ORICON NEWS

関ジャニ∞“メトロック”レポ! アウェイ感を打破、アイドルが放つロックとは!?

悩み多く貪欲な30代、本気の7人の気持ちが歌詞に?

 ところで、今回のセットリストの中では、「Tokyoholic」が一番、関ジャニ∞というグループそのものが持つ“ロックな反骨精神”に溢れた曲になっていた。でもそれも当たり前だ。錚々たるアーティストから提供された楽曲が並ぶ中、「Tokyoholic」は錦戸がソングライティングを手がけた曲なのである。東京ではみんな見栄っ張りで強がりで、どうしたって好きになれないけど、嫌いにもなれない。10代で、親元を離れて上京し、成功を夢見て必死で頑張ってきた。デビューして、ドラマに出て、映画に出て、主題歌を担当して、ツアーで全国を回って、そこそこ人気者になったけど、まだまだ全然満足できない。必死で音楽に取り組んでいても、まだまだ全然認められない。そんな悩み多き、しかも貪欲な30代。“上から見んなや こっちも必死なんじゃ”という歌詞は、アイドルもロックも、どちらにも本気で取り組んでいる彼らが、メトロックのようなアウェイな場所で、一番叫びたかった本音のように思えてならない。

 悔しさや、葛藤や、悲しみや、鬱憤や、反発や、ロックが、そんなある種の“負のエネルギー”を発散するジャンルとしての意味合いを持つのだとしたら、成功を収めた時点でそのバンドは主張したいことがなくなってしまう。アイドルである彼らは、華やかで恵まれているように見えるかもしれないが、実際は、数え切れないぐらいの壁にぶち当たってきたし、何度も恥をかいて、人気者であるが故の不自由さも味わいながら、ずっと「俺らはこんなもんじゃねーぞ!」と心の中で叫んできたのだろう。今回披露された曲「宇宙に行ったライオン」には、まさにそういう歌詞がある。危険を避け、冒険や失敗を恐れがちな若者が増えていく今の世の中では、自然発生的に生まれたロックバンドに負けず劣らず、アイドルグループが鮮明に体現しうる“ロック”があるのかもしれない。それほど、この日の7人は、泥臭くて熱っぽくて切実で、それでいて華やかでキラキラしていた。

 「関ジャニ∞っていうアイドルグループやってます!」とサラリと挨拶していた渋谷すばるの声が、まるで「アイドルの限界も、ロックの限界も壊してみせる!」という宣言のように、夕暮れの空に高く遠く響いていた。
(文:菊地陽子)

『METROCK 2017 TOKYO』関ジャニ∞ SET LIST

5月21日@東京・新木場 若洲公園
1. High Spirits
2. ズッコケ男道
3. 言ったじゃないか
4. NOROSHI
5. 宇宙に行ったライオン
6. 象
ジャムセッション(丸山Solo〜)
7. 侍唄(さむらいソング)
8. Tokyoholic
9. 勝手に仕上がれ
10. LIFE 〜目の前の向こうへ〜

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索