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NHKが本気の悪ふざけ? 『空想大河ドラマ』はパロディの極み
15分の深夜ドラマだが、NHKだけに何から何まで“本格的”
そもそもは「岸田戯曲賞」作家・前田司郎氏に、「深夜枠だからあんまり予算はないけど、ネプチューンさんが出てくれるから何か面白いことやって」(『NHKオンライン』1月31日より)とオファーしたことから始まった。前田氏は「実際、戦国時代だって一年中、戦っていたわけじゃないと思うんですよ。戦争のない冬はみんなでお酒飲んで過ごしていたとか。そういう本家の大河ドラマではカットされているところをピックアップしたい」(同)との思いで脚本を手掛けている。
しかもNHKだけに、時代劇のノウハウはおてのもの。衣装やセット、スタッフの人材も豊富で、だいたいが予告編の動画からして本格的である。だからこそ、ネプチューンらの繰り出すお笑いのノリが余計に強調されて笑えるのだ。先の中村氏も「映像は連続テレビ小説『梅ちゃん先生』のオープニングタイトルを作った方と、“ちゃんとしたもの”を作りました」(同)と語るように、音楽も作曲家・上野耕路氏が手掛け、15分の深夜ドラマにしては何から何まで“本格的”なのである。それは“再放送?”と勘違いしてしまうほど、カメラワークや間のとり方など、どこからどう見ても、大河ドラマの作りになっている。
大河ドラマの看板を持つ自局だからこそできるパロディ
普段はコントでしか見られないネプチューンの3人。演技力ではすでの定評のある原田が脇を締める中、明智役の名倉の空虚なセリフ回しや当主役の堀内の棒読みなどが、何となくクスっとしてしまうおかしさがある。たが、ディレクターの大原拓氏によれば、本業の役者にはできない、計算してないからこそできる表情もあるとのこと。特に第1話のラストシーンで見せた堀内などは、「役者にはできない表情」(『NHKオンライン』1月20日より)だと絶賛しているのだ。
全4話、最後は目玉(?)の「本能寺のようなもの」(中村氏)も出てくると言うだけに、今後の展開も楽しみなところ。どこかで聞いたことのなるような武将もふんだんに出てくるだろうが、そこは“空想大河ドラマ”、内容はあくまでも新感覚コメディだ。深夜番組だけに潤沢な予算という訳にはいかないが、大河ドラマの看板を持つ自局だからこそできるパロディ力と脚本だけが勝負になるだろう。「実際の大河ドラマで使っているものと同じようなセットを建てました」(中村氏)と、たった15分の深夜のコメディドラマに、これほど“豪華”なセットやスタッフを“自前”でつぎ込めるNHKには、もはや脱帽するしかない。