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山本美月や相武紗季も参加で話題、寝たきり女性が”ヘアドネーション”で髪を寄付「誰かの役に立てる喜び」
髪を寄付するもしないも“個人の自由”、髪を切らずにチャリティ参加できる仕組みづくりも
ご指摘の点、まさにその通りで、私たちも非常に危惧しております。髪を寄付するのもしないのも、長く伸ばすのも伸ばさないのも、同調圧力のような「空気」に左右されるものであってはならないと思っています。髪を寄付してくださる方には感謝の思いしかございませんが、だからといって寄付しない方が肩身の狭い思いをするようなことはあってはならない、どんな髪型にしようとその人の自由な意思が尊重されるべきというのが私たちの考えです。
――「髪がない」ことも個性として受け入れられる社会づくりも目標として掲げられていますよね。
そもそも、髪を持たない人がウィッグを必要とする大きな理由の一つが「他人の目が気になるから」です。
ヘアドネーションをする人が、他人の目を気にして義務感を必要以上に感じたり、空気に圧されて寄付したくないのに寄付するような流れは、私たちの理念に相反します。ボランティアやチャリティは、当人の自発的な意思によって行われるべきであると考えています。髪を寄付する人も、髪を持たない人も、髪型を強制されることなく、自己表現の一つとしてのびのびとヘアスタイルを楽しんでほしいと切に願っています。
――活動費はどのように工面されているのでしょうか。
全て募金や寄付金、助成金で賄われており、ほとんどが「個人からの寄付」です。おかげで活動の独立性が担保されていますが、その反面どうしても不安定な部分がございます。そこで、安定して活動資金を捻出するために、オリジナルシャンプーの販売を開始しました。このシャンプーの収益金の全額がウィッグ製作費用となります。「髪を洗う」という日常生活の延長線上で気軽にチャリティに参加でき、また、髪を伸ばしたり切ったりすることが難しい方にも活動に参加していただけることが大きな特長です。これまで非常に多くの方から寄せられた「髪を切らずに参加できることはないか」というご要望にお応えする形で始まったプロジェクトであり、私たちは「新しいヘアドネーションの提案」と考えています。
以前、ウィッグを受け取られたお子さんが、「ヘアドネーションでできたウィッグを使うことで、こんなにもたくさんの方が応援してくださっていることが分かって、とても励まされました」とおっしゃっていました。ヘアドネーションに協力することで、その受け取り手である「髪に悩みを持つ子どもたち」の存在に初めて気づき、支援の手を差し伸べる方が大勢いらっしゃることが脱毛に悩む当事者にとって大きな支えになっており、そうした理解の輪が広がっていくことを願っています。また「ボランティアの入り口」としてヘアドネーションに参加することで、さまざまな社会問題や多様性について考えるきっかけになれば嬉しいです。
――これからヘアドネーションの活動をどのように広げていきたいですか。
こう言っては矛盾するようですが、私たちはヘアドネーションを「広げていきたい」とは考えていません。いつまでもヘアドネーションがもてはやされる世の中とは、すなわち「外見に対する先入観や思い込みがある社会」なのではないでしょうか。誰がどんなヘアスタイルであっても問題視されない、多様性を受け入れる社会になることが最も望ましく、その中で私たちの活動も自然と「お役御免」になればいいなと思っています。とはいえ、今はまだ過渡期の段階です。ウィッグを必要としている方が1人でもいらっしゃる限りは、皆さまの髪の毛と思いやりの心で作られたウィッグを、1日でも早くお渡ししていきたいと思っています。