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(更新: ORICON NEWS

アンジャッシュ「コントをやらないのはずっと引っかかっている」 好調な仕事のウラにある”飢餓感”

 お笑いコンビ・アンジャッシュが、6月30日(土)より全国公開される映画『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』の声優に挑戦。アンパンマンに立ちはだかる、ばいきんまんが造ったバイキンメカ“だだんだん”を渡部建、“ゴロンゴロ”を児嶋一哉が演じる。個人の活躍もめざましく、いまやコンビでの仕事が“レア”ともいえる2人に、アフレコ現場の出来事から、結成26年目を迎えた2人の関係性まで聞いた。

自由にアフレコするシーンでは「相方の手法をパクりました」(児嶋)

 今作で30周年を迎えた映画『アンパンマン』シリーズ。ゲスト参加したアンジャッシュは、「アンパンマン」の「アン」にちなんでキャスティングされた(女優の杏も同じ理由でゲスト参加)。アニメが始まったころ2人は高校生だったため、「テレビで見て好きになる」という子どもたちとは違ったきっかけからアンパンマンに注目するようになったという。

【渡部建】 高校3年生の終わりごろ、椎間板ヘルニアの手術を受けたんです。入院で寝たきりだし、その時は受験も落ちまくって浪人が決まっていたし、「人生最悪だ…」と、ふさぎこんでいたんです。そのとき病室で『アンパンマンのマーチ』が聞こえてきて、「忘れないで夢を こぼさないで涙」といった前向きな歌詞が、絶望しかけていた自分をすごく励ましてくれたのを覚えています。いまだに歌を聞くたびに、当時を思い出してグッときますね。

【児嶋一哉】 最初に見たとき、顔をちぎって食べさせたり、新しい顔に交換したりしていたので、「ヒーローがそんなことするんだ!」と衝撃を受けたことを覚えています。今では当たり前ですけど、子ども向けのアニメで、そんな設定なかったじゃないですか。

【渡部建】 『アンパンマン』がすごいなと思うのは、徐々に好きになるんじゃなくて、はじめて見た瞬間から好きになっちゃうこと。キャラクターは親しみやすいし、ストーリーもわかりやすい。そんな国民的アニメに参加することへの責任感はもちろんあるんですけど、単純に参加できたことへの喜びのほうが勝っています。まあ僕ら、“敵キャラ”ですけどね(笑)。

アフレコ現場では、同時に声の録音を行った2人。声優は経験が少ないこともあり、互いの表現方法を意識してしまったそうだ。

【児嶋一哉】 僕は“ゴロンゴロ”というバイキンメカの役で、「ゴロンゴロ」というセリフだけなんです(笑)。そのワンフレーズだけですべてを表現しなきゃいけなかったので、「これは俺の腕の見せ所だな…」と、いろいろイメージしながら一生懸命やりましたね。

【渡部建】 自分は監督さんにどういう言い方をすればいいか細かく確認しながらやろうと思っていたんですけど、相方がいきなり最初から「ゴ〜ロンゴロ!」とうなるような声でセリフを言っていたので、「こいつガッチリキャラを作りこんできたな」と軽く引いちゃって。

【児嶋一哉】 なんで引くんだよ(笑)。相方も「だだんだん」という言葉だけなので、お互い大変だなとは思いましたね。そこは監督さんが、「もうちょっと強めに」とかニュアンスを詳しく伝えてくれたので、慣れるのに時間はかからなかったかな。

【渡部建】 アクションシーンで、セリフが細かく決まっていない場面があったんですよ。「自由に合わせてみて」と監督さんには言われていたんですけど、いかんせん「だだんだん」としか言わないキャラ。だから文字を少なくして「だだだん」とか「だだーん」とか、限られたボキャブラリーの中でやりましたね。

【児嶋一哉】 相方がそういう手法を取っていたので、僕はそのままパクりました(笑)。「ゴロンゴロ」だけだったのを「ゴロ」にしたり。

【渡部建】 僕が風穴を開けましたね(笑)。

他芸人から “印象最悪”だった2人 後輩が売れて態度に変化

 結成して26年を迎えるアンジャッシュ。若手のころから『ボキャブラ天国』シリーズ(フジテレビ系)、『爆笑オンエアバトル』(NHK)に出演するなど、テレビへの露出機会は同世代の芸人に比べても多かった。映画では “敵キャラ”を演じたことにちなみ、当時「ライバル」といえる存在はいたのか聞いてみた。

