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「タラレバ娘」や「あすこん」…恋愛ドラマから見える“リアル”な結婚事情

 “世相を反映する”と言われる結婚式。ドラマでも結婚をテーマにしたものは常に話題を集めてきた。「結婚」と名がつくドラマは『プロポーズ大作戦(山下智久主演)』『結婚しない(菅野美穂主演)』『婚カツ!(中居正広主演)』など、いわば“永遠のテーマ”ともいってよい。前期、日本中で話題をさらった『逃げ恥』では“契約結婚”なる言葉が広まった。今期も月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します(略して「あすこん」)』(フジテレビ系)や『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)など、20〜30代女性のリアルな結婚観を描いた作品が話題になっている。
 中でもアラサー女子3人が主人公の「東京タラレバ娘」が好調だ。第1話の視聴率は13.5%以降、第9話こそ同時間帯に放送のWBC(ワールドベースボールクラシック)によって8.5%をつけたが、それまでは順調に2ケタをキープしている。同作は30代女性3人組が主人公で、「こうしていたら…」「ああすれば…」と“タラレバ”を言っているうちに30代に突入。それぞれの「幸せとは何か?」を追求する物語で、“女子のリアル”を描いていると評判だ。
 ならば、現在の“リアルな結婚”とは何か? 式場選びの口コミサイト・Wedding Parkブランドマネージャーの菊地亜希氏に話を聞いた。菊地氏は「結婚式は数年単位で徐々にトレンドが変化しています」と指摘する。菊地氏が語る2016年以降の結婚式の“リアル”を紐解いてみよう。

Wedding Parkブランドマネージャーを務める菊地亜希氏

Wedding Parkブランドマネージャーを務める菊地亜希氏

プレ花嫁、ブロッコリートス…結婚式のトレンドから社会の動きがわかる

 結婚式のトレンドは年々変化している。過去にはゴンドラにスモークというド派手な演出の「派手婚」が開かれていた。その後、バブル崩壊時期と重なる頃に「地味婚」が流行。そして1997年には日本初のゲストハウスがオープン、2000年代には少人数で祝う「アットホーム婚」がブームに。その後も、2011年には東日本大震災以降、「つながり」や「絆」を謳った「アットハート(つながり)婚」が登場。2012年には友人と一緒にウェディングアイテムをDIYしたり、ゲスト全員参加型の演出を催す「共有婚(シェアド婚)」が一躍ブームになった。

DIYしたうちわ型の席札

DIYしたうちわ型の席札

 菊地さんは「2016年以降は“インスタグラム”が大きなキーワードになっている」と分析する。インスタと結婚式がどう関係するのか。その典型例が「プレ花嫁」と「卒花嫁」だ。

 「プレ花嫁」は文字通り「結婚式を迎える前の花嫁」のこと。一方の「卒花嫁」は結婚式を終えた花嫁のことだ。「ウエディング専用のアカウントを作るんです。準備の過程もフォトジェニックに記録して、インスタグラム上で花嫁同士で準備の過程を共有したり、悩みを相談したりする。産後の“ママ友コミュニティ”に近い感じなのかなと思います」と菊地さんは趣旨を説明する。実際にイベントやオフ会を開けば、プレ花嫁たちが集まって準備の工夫やお互いの悩みを打ち明けあい、大盛況らしい。

 そんなプレ花嫁たちのよき相談相手が「卒花嫁」だ。「卒花嫁との交流は情報交換です。同じ式場で挙式した卒花嫁に感想を聞いたり、ガーランドなどの使い終わった小物を譲ったり。中にはドレスを譲ることもあるんですよ」と話す。

 実際にインスタグラムで検索すると、「#プレ花嫁」の件数は154万件にのぼり、「#日本中のプレ花嫁さんと繋がりたい」は28万件を数える(3月10日時点)。

 また、検索機能を使えばリアルな実際の結婚式の様子もわかるようになった。例えば「ウエディングケーキのデザインとして、スポンジをむき出しにした『ネイキッドケーキ』がジワジワと流行っています」と指摘。外国で始まったネイキッドケーキをインスタグラムで見かけたのをきっかけに取り入れる流れが広まってきている。

 また結婚式の盛り上がるポイントの一つでもあるブーケトスについても変化があるという。「主に新郎側の演出、ブロッコリーを使ったブロッコリートスです」。ブーケトスならぬブロッコリートス、その背景には初婚年齢の高齢化も関係ありそうだ。厚生労働省の調べによると初婚年齢は年々上昇を続け、2005年の男性28.5才、女性26.3才が、2015年には3歳ほど上昇し、男性31.1才、女性29.4才という結果に。確かに未婚女性を集めて行うブーケトスは、晩婚化が進んだ現在ではそぐわないのかもしれない。それよりも「ブロッコリートスは男性が気軽に参加できるのも流行っている要因なのでは」と菊地さんは語る。

話題のVRやプレミアムフライデーも導入!?

 無論、インスタグラムがキーワードであるとしながらも、菊地さんは「“多様化”も一つのキーワード。どうやったら自分たちの色も出しつつ、独りよがりにならずに来客をもてなすことができるのかが主眼に置かれています」と指摘。事実、結婚式に招待する人数は減少傾向にある(2014年66.5人→63.3人)。一方でかける金額は増加傾向(2014年309万円→2016年319万円)にある。参加者一人あたりにかける金額は増加傾向にあるのだ。

「多様化する趣味趣向を取り込むために、式場ではさまざまな取り組みが始まっています」と菊地さんは続ける。
 例えば名門・八芳園は、結婚式当日のメニューを保管し、式後も結婚式の日のメニューを食べることができる。また、2月24日に解禁したプレミアムフライデーに紐付けて、挙式模擬体験ができる「プレミアムフライデーフェア」を開催する式場が登場した。
 さらには、リッツ・カールトン大阪では、2017年から今話題のヴァーチャル・リアリティ技術を導入。結婚式当日の様子を360度見渡せる映像で撮影する「VRウエディングムービー」サービスの提供を開始している。

 他には婚姻届をアレンジすることも静かなブームだ。立川市では可愛くデザインされたプレミアム婚姻届けが話題に。長友夫妻が利用したことで話題になった婚姻届をおしゃれにする「デザイン婚姻届製作所」も、今年2月14日より通販から実店舗を展開、全国同時に7店舗を出店した(Wedding Park Magazine参考)。

 個人の趣向に合わせて多様化を遂げる結婚式。十人十色のニーズをどう捉えるか。そこにはまだまだ大きなチャンスが眠っている。

取材・文:武田鼎
写真(菊地亜希):保田敬介

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