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ORICON NEWS
テレビ・映画などにも起用増、“YouTuberのコンテンツ化”加速の背景
ドラマや映画“YouTube外”に担ぎ出されるケースが急増
すしらーめん《りく》は、「ロケットパンチの破壊力はどのくらいなのか」「金庫の中に爆弾をしかけたら防げるのか」など、ときには体も張りつつ行う壮大な実験・検証企画を得意とするYouTuber。「1500℃の塩をスイカに流し込んだら大爆発した!!」動画は1400万再生もされている。ドラマではその背景にある友情、恋、将来への悩み、視聴者からの罵倒やプレッシャーとの葛藤など、YouTuberとしての素顔が描かれているという。本人のルックスもまさに“普通の高校生”っぽく、超イケメンでアイドル的人気というわけではないが、同世代から共感される「等身大」の存在のようだ。
また、同様に中高生に人気の7人組やんちゃ系YouTuber集団のフィッシャーズは、自作動画が深田恭子主演のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)の中で紹介されたり、スマホアプリ「simeji」のWEBドラマで川栄李奈と共演するなど、まさにYouTuber世代の代弁者的な活躍を見せている。さらには“バーチャルYouTuber”のキズナアイは、BS日テレで冠番組『キズナアイのBEATスクランブル』を持つほか、4月より開始するアニメ『魔法少女サイト』で声優として出演することも報じられた。3月18日にはYouTubeスペースでリアルイベントを行なったばかりだ。その他、YouTuberがライブイベントをするのはもはや珍しくなく、パイオニアのHIKAKINにしても映画『亜人』に本人役で出演、さらにはUUUM所属のYouTuberのカードをおまけにつけた「ユーチューバーチップス」なる商品まで発売(2018年3月)されるなど、もはやYouTuberの“商品力”は無視できないほどにまでなっている。このように、多方面で“担ぎ出されて”いるのだ。
タレント化どころか、タレントをもしのぐ“稼ぎ頭”となっているケースも
すでに何十万、何百万といった“ファン”を獲得しているYouTuberのタレント性は、テレビの制作側の立場でなくてももはや一般層にも周知の事実だ。また近年、さまざまな商品やコンテンツのプロモーションにはWEB戦略が必要不可欠、SNSでの盛り上がりは必須と言える。記録的大ヒット映画『君の名は』のヒットの理由の一つに考えられているのがSNSでの盛り上がりであり、『クローズアップ現代』(NHK総合)はじめさまざまなメディアで人気の理由が分析されたが、SNSの盛り上がりと共に映画の興行収入も加速度的に増していたという。
その点強大な“発信力”があり、WEB・SNSとのとの親和性も高いYouTuberは超強力なインフルエンサーでもあるのだ。そんな昨今の情勢を表すように、今や多くの人気YouTuberがマネジメント(芸能)事務所に所属しタレント化しているどころか、タレントをも凌ぐ“稼ぎ頭”となっているケースもあるという。
不祥事や炎上騒ぎも相次ぐYouTuber、次なるステップを模索するのも必然か!?
つまり、継続的なコンテンツ投下とフォロワー集めは必須となる。中途半端なYouTuberは“足切り”するということだろう。また、国内外のYouTuberの不祥事や炎上騒ぎも相次ぎ、動画内容への規制も強化される傾向にある。こういった動きからも爆発的に増えたYouTuberは、今後は淘汰されていくことが予測される。同時にYouTuberに対する社会の目も厳しくなっており、気軽に投稿して気軽に稼ぐ…というわけにもいかなくなっているのもまた事実なのである。
以前、HIKAKINがYouTuberの裏側を紹介する動画を公開した際、1日の大半を撮影と編集に費やす姿が映し出されると、「大変すぎだろ」、「好きじゃないと絶対にできないわこんな生活」といった驚きのコメントが寄せられた。企画を考え、撮影し、編集することは想像以上に労力を要する作業であり、体力的にもいつまでも続けられるものではない。 YouTubeの広告でしられることになったキャッチフレーズ“好きな事で生きていく”ためには、質の高いコンテンツにするべく努力する…という能力を持ち、継続して実行できるYouTuberでないと、生き残っていくのは容易ではない。
まだまだ“新しい職業”と言えるYouTuberだが、その変化のスピードもかなり速い。トップランナーたちは自分たちの“職場環境”の先を見据えて、YouTube“外”の次なるステージへの可能性を探っている一面もあると言えるだろう。