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星野源、音楽も役者も文筆業も…ヒット支える下積みと「諦めの悪さ」

強みは「“俳優が初めてCDを出す”とは受け取られない」こと

――ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)主題歌「恋」の大ヒット以降、活動の規模は大きく広がっています。状況が変わったことは、制作にも影響していますか?
星野源 単純に忙しくなったり、オファーをいただくものが変わってくるという違いはありますが、制作に関しては変わっていないと思います。「恋」も売れるために狙って制作したわけではなく、「この曲最高に面白い!」と思いながら作ったものがヒットしたんです。そうやって作った曲をたくさんの方が聴いてくれるのはすごく幸せなことだと思いますし、今後も面白いと思うものを作り続けることがその恩返しになると思います。「Family Song」も「ドラえもん」も、「ヤバイ!面白い!」って言いながら作っているのが伝わればいいなと思っていて。その都度やりたい音楽は違うと思いますが、根本は変えないようにしているし、変わってないですね。

――音楽に限らず、星野さんの活動は一貫していますよね。役者業も文筆業も以前からずっと続けてきたこと。一つのジャンルに絞らず、すべて続けようと思っていたんですか?
星野源 たぶん、諦めが悪いんだと思います(笑)。「上手くいかない」「やめなよ」と言われても、「でも、やりたいんです」という気持ちで続けてきた。いつか花が咲くはずとも思っていなくて、やめられなかったんですよ。もちろん、続けてきて良かったなとは思います。たとえば自分が出演するドラマの主題歌を担当させてもらうときも、“俳優が初めてCDを出す”とは受け取られないので、そこは自分の強味だなと思います。昔は、クレイジーキャッツやザ・ドリフターズとか、いろんなことをやる人はけっこういましたよね。好きなことをやらせてもらえているのは幸せです。

――昨年『第9回伊丹十三賞』を受賞されたとき、「以前は自分の居場所がなかった」とコメントされていました。
星野源 そうですね。中学生の時から学校内で役者と音楽を始めたんですけど、演劇をやっていると「音楽のほうが才能ありそうだから、そっちに集中すれば?」と言われ、音楽のほうでは「演劇のほうが向いているんじゃない?」と言われ、文章を書きたいと言ったら、「やめたほうがいいよ」って言われたんですよ(笑)。だから自分で編集者に売り込んで、200文字くらいの小さな枠から書き始めて。全部インディーズからのスタートなんですよね、最初は。そこから拾ってくれる人と出会って、仕事がつながっていった。下積みはあるし、“ポッと出ではない”という自信みたいなものはあるかもしれないです。当時はしんどかったですけどね(笑)。

昔のアイディアを持ち続け…「恋」のイントロで「ようやくできた!」

――どんな表現においても、星野さんらしさが感じられるのも素晴らしいと思います。特に音楽には“星野節”と言えるような特徴があると思うのですが、ご自身では?
星野源 ほとんどのシンガー・ソングライターは制作に編曲者が入っていて、前の作品と被らないアレンジに、という作り方をしてると思うんですが、僕はそうじゃないので。編曲も自分ですし“節”が出やすいんだと思います。例えば、スリーピースのロックバンドだったら、基本的にメンバーはずっと同じだし、「前の曲とベースもドラムもリズムも同じだ」とは言われないじゃないですか。僕もずっとバンドのメンバーは基本的に同じがいいと思っているし、彼らとのグルーヴも年月とともにどんどん深めていきたいと思っているんです。自分の中でやりたいことが変われば、音も変わりますけどね。アルバムでも、『Stranger』(2013年)から『YELLOW DANCER』(2015年)で音が変わったように。

――なるほど。
星野源 あとは…あまり日の目を見なかったアイディアでも“いつかまた必ずコレをやるんだ”ってずっと持ち続けちゃうんです。大昔、二胡を使った楽曲を作曲したんですが、それは少数の人にしか届かなかったんです。いつかまたやりたいとずっと思い続けてきて。だから「恋」のイントロで二胡を使えたときに、“ようやくできた!”って(笑)。それが日本中で流れると“ほら、やっぱりいいでしょ?”って思うんですよね。やっぱり諦めが悪いんだと思います(笑)。
(写真:宮坂浩見 文:森朋之)

『映画ドラえもん のび太の宝島』

3月3日(土)公開
原作:藤子・F・不二雄
主題歌:「ドラえもん」(星野源)
挿入歌:「ここにいないあなたへ」(星野源)
シングル「ドラえもん」2月28日発売

【公式サイト】(外部サイト)
(C)藤子プロ・小学館・テレビ朝日・シンエイ・ADK 2018

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