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『笑点』に見る林家三平の“胆力” dボタンで起死回生なるか?
辛辣な言葉を浴びせられても、いつでも“笑顔” 全くブレないおぼっちゃま気質
そんな三平だが、父は言わずと知れた「昭和の爆笑王」初代・林家三平、兄は9代目林家正蔵である。2009年に二代目・林家三平を襲名したが、襲名記念講演でビートたけしには、「小朝の魔の手から逃れ、金とコネだけで見事、三平を勝ち取った」とあいさつされたほどで、世間的には落語家というよりタレント、あるいはタレントというより“二世のお坊ちゃん”“こぶ平の弟”というイメージのほうが強かった。
2016年5月に桂歌丸が『笑点』の司会を勇退すると(終身名誉司会に就任)、大喜利最年少メンバー春風亭昇太が司会に大抜擢。その空いた席に入るという形で三平が大喜利メンバーに抜擢されたのだが、その話芸やキャラクターについては、当初から疑問や不安を口にする声が多かった。視聴者からも「おもしろくない」と酷評され、歌舞伎や能、狂言などとは異なり、日本の伝統芸能の中でも珍しく落語は世襲制を重要視しないため、「さっさと笑点をクビにしたらいい」などの痛烈な声もあがったのである。
実際、本人の資質というか芸に疑問が残るのも確か。以前、たい平が手を上げていると昇太が「三平さん」と間違う場面があったが、たい平が「三平と間違えられるなんて……」と座布団から転がり落ちて笑いを取る一方、三平はなぜかニコニコ顔のノーリアクション。『笑点』と言えば、桂歌丸と三遊亭圓楽(五代目)の「ハゲVS腹黒バトル」のような“小競り合い”も見どころのひとつだけに、せっかく笑いがとれるチャンスを流すのかよ…と、視聴者がもの足りなさや苛立ちを感じてしまうのも無理はない。
これらの周囲からの“むごい”とも言える“口撃”を受けても、三平が笑顔を貫いているあたりは、「さすが」と、彼の胆力に感嘆せずにいられない部分だったりもする。
視聴者投票の“座布団0枚フィニッシュ”がお約束化 団体芸で立ち位置を確立
そして今年2月の放送では、昇太が三平の座布団を取り上げようとしたが、すでに0枚だったため「一歩下がれ」と命令。“つまらない”ことを発端に、『笑点』52年の歴史の中で“新ルール”が誕生した瞬間だった。ネットユーザーからも、「一歩下がっては斬新だったなあ」、「笑点に座布団0枚より下があるということを知っただけで今日一日生きていたかいがあった」、「三平の成長…気になる」などの声が上がり、注目を集めた。
そもそもバラエティにおいては、狩野英孝しかり岡田圭右しかり、“スベリ芸”をウリにする芸人が存在するのも事実であり、そのスベリ芸が他の芸人たちとの団体芸のなかで光っていく。大喜利の先輩メンバーに囲まれながらのいじられ役・スベリ役は“あり”であり、周囲にしてもはっきりとした役割があったほうが、いじりやすいだろう。
好き嫌いは表裏一体?? 弱点が具現化したことを武器に、気になる存在に
二代目・林家三平、47歳。まだまだ先代の爆笑王には及ばないようだが、三平ならではの“味”はいつどこで大ブレイクするかわからないし、そこがまた三平の魅力でもありそうだ。“こっそり”と期待したいところである。