• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
ORICON NEWS

みやぞん&カズレーザー、“天然系毒舌”が新たなポジションに

 ANZEN漫才のみやぞんと、メイプル超合金のカズレーザーがバラエティ番組で引っ張りだこだ。番組に出演するたびにその発言や言動が話題を呼び、活躍の場所を広げている。そんなふたりの共通点として挙げられるのが、ピュアな笑顔をみせつつも、時折飛び出す悪気のない辛口なコメント。それぞれに全くタイプの異なるキャラクターの芸人ではあるが、今ふたりは“天然系毒舌”という新たなポジションをほぼ同時に確立しているようだ。

人気のふたりが時折見せる、悪意が無いだけにタチの悪い(!?)毒舌

 みやぞんは『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)で幅広い層に浸透。『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)出演をきっかけに「久しぶりに芸人で笑った!」「使えるポンコツ」などの好評価がSNSでも相次いでおり、天然いじりの天才であるとんねるずや内村光良によって、その魅力は今も掘られ続けている。『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)内のコーナー「芸人リスペクト番付」に出演した際には、尊敬する先輩の最下位である10位に指名したフジモン(藤本 敏史・FUJIWARA)に「雰囲気1位だけど中身が10位」とキツイ一言。天然キャラに似つかわしくない毒舌を吐くことで驚かせた。

 一方のカズレーザーは、初の冠番組『絶対!カズレーザー』(テレ朝系)が放送中。金髪に赤い服、バクセクシャルという独特のキャラが特徴で(相方の安藤なついわく「情報多いな」)、『お願い!ランキング』(テレ朝系)内の相談コーナー「カズレーザークリニック」では、女子力がなくて悩む女性を「女子力が高い女性なんていない。料理が上手な女性は女子力が高いわけではなく料理が上手なだけ」とバッサリ。これらの名言&辛口コメントが話題となっている。

坂上、有吉、マツコとは異なる新たなタイプの毒舌

 「このふたりは、新たなタイプの毒舌キャラ」と指摘するのは、メディア研究家の衣輪晋一氏。「現在、毒舌キャラとしては坂上忍さん、有吉弘行さん、マツコ・デラックスさんが筆頭ですが、三者に共通するのは、彼らの毒舌は、すでに“芸”に昇華されていること。一方で、みやぞんさんの毒舌は、追い詰められることで口をついて出た、ある種、苦し紛れな意見に、笑いの神が降りて来ている感じです。前出の『芸人リスペクト番付』の、濱口優さんを9位に挙げた理由コメント『雰囲気的に9位くらい』は、まさにその代表例でしょう」

 「またカズレーザーさんは、自分の中に確固たる理論があり、自分の意見と周囲の意見にも優劣を付けないタイプ。だからこそ、『あくまでもこれは俺の意見』と割り切ってズバリと言えるのでしょう。つまりふたりの毒舌は、“芸”や“ご意見番”というより、それぞれの“キャラ”からあふれ出した結果ではないでしょうか」(衣輪氏)

台本や予定調和の外側から放つ毒舌が、テレビ界に新たな刺激

 ほか共通点を上げれば、それぞれが一芸に秀でていることも挙げられる。みやぞんは、一度聞いただけでその曲をギターで弾くことができるなど、ミュージシャン顔負けの音楽的才能が。また『〜イッテQ!』のロケ企画でもたびたび披露する脅威の身体能力の持ち主でもある。

 一方のカズレーザーの趣味は美術館巡り。『〜Qさま!!』で、クイズ王・ロザン宇治原がライバル視したことも話題になっており、頭の回転の速さや批評的切り口、豊富な知識がよく取り沙汰されている。古くより「天才となんとかは紙一重」とよく言われるが、ふたりとも、類まれなる才能がある分、何を言っても「さもありなん」と許されている部分もありそうだ。

 「テレビ番組には様々な自主規制やタブー、慣例があり、これらにおもねる言動をする芸能人は少なくないのですが、このふたりは、あまり“忖度”していない印象なのも新しく思えます。つまり、番組の台本や予定調和の外にいるので、通常の空気やルールが通用せず、どこからパンチが飛んでくるか予想がつかない。特にカズレーザーさんの場合は、これが“天然”に映る理由で、実は彼なりに空気を読んで、敢えて気にしていない印象もあります。昨今、控えめな表現ばかりになったテレビ界においてこういった異端児は刺激的ですし、一石を投じる存在といえます。フランスの詩人で、映画『美女と野獣』(1945年)を監督したことでも知られるジャン・コクトーは『青年はけっして安全株を買ってはいけない』と語りましたが、彼らがベテランになっても、良い意味でいつまでも“青年”であってくれること。また一瞬先も読めない“危険な存在”であり続けることを期待しています」(同氏)

 彼らがベテランとなり、発言に重責が伴っってしまった場合、どこまで彼らの“自由”や“毒舌”が許されるのか。人を傷つけようという悪意も感じられないので、見ていて腹も立たない“愛されキャラ”のふたり。願わくばこのまま、予定調和の外からパンチを放ち続けるこのポジションで、今後もテレビ業界を盛り上げていって欲しい。

(文/中野ナガ)

あなたにおすすめの記事

 を検索