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ORICON NEWS
ドキュメンタリーとテーマソングの“一蓮托生”な関係 制作者に選曲のポイントを聞く
『ドキュメント72時間』のテーマソングは「偶然出会った」
また、毎回ある1つの場所で3日間に渡って取材を行い、そこで見られるさまざまな人間模様を定点観測する『ドキュメント72時間』(NHK総合)は松崎ナオの『川べりの家』、1人の女性にフォーカスし、輝く彼女たちの生活にひそむ7つのルールを紹介する『セブンルール』(カンテレ/フジテレビ系 火曜23時放送)は矢野顕子with忌野清志郎の『ひとつだけ』と、既存曲が採用されている。
その曲を選んだ理由について、『ドキュメント72時間』を例にあげると、「以前番組ディレクターがCDショップで流れていた『川べりの家』に偶然出会い、心を打たれるほどの衝撃を受けたことが大きかった」(販売元のポニーキャニオン公式サイトより引用)と明かしている。
『セブンルール』の曲は制作担当者のiPhoneで発見
「曲選びは重要で、番組の世界観を作る大きな役割があります。さまざまな分野で活躍している女性に密着するという『セブンルール』の内容的に、湿っぽくなるのは嫌だったし、明るく終わりたいという願望もあったので、自分のiPhoneから探していたところ、この曲を発見しました。それまではなんとなく聞いていて、清志郎さんが『離れている時でも ぼくのこと わすれないでいてほしいよ』と歌うのにグッときていたのですが、よくよく聞いてみると『大切なものはひとつだけ』というメッセージがあることに気づきました。『セブンルール』というタイトルなんですが(笑)、つきつめていけば、その人の強い想いはひとつだけなのではないか……と思い採用を決めました」(長島さん)
また、長島さんは曲選びにおいて、もっとも重要視しているポイントをあげてくれた。
「イントロが良くないとダメ、というのは意識しています。出だしの一音で引き込まれるかが大きく左右されるので。その点『ひとつだけ』に関しては、イントロのピアノを聴いた時点で『いける』と確信しました」(長島さん)
「パブロフの犬」のように聞いただけで番組を思い出すのが良質なテーマソング
「パブロフの犬のように、『この曲を聴いたらあの番組』と反射的に思い出してもらうことが大事。毎回ごとの挿入歌も、主人公の女性がニューヨークに住む人だったらニューヨーク出身のアーティストの曲、かき氷屋さんの回だったら大瀧詠一さんなど、夏の曲に絞って、テーマからは逸脱しないようにすることは意識しています」(長島さん)
『セブンルール』は女性に密着するため、視聴者層も女性をメインターゲットにしている。だからといって、いかにも女性が好みそうな曲選びはしないようにしているとのこと。もはや、“名DJ”ともいえる長島さんだが、最後に他のドキュメンタリーを見ていて「この曲選びにしてやられた」と思うことはあるのか聞いてみた。
「『ファミリーヒストリー』(NHK総合)で使用されている、くるりの『Remember me』は、もともと書き下ろしのため、歌詞と番組の親和性が高くて、イントロも最高で……『やられた』と思いましたね」
“虚構を用いず実際のままを記録した性質を持つ”という意味のドキュメンタリー。内容に嘘がないからこそ、テーマソングも歌詞、曲が軽薄であってはならないし、“変わらない安心感“を与える効果が求められる。
【番組情報】
今回の主人公は、楽天トラベルハワイ支店の女性最年少役員、吉田茜30歳。ハワイ支店に着任後、売上をそれまでの30倍に伸ばし、男性上司も「あの若さでここまで出来るのは本当にすごい。スーパービジネスウーマン」と舌を巻くほどの女性だ。
幼少期をシンガポールとアメリカで過ごした吉田は、その頃に家族旅行でしばしば訪れていたハワイを好きになった。大学を卒業後に楽天に入社。多忙な日々が続いて笑うことすらできなくなり退社を考えていた頃、海外に進出することが決まった楽天トラベルで、新たに挑戦することを決意。楽天トラベルで配属された国際営業部で実績を残し、2012年、希望するハワイ支店に赴任することとなった。
彼女の最大の仕事はウェブサイトに載せる宿泊プランを、各ホテルに提案し、交渉すること。言葉を1つ変えるだけでも利用客の反応が変わるなど、売上30倍を可能にする彼女ならではの仕事術を探っていく。VTRには現地でシェフをしている彼氏も登場し、そのやり取りがスタジオの笑いを誘う。吉田は現在12人の部下を束ねているが、そのうち11人は年上の部下。気を遣うことも多く、インタビューの最中に涙を浮かべる場面も…。そんな彼女のセブンルールとは?