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“賞レース”のグランプリが大成しない理由 そこがスタートなのに“ゴール”と錯覚?

 現在、女優として大成している多くは、必ずしも『全日本国民的美少女コンテスト』を筆頭とした大規模な賞レースでグランプリを受賞しているワケではない。むしろ、次点や特別審査員枠などから這い上がり、現在の地位まで上り詰めている。逆に言えば、グランプリ受賞者の方がブレイクしにくいというジンクスまで付いてしまっているのが現状だ。

グランプリ落選者が続々ブレイクを続けるビッグオーディション

 オスカープロモーションといえば看板女優は、米倉涼子、上戸彩、武井咲、剛力彩芽らの名前が挙がる。だが彼女たちは、『全日本国民的美少女コンテスト』グランプリ受賞者ではない。例えば米倉涼子は1992年の第6回同賞の審査員特別賞(グランプリは佐藤藍子)。上戸彩は翌年第7回の審査員特別賞(グランプリは須藤温子)だった。剛力彩芽は2002年第8回に2次選考で落選。

 90年代の人気オーディション番組『ASAYAN』でデビューしたモーニング娘。も『シャ乱Q女性ロックボーカリストオーディション』落選組で結成されたグループ。その時のグランプリは平家みちよ。看板通り、シャ乱Qはたけのプロデュースでデビューし、オリコン初登場24位にランクインした。そのほか13枚のシングルなどの作品を発表するが、グランプリらしい活躍はできず、逆に落選組のモーニング娘。が、国民的グループの称号を手にした。

 また、石原プロモーションが2000年に行った『オロナミンC「1億人の心をつかむ男」21世紀の石原裕次郎を探せ!』オーディションで、応募者5万2000人の中からグランプリに選ばれた徳重聡も同様だ。渋谷109に大々的にポスターが貼られ、ドラマや映画にも出演。今も芸能活動は続けているものの、“第二の石原裕次郎”という看板の大きさから見れば期待値以上の活躍には現在のところ至ってはいない。

 これらは『R-1ぐらんぷり』や『キングオブコント』などのお笑いの賞レースでも同様のことが言える。。優勝者は想定以上の大成はせず、寧ろ2位以下の“落選組”が活躍するというジンクスが聞かれるほどだ。

“平均点高めな人”が大規模賞レースで有利、だが“伸びしろ”という意味では?

 「大きなオーディションでは、“みんなが納得する”“平均点の高い人”が選ばれやすい傾向にあるように思います」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「大きな賞はお金がかかっているため、失敗が出来ない一面もありますが、主催者側が避けたい“該当者なし”のためには、集まった中からなんとか未来のスターを選び出さなければならない。ちなみに『21世紀の石原裕次郎を探せ!』で審査員だったビートたけしさんは『野生のトキや徳川埋蔵金を探すようなもの』と語っていました。これは的を射ており、毎年のようにスターを発掘するのはまさに至難の業。集まった中だけでムリに判断しようとすると“平均顔”に注目が集まってしまうのではないでしょうか」(衣輪氏)

 さらに同氏は「大きな賞レースでは、突出した個性のあるタイプは小さな賞になりがち。しかし個性のある方が“伸びしろ”があり、ブレイクの可能性を秘めているかもしれない」と続ける。多くの人の目で、あらゆる角度から選ぶため、つい意外性を捨ててしまい、角の取れた人が選ばれやすいというのだ。「またとある大きな賞レース準優勝の方に聞いたところ、『まるで審査員が“優勝者はこの人”と最初から決めてかかって進行した印象もありました』と述懐。その賞をよく知る女優さんも『少なくともその賞に関してはいつも、準優勝が本当の意味での優勝者のように思える』と首を傾げてらっしゃいました」(同氏)

最大の敵は“達成感” スタートであるはずなのに“ゴール”と錯覚してしまう傾向が

 グランプリ受賞者にはデビューの際、それなりのレールが用意されていることが多い。ドラマデビューやCDデビューなど、これらの特典を目指してオーディションを勝ち抜いていくことになるので、グランプリ受賞者のなかには、その称号に満足してしまう者もいる。その達成感からか、そこが“スタート”であるはずなのに“ゴール”と錯覚してしまう傾向が強いのだ。また、突然芸能人扱いをされることで生活が一変し、戸惑いやプレッシャーを感じることも考えられるだろう。

 グランプリにはレールが敷かれているのに対し、落選組はその後もオーディションを受けるなどしてポジションを自分で確立せねばならない。現場で揉まれながら成長していくため、そこで化ける可能性もある。2015年、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)に出演した平家みちよも、「オーディション合格に満足してしまった時点でハングリー精神がモーニング娘。に負けていた」など、自らの失敗を分析。ハングリー精神の大切さを語っていた。

 北川景子や有村架純も、ドラマや映画のオーディションに落ち続けながらも“ハングリー精神”をブレイクにつなげた女優。北川は『ViViエンターテインメント』(講談社)でのインタビューで「一番怖いのは、失敗を避けて挑戦しないこと」と。また有村は映画『ビリギャル』の会見で、「(オーディションに落ち続けていた頃は)特徴がないからかなとか、いっぱい考えました。(でも)これが自分。この自分をどう伸ばしていこうかと考えていた」などと話している。

落選組がブレイクする要因に日本人特有の“判官贔屓”、アイドル商法としても普遍化

 「また、“落選組”がブレイクする要因として、“スポットが当たらない人を応援したくなる”や“1位は私が応援しなくても”など、日本人特有の“判官贔屓”も関係しているかもしれません。AKB48総選挙は最たる例で、“俺がなんとかしなきゃ”という日本人の心理を巧みに利用したもの。オーディションの落選組で結成された『モーニング娘。』や、アイドルグループ・Kis-My-Ft2の目立たない4人で結成された『舞祭組』も同じ手法。これは“アイドル商法”にもしっかり根付いています」(衣輪氏)

 一方で『ホリプロスカウトキャラバン』の石原さとみや『東宝シンデレラオーディション』の長澤まさみ、『M-1グランプリ』のチュートリアルなど、グランプリを受賞してなお、活躍している人も大勢いる。賞レースはあくまでも通過点。いきなりのデビューに戸惑いやプレッシャーを感じることなく、自分の立ち位置をうまく見つけながらハングリーに成長していけた逸材だけが活躍をしていくのだろう。

(文・中野ナガ)

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