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地上波ミニドラマの増加が顕著、『きょうの猫村さん』制作Pが語る「新たなビジネスチャンス」

コンテンツや視聴環境の多様化で、地上波の短尺ドラマは新たなビジネスチャンスに

――近年は30分ドラマが増え、「ドラマを1時間観るのは疲れる」とYouTubeの台頭やサブスクリプションサービスなどの映像コンテンツ増加に伴い、気軽に観られる短尺ドラマを選ぶ人も増えています。制作者としては短尺ドラマについてどのように考えていますか?

濱谷 もともと映画や演劇が大好きなので、2時間かけて作られる起承転結の妙や、連続ドラマだからこそ得られるカタルシスは確実にあると思っています。ただ、コンテンツを観る様式の多様化で着実にショートコンテンツが求められているし、新たなビジネスチャンスが広がったと感じています。僕は今回、ミニドラマを開発して欲しいなどと会社から要請を受けたわけではなく、自分から「配信全盛時代にテレビ局が配信と連動したミニドラマを作ることは必要だ!」と力説して、枠を獲得した節があります。本作を成功させてシーズン2も制作したいし、すでにミニドラマの企画書を他に2つほど書き始めています。とらぬ狸の皮算用ですが(笑)。

――他局ですが『監察医 朝顔』(フジテレビ系)や『あなたの番です』(日本テレビ系)も2クールと、長く放送するケースが増えています。『きょうの猫村さん』も2クール放送されますがいかがですか?

濱谷 1クールだと最初の段階で決めた盛り上げ施策で最終回を迎えてしまいがちですが、2クールあると、視聴者の声を受けて一緒に考えられることがあるのではないのか、と期待しています。例えば、印象的だったのが、ドラマの情報解禁時に、松重・猫村さんと星野源さん演じるおげんさん(NHK『おげんさんといっしょ』のキャラクター)が一緒に戯れているイラストがネット上に多数上がりました。その発想は僕にはなかった。もちろん、絶対実現できないので、期待しないでください(笑)。

―― 一方、海外ドラマのように話数が多い長編ドラマは、制作者として作りがいのあるのでしょうか?

濱谷 映画と比較すると連続ドラマは尺が長い分、中心となる起承転結とは関係のない余白、日常が描けて良いなと思っています。話数が多いと描けることも増えるし、各キャラクターのバックボーンも掘り下げられる。キャラクターへの愛着を育てていくこともできるので、カタルシスも大きくなるのではないでしょうか。ただ、ビジネス的なメリットだけを理由に、長い話数ありきで企画をスタートさせるのは危険ですよね。望まれない引張りや、無駄な煽りが発生する恐れもあります。だから一概に話数が多いドラマを作りたいとは思っていません。ただ、そういう一長一短含めて、制作者として作りがいはあると思います。

――最近は一話完結ドラマの人気で、そうしたドラマが増え、地続きで物語が進むドラマが少なくなっています。短尺でかつ一話完結のドラマが増える現状について、制作者の立場としてはどのように考えていますか?

濱谷 個人としてはオムニバスやショートショートも大好きなので、一話完結の妙はあると思いますし、途中参加しやすいので、間口も広がりやすい思っています。一方で、大ヒットするコンテンツは全話つながったことで得られるカタルシスが大きい連続モノが多いと感じています。連続モノは途中参加がしづらいので、ハイリスクハイリターンなのかもしれません。また、連続モノは脚本家の力量も問われます。製作期間が短く、プロデューサー主導で複数の脚本家が数話ずつ並行して書くスタイルは、連続ドラマの大ヒットに繋がり難い印象があります。

――連続か一話完結か? 制作者としても難しいところなんですね。

濱谷 最近、僕が担当したドラマ24『コタキ兄弟と四苦八苦』は、野木亜紀子さん脚本によるオリジナルドラマでした。全12話に1話ずつ『●苦』というサブタイトルがつく一話完結ものでしたが、その実、愛すべきダメ兄弟を巡る地続きの連続ドラマだっと考えています。一概に連続ドラマと一話完結を切り離さなくても良いのではないでしょうか。

――では最後に『きょうの猫村さん』を通して伝えたいことはありますか?

濱谷 「猫村さん」というキャラクターが大好きです。一途にぼっちゃんという恩人への再会を信じており、奉公先で邪険な扱いを受けても、自分にできることを猫なりに考えて、健気に頑張ります。嫌なことがあっても、すぐに忘れて鼻歌を歌う。猫村さんのように人に優しくできて、前向きに日々を過ごせたら素敵だと思うし、ドラマを観た人にもそんな気持ちになってもらえたら嬉しいです。

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