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まるで動物園版“生協の白石さん”「生き物のなぜ?」に答える飼育員の回答がエモすぎる
文字を覚えたての子どもたちにも、絵だけで何か伝わればいい
後藤敦さん 子どもたちの自由研究に何かお役立ちできればということで、昨年の夏休みに始めて行いました。今年も7月23日から始めたのですが、まだまだ質問が寄せられているので現在も継続中で、終了時期は未定です。
──質問はどのように受け付けているのでしょうか?
後藤敦さん 園内のコアラ館のなかに質問箱と用紙を設置しています。これまで回答は園内に展示していたのですが、遠方からいらっしゃった方には見ていただけないので、今年から少しずつTwitterにアップするようになりました。
──どのくらいのペースで回答しているんですか?
後藤敦さん だいたい毎日10枚ほど質問が寄せられ、今年は500から600枚ほどいただいています。本当はすべてに答えたいのですが、休憩時間や業務終了後などの空き時間に書いているので、答えられるのは100枚くらいかなと思っています。
──回答にイラストを添えている理由は?
後藤敦さん 文字を覚えたてのような小さなお子さんが質問をくださることも多いんです。もちろん回答はお父さんやお母さんが読んで説明してくださるかとは思うのですが、絵だけでも何か伝わればいいなと思い、イラストを添えるようになりました。
──回答もイラストもとても熱量が高いですが、お仕事に支障はないですか?
後藤敦さん 前に「飼育員さんこんなのびのびやってて大丈夫? 上司に怒られない? って思うでしょ。その上司がやってんです」とツイートしたように、自分で時間を割り振りながらやっているので大丈夫です(笑)。僕自身、いい息抜きというか、楽しんでやっています。
──Twitterではユーモアあふれる回答とイラストが「動物園版“生協の白石さん”みたい」と反響を呼んでいますが、回答する際に心がけていることはありますか?
後藤敦さん なるべく硬くならないようにと心がけていますが、一番気をつけているのは間違った回答をしてしまわないこと。判断に迷った場合は資料を調べたり、他の飼育スタッフや獣医さんに確認したうえで答えています。
企画の趣旨からズレたような質問に頭をひねって考えるのも楽しい
後藤敦さん そうですね。コアラ館の前に質問箱を設置しているので、「コアラと意思疎通はできるんですか?」という質問をよくいただくのですが、僕たちも「コアラの気持ちがわかったらどんなにいいだろうなあ」と思っているので、どうやってお答えしたらいいのか考えているところです。
──なかには「ざりがに ひよこ きんぎょ」など、動物の名前を列挙しただけの質問にならないような“質問”も。それに対する意外なイラストでの回答(3つの動物のキメラ!?)がTwitterで大きな反響を呼びました。
後藤敦さん 好きな動物の名前を書いてくれたんだろうなあと、覚えたての字で一生懸命書いてくれているのが伝わってきたので、何かしらの形で答えたいなと思って、あのイラストになりました。
──どんな質問がピックアップされやすいんですか?
後藤敦さん 特に決めてはいないのですが…。Twitterなどで最近は注目していただくようになってから、「ウケ狙いなのかな?」と思う質問も増えているので、できるだけお子さんの真剣な質問を優先して答えたいと思っています。もちろん大人の方からの質問もうれしいですし、企画の趣旨からはちょっとズレたような質問に頭をひねって考えるのも楽しいです。
──新型コロナウィルスは園の運営や動物の飼育にどんな影響がありましたか?
後藤敦さん 現在はお客さまと動物、双方の感染防止のため、動物とのふれあいを休止しています。当園では羊の飼育も行っているのですが、群れで暮らす動物は人間のようにソーシャルディスタンスを保つことができないため、できる範囲で人間と動物との距離を取るようにしています。
──GoToトラベルも始まり、お客さんも戻ってきたのでは?
後藤敦さん 一時期に比べたら、そうですね。ただ、普段であればお子さんの質問に対面で答えるイベントなども行っているのですが、今はそれもできないので、その分「生き物のなぜ?」の回答に力を入れているところもあります。
──飼育スタッフの仕事を通して、子どもたちにどんなことを伝えたいですか?
後藤敦さん 当園ではさまざまな自然体験をご用意しているんですが、生きた動物を間近に見たり、実際に触れることで、まずはその暖かさを感じてもらいたいですね。そこから動物の生態に興味を持つのもいいですし、生き物とふれあうことで子どもたちの世界がちょっとでも広がるお手伝いができればと思っています。
(文/児玉澄子)
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