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不妊治療のリアルを描く漫画に「自分のことかと思った」、人間関係のストレスに悩む女性たち
「子どもがいるのは当たり前」義母からのプレッシャー
【駒井さん】どうもこういった人生訓みたいな発言で、無自覚に人を傷つけている高齢者の方っていますよね(苦笑)。これはもう話半分でスルーすると言いますか、「真に受けないスイッチ」を心に持っておいたほうが精神衛生上いいと思います。妊活でもなんでもストレスを溜めるのが一番よくないですから。
──妊活で浮き彫りになる世代や社会的立場、性別の違いによる人間関係の難しさを乗り越えるには、どうすればいいでしょうか。
【駒井さん】私が本作に込めたかったサブテーマは「他者理解」です。そのために主人公だけでなく、さまざまな立場の人が直面する「妊活」というものを描いてみました。妊活当事者ではない人にも妊活さの大変さを知ってもらいたいという思いも、そこにはもちろんあります。
──ポップな雰囲気でコミカルな作風も面白いです。妊活を知らない方にも読んでいただきたいですね。
【駒井さん】たとえば若くして結婚・出産した方にも、晩婚の末に不妊治療をする方にも、それぞれ苦悩があります。そこは対立せずに、お互いの生き方を尊重すべきです。「自分だけがつらい」と思い込むと、つらさもどんどん増してしまいますが、「誰もが何か、つらさを抱えている」といった他者を理解する想像力を持つことは、結果的に自分の心を解放することにもつながると思うんです。
──妊活中には“マインドセット”も重要だということですね。
【駒井さん】私の場合は、たまたま治療環境に恵まれていたおかげで、「妊娠しなかったら夫婦2人で生きていこう」と、自分自身を追い詰めずに済みました。ですから、もしもSNSやブログに綴られたたくさんの妊活のリアルな痛みを知らなかったら、私も無自覚に誰かを傷つけてしまっていたかもしれません。そんな自分への戒めも込めて、「違う立場の他者を理解すること」が、ほんのりでも本作から伝わればいいなと願っています。