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(更新: ORICON NEWS

アイデアは自分の中ではなく世の中にある、GO代表 三浦崇宏氏

三浦崇宏氏(C)MusicVoice

三浦崇宏氏(C)MusicVoice

――アイデアを出すために、普段から何か意識していることはありますか?
 『アイデアは自分の中から出る』と思っている人が多いと思うんですが、実はこれは勘違いだと思っています。『アイデアは自分の外、世の中にある』ものなんです。例えば、給料の即日払いサービス『Payme』というサービスの事業プロデュースを依頼された時、このように考えました。「働き方改革が進む社会の中で『Payme』の価値ってなんだろう。単なるお小遣い稼ぎではない。それは一人一人のアルバイトや店員、社員にとっての『稼ぎ方改革』なんだ」と。自分やクライアントの事ばかり考えずに、世の中に目を向けてみる。当たり前ですが、社会は常に変化している。今の常識はもしかしたら来年には違うものになる。そこでどんな企画を世の中が求めているか、こう考えると、アイデアは枯渇しようがありません。自分は有限ですが、社会は無限ですから。常に世の中との関係で考えれば、アイデアはどんどん見つかると思います。

 もう1つ「世の中のことで、自分に関係ないことは無い」と考えてみるのがいいと思います。つまり、当事者意識ですね。「働き方改革」や「AI」や「フェス」なんでもいいんですけど世の中に流行っているものが、自分の人生にどう関係あるか。当事者になって考えると、見えてくる景色も、生まれてくるアイデアも変わってきます。それに、よく会社の部下にも話すのですが『何一つ、他人のせいにするな』と。プロジェクトが失敗した時に、自分には何ができたのかを考える。先輩や上司、社会のせいにしない。常に自分を主語に考える。今は『わがまま』な人の方がいい時代だと思っています。わがままって批判されるじゃないですか。例えば「会社ってなんで朝9時なんですか」「電車が混んでいます!出社時刻を変えましょう!」と言ってもいいんです。この発言をただのわがままということもできるけど、社会をもっとよくするための「提案」と捉えることもできます。みんな自分と社会のためにも、もっと合理的にわがままになったらいいんじゃないかと思います。

――Twitterでも「炎上は議論のきっかけ」とおしゃっていましたもんね。
 SNSでの炎上については『思考停止』している人が多いような気がします。何かの話題が燃えた時、議論が生まれて良かったなと考えてみる。現状が不満だとして、何かの「アイデア」や「自分の意思」がきっかけになることで、自分を取り巻く環境や世の中がよくなることはいくらでもあると思っています。とにかく、現状に対して思考停止しない。自分を主語にして、どうすればよくなるかを真剣に考える。そういうことがすごく大切なんじゃないかなと。
 高校の柔道部の時に、走り込みと筋トレが嫌だったんですよ。なんとかしてこの二つの基礎練をやらずに強くなれるかを考えて、「グレイシー柔術」と「レスリング」を練習に組み込んだんです。未知の技術を学ぶことで練習を楽しめるし、相手が驚いて面白いようにその技にひっかかって試合でも勝てるようになった。今の仕事にある意味近いですよね。みんなと同じことをやったらどれだけ努力しても世の中の人は驚かない。別のやり方、今までとは違うやり方を考える。わがままと言われようが、今と違うことに踏み出してみる。今も昔も、僕の考え方は変わらないですね。柔道選手なのに試合が面白いって言われると嬉しかったなぁ。

――経営者として、会社を設立して良かったことは何ですか?
 博報堂にいた時、自分のゴールイメージが見えてしまったんです。将来の年収の上限や出世の限界が想像できてしまった。でも今は、これから自分がどうなっていくのか全く想像が出来ません。会社がうまくいかなくて、一人の野良クリエイターになるかもしれない。もしくは、会社がどんどん大きくなって、日本を代表する、世界中から想像もできないような依頼がくるかもしれない。今の僕には、理論上、上限がないわけです。それって、本当にエキサイティングなことですよね。それともう1つ、うちには「予想だにしない」「意味の分からない」依頼が来たりします。投資家から新しいスタートアップビジネスを考えてくれとか、地方の自治体にベンチャー企業を増やしたいとか、無理難題が相談されんです。だから、誰も考えたことのない課題に向き合い、なんとか答えをひねり出す。それらの経験が全て、僕を圧倒的に成長させてくれる。経営者になったことが結果、クリエイターとしての僕をすごく成長させています。

