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アイドルから“ヒール転向”の須藤凜々花、芸能界における「嫌われ役」の必要性とは?

  • 正統派アイドルから一転、“嫌われ役”となった須藤凜々花

    正統派アイドルから一転、“嫌われ役”となった須藤凜々花

 2013年の『第1回AKB48ドラフト会議』の際、秋元康をして「絶対、須藤凜々花がいい」とまで言わしめ、次代を担うエース候補の1人として期待されていたNMB48・須藤凜々花。ところが昨年、総選挙でまさかの「結婚宣言」をしてアイドルを卒業。熱心なファンたちを混乱と失意のどん底に落とした。しかし、正統派アイドルから一転、嫌われ役となった須藤がそのヒール性で一定の需要を拡大。芸能界で求められる“ヒール系タレント”の役割を考える。

人気タレントだった矢口真里・ベッキーも週刊誌報道で“ヒール”に転落

 まさに、芸能界における評価は表裏一体。かつてキレのいいトークで活躍していた元モーニング娘。の矢口真里は、2013年の不倫騒動で元アイドルという“ベビーフェイス”の評価が激変し、芸能活動休止を余儀なくされた。“好感度女王”だったベッキーもまた、2016年の“ゲス不倫”で謹慎するなど、芸能界における立場の変貌ぶりはまさにジェットコースター並み。とは言え、両者ともTV復帰を果たしており、彼女たちのような“ヒール”にも芸能界では需要があることが見てとれる。

 事実、“転落”経験者が放つ捨て身のぶっちゃけトークはついつい聞きたくなるものだし、“スネに傷を持つタレント”の動向に対して、逐一ツッコミを入れたくなるのも視聴者心理というもの。「また何かやらかすかもしれない」…そんなドキドキ感や期待を抱かせてしまう魅力が“ヒール”にはある。

“天性のヒール”上西小百合のハートの強さ

 このように、意図せずして“ヒールターン(ヒール転向を意味するプロレス用語)”するタレントがいる中、“生粋のヒール”とでも言うべき存在もいる。それは元衆議院議員の上西小百合氏だ。秘書との不倫温泉旅行疑惑などが週刊誌で報道され、維新の党から除名されるも議員辞職はせず、代議士ながら炎上発言を繰り返してきた。昨年、Jリーグの浦和レッズに対し「親善試合は遊びなのかな」とツイート。浦和サポーターからブーイングが出ると、それに対して「くたばれレッズ!」と逆ギレ。

 さらに、漫才で社会風刺ネタを披露して話題になったウーマンラッシュアワー・村本大輔を共産党の志位和夫委員長がSNSで絶賛すると、上西氏は「議員がタレントにぶら下がってんじゃねえよ」と噛みつく。すると今度は村本が、「タレントにぶら下がった議員に、ぶら下がってのコメントって理解だけしといたほうがいいですよ 笑」と上西を口撃。それにまた上西が反撃…とまさに泥仕合の様相を呈し、その様はまさにプロレスそのもの。

 そんな上西氏に視聴者も嫌悪感を抱いたのか、「上西が出てたらチャンネルを変える」、「顔を見たくない」との声がある一方で、彼女が持つ“嫌われ役”としての数字はメディア内でも認められており、週刊誌、スポーツ紙、TVなどは彼女が何かやらかすたびに報道。何だかんだ言っても、“ヒール役”には視聴者や読者からの需要があることが分かる。

 それは“お騒がせタレント”加藤紗里も同じで、振り切った発言やインパクトのあるルックスを武器にメディアに露出。ネット民からは「加藤沙里みてたら、自称クズの芸人がまだマシに見える」「いつもどおり炎上」「人間性に難ありで支持する人の気持ちが分からんわ」といった具合にひどい言われよう。上西氏と加藤は業界内で「当たり屋」とまで呼ばれているようだが、それは一種の褒め言葉でもあり、一定の撮れ高や反響が期待できる点で今や貴重な存在。芸能界においては視聴者からスルーされるようになったら“終わり”であり、炎上芸もひとつの武器となりうるのだ。

