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【ライブレポート】KinKi Kids、受難乗り越え2人で立った東京ドームの意義
「今できること」を模索し、全編オーケストラ公演という選択
2017年6月に突発性難聴を煩った。10月に『テレビ朝日ドリームフェスティバル』で、KinKi Kidsとしてライブのステージに立ったものの、この東京ドーム2daysは事実上の“復帰コンサート”。耳の治療は続いているが、左耳ではまだ一部の音しか聴こえず、さらに踊りながら歌うとか、ギターを演奏しながら歌うといった複数のことが同時にできない状態のままステージに立たなければならなかった。「今できること」を模索した結果、全編オーケストラ公演という選択を、2人はした。結果として、あの日あの場所にいた誰もが、“素晴らしい”とか“感動的”とか、そんな言葉では決して表現できない、特別な体験をすることになった。瞬間瞬間に生まれてくる音楽に、ただひたすら感謝したくなるような、神聖な体験――。大袈裟ではなく、あの日のステージでは、堂本光一と堂本剛という2人のアイドルの“生命のきらめき”を見た。
KinKiの歌詞やメロディにある特別な“永遠性”
全体的に壮大なアレンジを加えていく一方、「愛のかたまり」なら最初はピアノだけ、「Harmony of December」では途中までハープの演奏だけで歌うなど、楽器それぞれが持つ音色と、2人の歌声だけをシンプルに響かせる演出も。でも、どんな素晴らしい楽器音の中にあっても、決して埋もれないのが2人の声だ。艶やかさと翳り、博愛と孤独のように相反する情感を、絶妙に歌の中に滲ませる。
2人がアイドルでなかったら活動休止を選んだかもしれない
もし、KinKi Kidsがアイドルでなく、自然発生的に生まれたデュオだったら、1人が突発性難聴になってしまったら、デュオとして活動休止を選んだかもしれない。アイドルという“夢を売る仕事”に就いた彼らだからこそ、ファンのために今できることを考え、たくさんの人たちの力を借りて、ポップス初の東京ドーム全編オーケストラ公演という、前代未聞の演出でコンサートを成功へと導けたのである。
1人では立てなかった場所に、KinKiがKinKiとして立つ
そうそうたるミュージシャンからの提供曲の他に、光一と剛の2人でソングライティングを手がけた「愛のかたまり」、来年1月にリリースされる新曲の「Topaz Love」、30枚目の記念シングルとして制作された「Family〜ひとつになること〜」の楽曲としてのクオリティの高さも、今回の演出によってますます浮き彫りになった。とくに、「Family〜」の歌詞は、まるでこの日この場所で歌うために書かれたような、尊くてつよい光を放つ。
「きみがいるから」「ぼくがいるから」「ひとつを生きること」――。愛を知る為に、愛を捧げる為に。彼らは紛れもなくそこにいた。
(文:菊地陽子)
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