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ORICON NEWS
ポスト高橋一生? 和田正人、“バイプレイヤー渋滞”の中で光る存在感
一見“普通そうなビジュアル”など自らの武器を最大限に生かす俳優
『Missデビル』では個性的な登場人物と設定が目立つ中、上層部と新入社員の間に挟まれる“まともなポジション”を演じ、その“人のよさそうな”、また“普通そうな”ビジュアルを武器に、若手“バイプレイヤー”として作品を際立たせている。『2018年度 ネクストブレイクランキング〜俳優編〜』(ORICON調べ)では、主演クラスのイケメンが名を連ねるなか6位にランクイン。今、最も注目を集める俳優のひとりとなった。
和田の軌跡は、あの”主演俳優“のブレイク前夜と酷似!?
「高橋さんのブレイクまでの道のりは俳優デビューの1990年から『民王』の2015年まで25年を要しています。そしてその経歴を見ると、『続続・三匹が斬る!』(1990年)などの時代劇のほか、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』(1993年)など特撮もの、土曜ワイド劇場や火曜サスペンス劇場などの2時間ドラマ…と実に多岐にわたっている。また『池袋ウエストゲートパーク』(2000年)、『医龍』(2007〜2010年)、『ゴンゾウ 伝説の刑事』(2008年)、『Woman』(2013年)など、“あのドラマにも出てたんだ…”と呟きそうになるほどの人気作に度々出演しています」(衣輪氏)
「内から出る大人の男の色気や、浮世離れしたミステリアスな存在感も高橋さんの魅力の一つ。演者として脇でも地道にコツコツと歩き、好感度の高い人物ばかりでなく、イヤな役、謎めいた役、そんなところでも本領を発揮してきたことも大きな魅力。そして37歳にして、ようやく2018年エランドール賞新人賞を獲得しました。まさに“遅咲き”。一方で和田さんも『非公式戦隊アキバレンジャー』(BS朝日)の特撮ものや、ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日)で見せたオネエなど、クセのある役もいろいろ経験。『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ)では和田さんと江口のりこさんがメインスピンオフが制作されるなど、下積みの長さや脇役でも存在感を放てる演技力や経験値、脇役なのに主演級の人気があるという点を見ると、和田さんの現在は、高橋さんの出世街道における“ブレイク前夜”時の状況と酷似しています」(同氏)
どんな役柄にもハマるカメレオン性を武器に主演俳優への道も
「現状のバイプレイヤー人気は、“諸刃の剣”とも言える一面を持っています。というのも、“最近は名脇役が人気”、“あの名脇役が主演に!”という言葉から見られるように、“脇役”が強調されてしまい、役者のイメージが“脇役”で固定化される恐れもある。そのため、もともと脇で多数の映画やドラマに出演している俳優たちのマネージメントも、“脇役”としてのイメージが付く直前に、主役へと転向させるケースが増えたように感じます」(衣輪氏)
『Missデビル』における和田は、“普通”の役でも意外な存在感を示せている。“イケメン枠”からは自ら辞退してしまっている感もあるが、逆に言えばどんな役柄でもハマってしまうということでもある。「さらに和田さんは、芝居達者にも関わらず自身を客観的に見られる俳優で、その点も高橋一生さんと酷似。また自身について“低姿勢”と自覚していると語っており、それでいてお芝居面では相当に攻めた演技を見せる。これは『特捜9』出演中の山田裕貴くんもそうで、和田さんとともに、“ポスト・高橋一生”と言ってもよいのではないでしょうか」(同氏)
和田は過去には年齢を詐称していたことも。しかしそのことが自身の発言などから特定されてしまい、詐称をあっさり認め、事務所に怒られた話で笑いを取ったり、同僚のD-BOYSに弄られたりするなど、嫌味のないキャラクターも魅力。脇役であろうと、実力が伴っていれば正当なスポットが当たる現在のエンタメシーンだからこそ、これまで多くの経験値を積んできた和田の地力は、さまざまな可能性を秘めている。
小説家の開高健は「成熟するためには、遠回りをしなければならない」と語った。和田が本格的な“主演俳優”を目指すのか、推しも押されぬ“名脇役”を目指すのか、今後の“成熟”を見守りたい。
(文/西島享)