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(更新: ORICON NEWS

元祖バラドル・井森美幸、35年間に渡り“最前線”に立ち続ける衰え知らずの瞬発力

 ベテランタレントが再評価される傾向にある昨今の芸能界において、35年間活躍し続けている特異な人物が“元祖バラドル”井森美幸だ。レギュラー番組を持たずに毎日のようにテレビに出続けており、その活躍ぶりに「今のバラエティー界は井森美幸に頼りすぎている」という意見が出るほど。視聴者だけでなく共演者からも愛される “バラドル界のモンスター”の稀有な立ち位置とは?

芸能界も熟女ブーム? 再評価されるベテランの中でも特異性を放つ井森美幸

 現在、芸能界はちょっとした熟女ブームだ。昨年ORICON NEWSで実施した『女性が選ぶ理想のオトナ女子ランキング』では、石田ゆり子が圏外から首位獲得、月9ドラマの主演を果たすなど再ブレイクを果たし、現在もドラマ映画に引っ張りだこ。そのほかにも森高千里は番組MCとしての顔も定着しつつあり、篠原涼子も40代に突入してもなお活躍が続く。

 薬師丸ひろ子は20年ぶりとなるオリジナルアルバム『エトワール』を5月9日に発売。80年代の歌手活動全盛期と同じキーでの歌唱を披露し、変わらぬ美しさと実力を示した。ドラマ作品においても、元祖・東宝シンデレラの沢口靖子主演の『科捜研の女』(テレビ朝日系)が第17シーズンまで続くロングヒットとなっている。また、『好きなアナウンサーランキング』でも有働由美子アナ(元NHK)、大下容子アナ(テレビ朝日)らのベテラン勢が上位にランクイン。視聴者も変わらぬ魅力という安定感を求める傾向にあり、タレントに限らず、“ベテラン勢”が再注目される土壌ができ上がっている。

 そんな芸能界ベテラン勢の中でも特異な人物が“元祖バラドル”の井森美幸だ。“再評価”ではなく、デビューから約35年、気づけば常に最前線に居続けているのである。

ジャンル・時間帯を問わず35年間テレビで活躍し続ける類い稀な汎用性

 井森は、おニャン子クラブと同じ1985年にデビュー。この頃は“花の82年組”と呼ばれた中森明菜や小泉今日子らが人気絶頂の頃。当初は「井森美幸、16歳。まだ誰のものでもありません」というキャッチコピーでアイドルとして売り出していたが、早々にバラエティー方面に方向転換。森口博子、山瀬まみ、島崎和歌子らと同世代で、バラエティーで活躍するアイドル=バラドルを確立させた、いわば“元祖バラドル世代”。

 そこから35年経った今も、正式なレギュラー番組を持たないにもかかわらず、現在も週4でゲスト出演する『ヒルナンデス!』をはじめ、井森美幸をテレビで見ない日はないと言うほど、メディア露出が続いている。

 井森美幸のバラエティー“伝説”エピソードが多数ある。ホリプロのオーディション時のダンス審査の映像は「井森ダンス」として擦り切れるほど番組のネタにされているほか、デビュー当時のキャッチコピーをもじって、「いまだ誰のものでもありません」と自らネタにするなど、ひな壇バラエティーが全盛の現在でも、芸人に負けないトークスキルを発揮。お笑いはもちろん、情報番組、ロケ企画、旅番組、ラジオ出演等の“番組ジャンル”はおろか、朝番組、ゴールデン、深夜と多彩な“時間帯”それぞれ対応できる汎用性の高さを誇るバラエティー界の“モンスター”なのだ。

 『月曜から夜更かし』(日本テレビ系)内では、「今の芸能界は島崎和歌子と井森美幸に頼りすぎている」と紹介されたほか、マツコ・デラックスは『山里&マツコ・デトックス』(TBS系)で「最近のテレビみててさ、気づくことない? 姉さん(井森美幸)と島崎和歌子を、みんな便利づかいしすぎ」と、井森頼みになっているバラエティー界に警鐘を鳴らすほどだ。

バラエティーでの弾けっぷりで見落としがちになる“50歳間近でなお増す美しさ”

 ファミリー層向けバラエティーに出演する女性タレントに大切なのは、太陽的な明るさと清潔さ。更に井森美幸を“バラエティーの化け物”たらしめる強みの一つが、どんないじりに対しても笑顔で必ず返してくる“瞬発力”だ。芸人からの“いじり”も、共演タレントとの絡みでも、どんな投げかけにも笑顔で瞬間的に番組に合わせた“使える返し”を披露する。この“瞬発力”はタレントにとって必須事項であり、現在活躍する若手バラドル・小島瑠璃子や佐藤栞里も持ち合わせている。井森はその瞬発力が「35年衰え知らず」なのである。

 また、井森美幸は過去ラジオ番組で藤井隆から「井森美幸にはNGがないって本当?」と聞かれると、「オファー受けて行くのに、これはダメあれはダメってなると、じゃあ何で来たんだ?ってことになる」と、仕事のスタンスを語っている。そんな底抜けに明るい“人柄”も共演者にとっていじりやすく、バラエティー番組にとって何かとありがたい存在なのだ。

 井森のもう一つの強みが、全面に出ない“美しさ”だ。元々はホリプロスカウトキャラバンで12万人の中から選ばれた美少女だった。バラエティーでの痛快なやりとりが印象に残りがちだが、よく見ると今年で50歳になるとは思えない“ものすごい美人”なのである。アイドル時代と変わらないどころか、今の方が美しいという意見も多数ある。それにもかかわらず井森美幸に美人のイメージがないのは、美貌を忘れさせるほどバラエティー番組のトークのインパクトが強いことの証だろう。

 さらに、この“美しさ”が、バラエティーにおける共演者との絡みで生きている。美しく見られたいという思いは女性なら誰もが持つものだが、井森はそれを周囲に感じさせず、媚びて色気を見せるようなこともしないので同性のウケもいい。お笑い芸人の土田晃之は過去番組内で、井森美幸について「実物は美人だからいじれる。小汚かったりしたら、『うるせぇ、ババア』とか言えない」と語っている。

 現在、“バラドル”はAKB48指原莉乃や、先述の小島瑠璃子らといった若手が育っているが、井森美幸の汎用性の高さ・瞬発力にはまだ及ばない。芸能界でオンリーワンの輝きを放つ井森美幸が、果たして“誰かのものになる日”は訪れるのか? 仮に“その日”が訪れることがあれば、想像以上の地殻変動が芸能界に起こりうる可能性も秘めている。我々はまだ、井森美幸を過小評価しているのかもしれない。

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