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男性アイドルの結婚 "祝福できないのは本当のファンじゃない論”の行方
祝福派VS落胆派 SNSでのファン同士の論争が「アイドル結婚」の風物詩
ちなみに、この“ロス”なる言葉を現代用語にまで押し上げた福山雅治の結婚は、今から4年前の2015年、福山が46歳のときだ。いわゆる一般的な“結婚適齢期”はとうに過ぎているといってもいいだろうが、それでも「ショックで会社に行けない」という「○○ロス→今日は会社休みます」現象を生み出したのである。そして福山ロスにしても二宮ロスにしても、“ロス”が発生すれば、“こういう時こそ祝福すべき”論も同時に発生し、論争は平行線をたどっていく。
『本当のファンは祝福』は本当に正論なのか? “ゆらぎ”があってこそファンとの見方も
今回の二宮でもSNSでは、「複雑な思いを抱えてうずくまっている人に対して、安易に“ファンなら祝福しろ”って言うのは酷」、「“自分が付き合えるとでも思ってた?”とか、そういう問題じゃないんだよ。ショックなものをショックと言って、何が悪いの。今はそっとしておいてほしい」、「応援したくないって言ってない。でもいますぐにおめでとうって笑顔で言えないだけ…」等々、悲哀に満ちた声が渦巻いている。ファンにしても別に結婚に反対しているわけではなく、ただ悲しいことは悲しいわけで、むしろファンたちのこうした“想い”の吐露は正直で純粋ともいえ、尊重してあげるべきなのかもしれない。
熱く“ファン”をやってきたからこそ、彼らの行動によって心が揺さぶられたり、ざわついたりすることは自然なこと。ことに結婚という人生においての重大な決断をした大好きなアイドルを目の前にして、ファンの心に“ゆらぎ”が生まれることは当然と言ってもいい。それを否定することはできないのではないだろうか。
自由にファン活動をするためにも、“暴挙”は厳禁 一般ユーザーからの“正論”の的に
ちなみに、女性アイドルの男性ファンの場合でも、ストーカー行為を繰り返したり、あろうことかアイドルを傷つけたりする事件が取り沙汰されることもあるが、いわゆる“推し”のアイドルの交際報道や結婚報道に触れても、一時的には心が揺らぐがわりと早く冷めて、「次の推しを探すか…」となることが一般的な流れのようだ。現実的に、女性アイドルが長年に渡って“現役”で居続ける…というのも稀有であり、男性ファンが女性アイドルの結婚に憤った例は極端に少ない。
いずれにしても、常軌を逸した行動をとらず、しっかりとマナーを守ってきたファンだからこそ抱える“心の揺らぎ”のようなものは、ある程度の許容が必要と言えるだろう。
長きにわたって男性アイドルがアイドルでいられるのも、文字通り女性ファンが「アイドル=偶像」を抱きながら応援しているからだろう。そんな男性アイドルの“結婚”といった世俗的な振る舞いに対しては、女性ファンが素直に「おめでとう!」と言えないことはむしろ健全であり、当然のことだとも言える。逆に、心を動かすことが仕事でもある男性アイドルにしてみれば、ファンにそう思われること自体がアイドルとしての本懐ともいえ、「素直におめでとうと言えない…」という女性ファンたちの心の揺らぎこそが、最大の応援メッセージとなるのかもしれない。