【渡部建】 当時は、芸人たちの中で「他の奴らとはつるんじゃいけない」という風潮があって、ぼくらも“一匹狼”でいましたね。周りのネタがどんなに面白くても、絶対笑わないみたいな。

【児嶋一哉】 たしかに尖っていましたね。その時U-turnというコンビを組んでいた土田晃之からは、最初に会ったときの印象が最悪だったといまだに言われます。めちゃくちゃ感じ悪かったみたいです(笑)。「誰にも負けねぇぞ」とギラギラしていたんでしょうね。

【渡部建】 でもそうやって意地はってやっていたら、同期とか後輩がどんどん売れ始めちゃって…。「もう周りを気にしてる場合じゃない!俺らをどうにかしなきゃ」と“がむしゃらモード”になってから、人のことは気にならなくなりました。

【児嶋一哉】 最初から「笑わねぇぞ」みたいな感じでやっていたら、周りも自分たちのネタで笑ってくれなくなるしね。早くそれに気付けよって話ですけど(笑)。

「新作を早く作りたい」コントができないことへのもどかしさ吐露

 MCや“グルメ識者”として活躍中の渡部、そしてドラマや映画など俳優としても注目される児嶋。それぞれの強みを活かした活動が目立つ2人だが、アンジャッシュの本職ともいえる「コント」を披露する場は少なくなったようだ。昨年、バラエティ番組ですでに活躍しているアンガールズが『キングオブコント2017』に出場し、決勝に進出するなどの情報は、“コント師”の血を騒がせる出来事でもあった。

【渡部建】 「コントをやらない」というのは、ずっと心にひっかかっています。数年前までは、年1本のペースで新作を作り続けていたんですけど、いまは新ネタを作らなくても、誰からもなにも言われないっていう現状があって…。精神衛生状態をよくするためにも、新ネタを早く作らなきゃなとは常々思っています。

【児嶋一哉】 ありがたいことに、いろいろなドラマや映画に呼んでいただいていますけど、ベースにあるのはコントで培った演技力があってこそだと思うんです。「コントと芝居は違う」という人もいるんですけど、僕の演技はコントで下地ができたと思っていますね。

 コンビで出演するバラエティを見ていると、大抵いがみ合っており、2人の間に“距離感”があるように感じるが、プライベートでは互いの出演番組をチェックするなど、何だかんだで仲が良い。

【渡部建】 積極的には見ないですけどね。家にあるビデオレコーダーで「アンジャッシュ」でワード検索して録画すると、相方の出る番組も拾っちゃって……たまにドラマを見ることもあるんだけど、普通に見れなくなっちゃうんですよ。冷めちゃってストーリーが入ってこない。

【児嶋一哉】 おい(笑)。僕は相方の番組見ますよ。まぁ、さすがに全部は見れませんけど。明石家さんまさんとか、ダウンタウンさんとかビッグネームと絡んでいるときはどういう立ち回りをしているのか気にしたり。

【渡部建】 仕事の内容が違うから、いい距離感で互いに頑張れてるような気はしますね。

【児嶋一哉】 それぞれのキャラも見えてきましたし。もう結成して長いので、一緒の現場が続くのはこっ恥ずかしくて嫌だけど、たまにコンビの仕事がある今ぐらいが丁度よいです。

【渡部建】 今後の理想の活動スタイルは、 “コントライブもやりながら、今まで通りテレビの仕事を続けること”ですね。忙しい中でも、ライブをやってる芸人さんを見ているとやっぱり「かっこいいなあ」と思うんですよ。

(取材/東田俊介 文/綱島深雪 写真/野原誠治)

『それいけ!アンパンマン かがやけ!クルンといのちの星』
6月30日(土)より全国ロードショー

 今年は、好奇心旺盛でちょっと不思議な子“クルン”とアンパンマンたちが、いのちの星の故郷を救うために奮闘する物語。ある日突然アンパンマンワールドにやってきたクルン。しかし、クルンは自分がどこからきたのか、まったくわからない。そんな中アンパンマンワールドに異変が起こり、いのちの星の故郷に何かが起きていると考えたアンパンマンたちは、いのちの星の故郷へ向かいます。さらに、今年は今までばいきんまんが作ってきた数々のメカたちも登場し、アンパンマンは絶体絶命の大ピンチ!!アンパンマンたちはいのちの星の故郷の危機を救えるでしょうか?

オフィシャルサイト:http://anpan-movie.com/2018/pc/

(C)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV
(C)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2018

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