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充実のコンサートから見る、大人グループV6が迎えた“新たな旬”
大人のダンス・ボーカルグループとして注目を集める
歌って踊るグループを、“アイドルグループ”ではなく、“ダンス・ボーカルグループ”と呼ぶのが一般化したのは、たぶん10年ぐらい前のことではなかっただろうか。90年代半ばまで、男性アイドルという存在は、若さゆえの“儚さ”や“危うさ”こそが最大の魅力だった。それが、90年代後半から2000年代に入ると、バラエティと芝居、音楽活動という“三足のわらじ”を履いたアイドルが次々に台頭。ダンスや歌、パフォーマンスという本業を磨く一方、テレビというメディアで、それぞれのキャラクター性を磨いていった。1997年から2008年まで、人気バラエティ『学校へ行こう!』(TBS系)のMCを務めたV6が、まさにそうだったように(2005年以降は『学校へ行こう!MAX』)。
2000年代も後半には、グループを引っ張る“個の力”よりも“グループ力”が問われるようになり、アイドルファンの大多数を占める女性たちは、メンバー同士の信頼や愛情や友情が感じられるたびに、その関係性に“萌え”た。彼らの音楽に励まされたり、メンバーが持つ向上心やチームワークが、女性たちが働く上でのヒントに繋がることもあった。かつて、女性たちがそのキラキラ感に熱狂し、エネルギーを消耗する存在だったアイドルが、いつしか、テレビやライブを観ることで、エネルギーをチャージしてくれる、そんな存在へと変わっていったのである。グループの年齢がそこまで重要視されなくなったのも、このような“求められ方”の変化にも、関係するのかもしれない。
2015年、V6がデビュー20周年の年、『学校へ行こう!』はスペシャル番組となって放送され、17.8%の高視聴率を記録。同年に発売されたベストアルバム『SUPER Very best』も22.8万枚を売り上げる。『学校へ行こう!』を観ていた世代の成長、さらに彼らのライブの充実もあって、この時期から大人のダンス・ボーカルグループの深い物語性と実力は、改めて注目されることになった。活動休止もなく、メンバーの入れ替えもなく、20年。当時の20周年ライブは、本当に素晴らしいものだった。でも、今回の公演では、彼らのワザとスピリットとチームワークで、2年前の感動と興奮を超えてきたのである。
パフォーマンスに歌声、ライブの充実ぶり
そうして、魅せるダンスから一転、後半は80年代ファンクをベースラインにした「SPARK」をピークに、自然と体がグルーヴするような、ノリノリのビートを運ぶ。華やかなパフォーマンスのみならず、歌唱に関しても彼らの進化が感じられる局面はいくつもあり、特に今年3月リリースの「Can’t Get Enough」や、アルバムタイトル曲の「The One」、森田剛プロデュース曲の「ボク・空・キミ」(大橋トリオ提供曲)など、6声あるグループの特性が最大限生かされていた。全員がボーカルを務めるということは、つまりこの楽団には、すぐれた6台の楽器があるということだ。それも、個性を備えた世界に一つしかない楽器が6台。歌に関しては、坂本や井ノ原快彦の安定感のある、クリアな歌声が注目されがちだが、三宅のハイトーンなのにエッジのある声や、森田の声の低くて渋くてブルージィーな響き、岡田の情感ある表現、長野のニュートラルかつ繊細な歌唱など、今まで以上に6人の声が合わさることで、V6がV6足り得ることを、実感させてくれた。