どこまで転落するのか見てみたい? 視聴者がヒールに求める“ストーリー性”

 こうして振り返ると、ヒール系タレントにはバックボーンたる“ストーリー性”が必要とされていることがわかる。人気タレントや議員からの転落など、その落ち幅やキャラ変のギャップが大きければ大きいほど、視聴者からの注目度は増す。その点、国民的アイドルのエース候補だった須藤のストーリー性は十分。かつてNMB48でセンターを務め、冠番組『NMB48須藤凜々花の麻雀ガチバトル! りりぽんのトップ目とったんで!』(TBSチャンネル1)を持つなど、着実に人気アイドルの階段を昇っていた須藤。ところが一転、文春砲に先手を打つ形で「結婚&卒業宣言」することで“嫌われ役”になるなど、転落模様やギャップはインパクト十分。

 また、須藤はストーリー性だけでなく、炎上にひるまない“胆力”と“トーク力”を持ち合わせている点も特筆だ。アイドル時代にはSNSで「一生懸命、美しい嘘で塗り固めて生きたってどうせ死ぬんだから。経験はありません。処女です」とぶっちゃけたり、ネット動画配信で「オワコンなんて言わせない! 坂(乃木坂46、欅坂46)に流れるミーハー達を全部取り戻します。NMB引っ張ります!」と気勢を上げたかと思えば、今度は運営側に対しても、「総選挙でランクインしてやったー!じゃただ運営に搾取されてるだけ」と挑発。あげくには、運営とは「もちつもたれつの関係がよい」と発言するなど、引きのあるトークをすることでも知られる。

 実際、その“トーク力”が買われたのか、偏差値67の才媛、哲学好き、麻雀好きなどの武器を活かしながら、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)、『偏差値32の田村淳が100日で青学一直線〜学歴リベンジ〜』(AbemaTV)などのバラエティ番組で活躍しているのだ。

ヒール役にも評価逆転の可能性が!? 肝心なのは広げた“風呂敷の畳み方”

 炎上を繰り返す須藤に対して、芸能界の先輩芸人たちは意外と優しい。AKBとの絡みが多い有吉弘行は、「運動部でも何でもそうだけど、OBとかOGが学校に来て文句言うのが一番ウザったい(笑)」と、須藤を批判するAKBメンバーに対してやんわりと苦言。極楽とんぼ・加藤浩次はラジオ番組で、「面白いって言ったら失礼だけど、すげえヤツが現れたなっていう感覚」と絶賛すれば、お笑いコンビ・ダイアンの津田篤宏は須藤と共演経験があることから「頭のいい子でね。20歳で若いのにビックリしましたね」と発言するなど、須藤のタレント力と胆力は芸人達からも評価されている。

 炎上商法が成立するのは、文句を言いながらも追いかけてくるユーザーがいるという、確実な需要が見込める点が重要。その点、元アイドルというストーリー性、さらに芸人ともトークのキャッチボールができる対応力、ひな壇での会話もこなす瞬発力など高いバラエティ力を備えている須藤は “ヒール役”としてはうってつけなのかもしれない。

 とは言え、「結婚」「ドイツ留学」「ヒップホップを学びたい」などぶち上げているものが多く、視聴者はこの大風呂敷をどう畳むのかを固唾を飲んで見守っている状態。結果はどうであれ、結末に対していろいろとツッコミたい視聴者心理もあるため、やる、やらないに関わらず、風呂敷の畳み方次第では視聴者から愛想をつかされる可能性もある。だからこそ、ヒール役には自身が広げた“風呂敷の畳み方のテクニック”も求められる点を忘れてはならない。

 芸能界では、「嫌われ役=ヒール」がいればより「ベビーフェイス=正統派タレント」が光り輝くため、業界関係者はもちろん、視聴者もタレントには“光と闇”の両方を求めている。そういう意味でも、ヒール系タレントとなった須藤凛々花が今度どんなストーリーを歩むのか? まさかのベビーフェイス再転向もありえるのか? 彼女の今後の動向から目が離せない。

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