三浦崇宏氏AKB

三浦崇宏氏AKB

――社員の方は、三浦さんにとってどんな存在ですか?
 誤解を恐れずにいうと、経営者にとって最優先すべき対象は、クライアント以上に、『社員』なんです。社員こそが最大の財産であり、彼らを育成、マネジメントすることが、どんなビジネスよりも大事だと思っています。たとえ仕事で失敗しても、次に頑張って取り返せばいい。でも、大切な社員がいなくなってしまったら、その同じ人間とはもう出会えない。うちの社員で、僕よりもキャリアが上で本当に優秀な人間が「広告だけじゃなく、事業をクリエイティブする」という僕の思想に共鳴してくれて、自分のキャリアを投げ打って入社してくれました。僕はこの男の「覚悟」に答えることが使命だし、僕を信じてこのGOという船に乗ってくれた人間を「絶対裏切ってはいけない」そう思っていますね。

――社員の方とはとても信頼関係があるんですね?
 もちろんあります。でもそれは馴れ合いではない。社員のみんなは僕の油断や甘えを許さないし、僕も彼らに最大限の期待をしている。そこには良い緊張関係が常にありますね。僕自身、社員にすごく怒られるんです(笑)自分で作った会社なのになんだよって(笑)でも友人の起業家に相談したら「それは本当に素晴らしいと思う。お前のよくないところを怒ってくれる組織っていうのは健全だし、成長していくと思うよ」と言ってくれました。いい仲間とは、良い緊張感と信頼関係があって成長しあえる存在だと思います。

――三浦さんが仕事をしていく上で大切にされている事を教えてください。
 「言葉」をすごく大事に考えています、誰でも使えるはずの「言葉」がビジネスの成功を生み出す最大の武器だと思っています。「これほどまでの努力を、人は運と呼ぶ」、これは幻冬舎の社長、見城徹さんの言葉なんですが、僕はこの一言でいくつかの仕事の危機を乗り越えるほど頑張ることができました。例えば社員に社長である僕から「おまえを信じている」と言えば、徹夜で頑張ってくれるかもしれない。お金やエナジードリンクなんかよりも、『言葉』は人を動かす何にも代えがたい、そしてもっともコスパのいい武器でもあるんです。

――最後に三浦さんが仕事を頑張るエネルギーの源を教えてください。
 「仕事の報酬は仕事」って、僕はよく言います。いい仕事をしたら、また新しい仕事を頼んでくれる。仕事を通じて新しい価値観を学び、新しい仲間が増えていく。僕は仲良いメンバーと仕事をすることが多いし、大切にしていますが、仲間と仕事をしているんじゃない。仕事をして仲間になるんです。そして結果が出れば、お客さんが喜んでくれて、社員もそれに関わっている人も喜んでくれる。しかもお金も入ってくる。だから、仕事って本当に楽しいですよ。たまにピンチや無理難題もありますけど、この気持ちは、これからもずっと変わらないと思います。

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三浦崇宏氏(C)MusicVoice

三浦崇宏氏(C)MusicVoice

 インタビューが終わると真っ先に、「面白かったですか?」「撮り高ありましたか?」と何度も聞いてくれた。三浦氏の仕事には、1つ1つの物語があり、それを表現する言葉はとても豊かだった。この仕事が好きで、会社が好きで、社員が好き。仕事のオファーをくれた「クライアント」さんの期待に何としても応えたい。そんな熱い「ハート」を持っている方だった。三浦氏の血液が流れた『GO』という会社に、これからも新しい仕事がどんどん舞い込んでくるのだろう。「迷ったら前に進みましょうよ」そうやって背中を後押ししてくれる三浦崇宏という人間。『GO』は単なる社名ではなく、彼の生き方そのものなのかもしれない。

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