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柳楽優弥の“トリセツ”『やぎら本』 「もう隠す必要はない」過去も素顔も解放
コロナ禍で実現した同世代の俳優たちとの鼎談
柳楽20代後半のあたりから、個人的にも何か作品を出せたらと思っていたところ、ちょうど2年前くらいに、たまたま出版のスタッフさんから「本を出しませんか?」というお話をいただいたのをきっかけに、自然な流れで制作が進められていったという感じです。
実は、僕、10代の頃からジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオら映画スターの写真集や本を買い集めていて。それを見たり読んだりするのが好きだったんです。部屋にジェームス・ディーンのポスターも飾っていました。エンターテインメントの世界で自分がやってきたことを振り返ることができるものを、形として残したいという夢がひそかにあっりました。だから、ようやく夢がかなった(笑)、というような喜びがありますね。
――同世代の俳優たちといえば、『ゆとりですがなにか』(2016年、日本テレビ)で共演した松坂桃李さん、岡田将生さんとの鼎談企画も『やぎら本』に収録されていますね。
柳楽そうなんですよ。新型コロナウイルスの影響で、写真集の発売が6月から9月に延期されて、楽しみにしてくれているファンの皆さんを待たせることになって、残念だな、と思っていたんですが、そのおかげで、一度はあきらめていた3人のスケジュールを奇跡的に調整することができて、実現したんです!
『ゆとりですがなにか』は、自分にとって大切な作品の一つですし、初めて宮藤官九郎さんの脚本の面白さを芝居しながら感じられたし、いい作品をつくりたいと思っている同世代の俳優さんたちと共演できたことが“宝”だと思っています。いい出会いをくれた作品です。
柳楽そう…ですね。生まれてから30年、仕事をはじめてからは15年ちょっとですが、振り返ってみると、僕自身としては、その時々で後悔しないようにやってきたつもりで、大きな後悔はそんなにないんですが、若干の恥ずかしさはありました。ちょっと太ってしまった時期や、芸能の仕事から距離を置いた時期もあって。いろいろなことがありましたけど、その分いろんな方との出会いもあって、自分のアイデンティティーが少しずつでき上っていったとも思うんです。そういう自分を出していっても大丈夫という自信がついたというか。
俳優としていい景色を見せたい
柳楽そう、つかみどころがわからないってよく言われます。いままで素の自分を表に出すことをあまりせず、いい意味での無名性は強みだとも思っていたから。でも、12、13歳からこの業界にいて、20代も後半に入って、もう隠す必要もないな、と感じるようになったんです。素をオープンにした方が、つかみどころがない、と思われているより、監督や共演者とももっと良いコミュニケーションができるんじゃないか、お芝居もやりやすくなるんじゃないかと思うようになりました。
――『やぎら本』は柳楽さんの取扱説明書としても活用できそうですね。
柳楽僕のデビュー作『誰も知らない』の監督であり、自分の運命が大きく変わることとなった作品を手がけた是枝裕和監督とも対談させてもらって、自身の転機となった作品の話や、自分自身のこれまでを振り返った話、そして、これからどういう気持ちで俳優を続けていくべきなのかという未来についても、初めてしっかり話をさせていただいきました。いままで出してこなかったことなので、興味を持っていただけたらうれしいです。柳楽優弥の新しい一面を見て、ぜひ応援していただきたいです!
柳楽30歳の誕生日を迎え、新たなスタートを切った気分です。これからも才能あるいろいろな方と出会いたいと思っていますし、僕自身も俳優としてレベルアップしていく姿をファンの方に楽しんでいただけるような存在になりたい。是枝監督と対談した中で、「30代は俳優にとって、とても大事な時期。楽しく、面白い30代を過ごして」と言っていただいたので、頑張るのはもちろんなんですが、力み過ぎないように、いい感じで肩の力を抜いて、30代も一歩ずつ頑張っていきたいと思います。
感染症への警戒はしばらく続くと思うし、エンターテインメントの世界もコロナ前とコロナ後で変わってしまうこともあると思うんです。たとえどんな状況になっても、気持ちを強くもって、乗り越えていかないといけないな、って思っています。応援してくださっている人たちに、いい景色(作品)を見せられるように頑張りたいです。みんなで乗り越えていきましょう!
商品情報
発 売 日:2020 年9 月20 日(日)
発 行:SDP
価 格:2200 円+税
サ イ ズ:B5 変形
ISBN:978-4-906953-82-0
SDP公式サイト:http://www.stardustpictures.co.jp/book/2020/yagirabon.html
プロフィール
生年月日:1990年3月26日(30歳) 出身地:東京都
2004年第57回カンヌ国際映画祭にて、是枝裕和監督の映画『誰も知らない』で、14歳という若さで、史上最年少・日本人初となる最優秀主演男優賞を受賞。2012年には、蜷川幸雄演出の『海辺のカフカ』で、舞台初主演。2013年、映画『許されざる者』の出演で『誰も知らない』以来の海外映画祭参加、2014年には福田雄一監督・脚本の『アオイホノオ』で連続ドラマ初主演し、2015年、映画『クローズEXPLODE』に出演、2016年ドラマ『ゆとりですがなにか』では、第89回ザ・テレビジョン ドラマアカデミー賞において最優秀助演男優賞を獲得、同年公開の映画『ディストラクション・ベイビーズ』では、第90回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞などを受賞。
2017年にはNHK『おんな城主 直虎』で大河ドラマ初出演、さらに同年、映画『銀魂』、2018 年には続編の映画『銀魂2』に出演。2019年は、是枝裕和監督の愛弟子・広瀬奈々子監督のデビュー作 映画『夜明け』に主演し、映画『ザ・ファブル』『泣くな赤鬼』に出演、映画『ドラえもん のび太の月面探査機』でゲスト声優を務めた。同年5月には舞台『CITY』で5年ぶりの舞台主演を果たす。2020年夏は、話題作映画『今日から俺は!!劇場版』への出演、NHKにて放送された国際共同制作特集ドラマ『太陽の子』に主演。
今後、主演する予定の待機作に、2021年公開の映画『HOKUSAI』、日本テレビ系 ドラマ『二月の勝者 -絶対合格の教室-』、日・仏・モンゴルの3ヶ国合作映画『ターコイズの空の下で』、映画『太陽の子』が控えている。