがまた生きるエネルギーになって、それぞれが人生を歩んでいくという…。そういうことに時間と力を費やせることは、すごくハッピーだと思うし、これからもっともっとチャレンジしていきたいです。
――エンタテインメントといえば、YOASOBIの「夜に駆ける」など、最近のヒット曲をカバーしてYouTubeで公開していますね。
Toshl 若者たちの間で大ヒットしているような新しい時代の楽曲にチャレンジすることで、今まで出会ったことのないようなメロディやフレーズに出会えて、自分の表現方法の新たな引き出しにもなりました歌わせて頂く限りはリスペクトを持って、一生懸命練習して歌わせていただいています。
――なるほど。一方で、今回のコロナ禍は音楽界にも大きな影響を与えていると思いますが。
Toshl 誰もが当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなかったと感じている状況です。その中で、歌にしても、命にしても、残された時間を考えました。今回のように、いつ何が起こるかわからないからこそ、今やりたいことに集中する。そうせざるを得ない状況であったことが、僕にとっては逆に良かったのかなと思います。9月22日には、東京オペラシティで『たった一人だけのコンサート』を開催したのですが、それも今しかできないこと、今だからこそできることだったと思うんです。自分がファンの立場だったら何をしてもらいたいかな?と、明るく夢のあることを考えていると楽しくもありますね。
――とはいえ、実現するには相当な勇気と覚悟が必要だったのでは?
Toshl この時期コンサートや絵画展をやるのもすごく大変なことですし、不安やプレッシャー、ストレスがあるのは当然ですよ。現在の状況でどうすべきか、アイディアを出していくのが新しい生き方のひとつなのかなと思います。
――悲観的になるのではなく、その中で最善策を考えていく。
Toshl たとえ悲嘆にくれたとしても、そこから自分の人生、運命を切り開いていく、新たなチャレンジのときでもあると思うから。発想の転換をして、グギッとギアを入れ替えて、一歩前に踏み出す勇気を持つこと。そう覚悟することで、さらなる喜びを得られるんじゃないかと自分は思います。
「苗字をつけたことで、新たな自分に生まれ変わった」
Toshl 「龍玄とし」という名前を名乗るようになって2年くらいになるんですが、新たに名前をつけたときに、“龍のごとく果敢に挑戦”という意味を込めたんです。まぁ、単に苗字が欲しかったというのもあるんですけど(笑)。音楽だけでなく、小さい頃から色々なことをやってみたかった自分がいて。苗字をつけたことで、新たな自分に生まれ変わった気持ちになってこれもやってみよう、あれもやってみようって、楽しかったら続けよう、だめならハイ次みたいにどんどん新たな発想と実践が生まれてきたんです。今、様々なことをやらせていただけるチャンスが訪れています。
――それはいい流れですね。
Toshl 今回の洗剤のWEB動画もその一つで、まさか自分がこんなことをやらせてもらえるとは思ってもみなかった (笑)。自分自身が作ってしまったタガを外すのは大変でしたけど、こんな新たな可能性に出会わせてもらっていると思うと、すごく幸せ者だなと思います。当然、その中で捨てていくものがあれば、入ってくるものもあると思うのですが、つねに無理をしすぎないように、つらくなりすぎないように、考え方を柔軟に心身の新陳代謝を活発にしていたいと思います。
――充実ぶりが伝わってきます。
Toshl 自分を解放していけるチャレンジの場を与えていただけるのは、本当にありがたいと思っています。
(文:星野綾乃)