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【コミケ97】コミケの上流階級? 出展者の憧れ“壁サークル”の内情とは
壁サーの利点は“スペースの確保「売り子のスペースがなくて片足立ちで頒布したことも」
行列ができても他のサークルの邪魔になりにくい、在庫を置くスペースが多く確保できるなどの利点があるため、大手のサークルが壁際に配置されることが多いようだが、どうしてすいみゃさんのブースが壁に抜擢されたか、その理由を自己分析してもらった。
「壁配置になる1年前ほどから、自分でつくるグッズなどの搬入量が増えたことが要因でしょうか。島中のスペースの時は、スタッフさんに『ギリギリアウトです』って言われてしまうくらいスペース許容範囲を越えちゃってて。むりやりスペースに収めても、売り子さんが入れなくて、片足で立って頒布……なんてこともありました(笑)。壁になると島中よりちょっとだけ多くスペースがいただけるので、今は無事、人が立つところが確保できてます」(すいみゃ)。
壁に配置されるとポスターを壁に貼ることができるため、そういったトラブルが起きにくいことも壁サークルの利点だと言えるだろう。「ただ、壁は自分のブースだけでなく、周囲のサークルもとても混むので、うっかりしていると周囲の邪魔になってしまうので、そういった配慮が必須ですね」(すいみゃ)。
お客さんのマナーに支えられている「お釣りの準備は意外と大変ではない」
「シンプルに、その時間に売り切れてしまうことが多い…ということだと思います。私の場合は新刊(イラスト集)は終了の時間まであるようにしていますが、グッズはそのくらいの時間に売り切れてしまうことが多いです。前述したようにスペースには限りがあるので、たくさんの方に届くように作ろうとすると人が動けない、人が動けるように搬入数を考えると足りない…これは永遠の課題ですね」(すいみゃ)。
行列ができるサークルとなると、お釣りの準備も大変そうだ。「実際のところ、全然大変じゃないです。コミケ前になると1000円札と500円玉を使わないようにしていて、20枚ずつくらい貯まったら十分かなって感じです。コミケのお客さまはみんな作家さんが小銭だと助かることを知っているので、細かいお金で支払ってくれるので、お釣りに困ることはそんなにないと思いますよ。お釣りだけでなく、行列に並んでくれることや、サインを待ってくれたりお客さまの配慮に助けられている部分も大いにあります」(すいみゃ)。
『壁サー=安泰』は勘違い!?「毎回、誰も来てくれない悪夢にうなされる」
壁サークルの利点を知っているからこそ、島中に戻ってしまったら少しショックもありそうだと語るが、スペースが有限だということも理解しているゆえに、他サークルと譲り合いつつ、自分の努力も怠らないサークル活動をしていきたいと考えているそうだ。
夏は暑い、冬は寒い、室内であっても湿気で雲が出現するなど、過酷な状況を叫ばれる“コミケ”だが、作家にとっての参加意義を聞いてみると、「たくさんの方が参加する“お祭り”なので、やはり楽しいんですよね。締め切り直前は『なんでこんな大変な思いをしてるんだ、次は辞めようかな』なんて思ったりすることもあるんですけど、当日が来ると楽しくて、次の新刊のことを考えてしまいます。そうやって何年も経っている感じです(笑)」(すいみゃ)。
コミケは行列必死の壁から攻めるが鉄則「何時間並んでも欲しいものが買えればそれでいい」
1日目8時半くらいから並んでいたオスロさんは、「もちろん壁サーが狙い。いろんな人がいるとは思いますが、まずは壁サーから攻めるというのは僕の基本形態です。始発から行くか迷いましたが、10分くらいで買えたので、ちょうどいい時間に並べたなと思いました」とのこと。
他にも元気な声で電話をしながら歩いていたたけしさんに話を聞いてみると「スマホで仲間と連絡取り合いながら効率的にサークルを回っています。人気サークルさんは個数制限もあるので、欲しいもの全部ひとりで回ってたら終わっちゃうんで。仲間と相談しあいながら何日も前からフォーメーション組むのがまた楽しい。コミケの醍醐味ですね」と、コミケが続く限り人気サークル巡りをしたいと目を輝かせていた。
大盛況の壁サー列の後方にいたとんびさんは「人気サークルさんはいつも2時間くらいは並ぶ覚悟。僕の趣味を理解できない人には『時間がもったいない』と言われることもあるけれど、何時間並んでも欲しいものが買えればそれでいい」と、狙いのサークルさんへの情熱を聞かせてくれた。
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【出展情報】
コミックマーケット97
12月30日(月) ※3日目
西1ホール れ26b『Chilly polka』
新刊&新作グッズ頒布予定