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「橋本環奈の京都弁が変どす」作品における“方言”はポップさを生む不変ツール
たびたびSNSで話題となる“方言問題” ネイティブからの標的が“お約束”に
また、『半分、青い』『エール』『ひよっこ』(以上NHK総合)など、地方が舞台になりやすい朝ドラでは方言が多用されるが、そのたびに「私は地元出身だが、あんな方言は聞いたことがない」などとして論争が巻き起こるのも定番。そもそも、地方を舞台にしたドラマにおいて、ネイティブな方言を使える俳優だけを集めて撮影することは難しい。そこで方言監修などを入れて、少しでもリアルな方言を再現しようとするのは制作側の誠意ともいえる。
SNSには“自分の知っている情報を表に出したい”という思いも強く表れ、つい「私が知ってるものと違う!」という声が大きく出てしまいがちなのだ。
インパクト大の方言は効果的な決め台詞に…“流行語”となる例も
日本のテレビドラマ史上最高視聴率を記録した『おしん』(NHK総合)は、ドラマで初めて方言指導をつけた作品ともいわれ、「おしん」が「おすん」と聞こえるほどの山形のズーズー弁は同ドラマの象徴となった。また近年でいえば、『あまちゃん』(同)でも「じぇじぇじぇ」(一部の岩手県の方言。かなりびっくりしたときの感嘆表現)が流行語となった。
全国に視聴者のいる“テレビ”では、方言といえども“伝わりやすさ”が重要
関西をはじめ、各地域のお笑い芸人が東京進出を果たした今、東京人でさえわざとらしい「〜やねん」的な関西弁を話すことが日常的になったことを考えれば、標準語に極端な方言を混ぜるくらいがテレビ的には“ちょうどいい”。むしろ、方言は日本語の表現をポップでキャッチーなものにする重要な“ツール”となっているのだ。
バラエティでも使用される“テレビ用方言” 方言のパワーが裏付けされる場面も
さらに村上は、関東の人にもわかりやすい表現を選んでしまった結果、おかしくなってしまったとも告白。実際、ネイティブの方言にいくら近づけたところで、視聴者が理解できなければ意味がないわけで、ある種の“テレビ用方言”が生まれたのも当然の結果といえる。
また、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの千鳥なども、語尾に「〜じゃ」を付ける岡山弁で全国区になったといっても過言ではない。標準語に岡山弁をミックスし、伝わりやすいけど“クセが強い”インパクトある言葉が、彼らを強烈にキャッチーにしたのである。実際、当初は関西弁で漫才をしていたが「しっくりこない」ということで、岡山弁&標準語の今の“千鳥語”にたどり着くのである。
ほかにも博多弁の博多華丸大吉、栃木弁のU字工事、茨城弁のカミナリ等々、方言を特徴とする芸人は枚挙に暇がないが、彼らは総じてネイティブではあるものの標準語を交えた方言を駆使しており、視聴者に伝わりやすくしながら方言の独自性を効果的に保ち、自分たちをポップでキャッチーなキャラとして印象づけることに成功している。
さらにいえば、かつての東北弁の気仙沼ちゃん、はんなり京都弁グラドルの安田美沙子、現在の青森のご当地アイドル・王林など方言をウリにする女性タレントもおり、『かわいい女子の方言ランキング』のような企画もバラエティ番組では定番化するなど、方言はモテ要素としても好感度がますます上昇しているのである。ドラマでは方言のワンフレーズで物語の舞台や設定を一瞬で伝えやすく、キャッチーな決めゼリフも生み出しやすい。仮に方言の発音・アクセント・ニュアンスが物議を醸したとしても、それ自体が作品の宣伝=“番宣”にもなり、つまるところ方言の持つパワー・潜在力を示す証しなのである。