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(更新: ORICON NEWS

佐藤健の朗読の魅力を堪能、『トラベルノベル「風の惑星」』の豪華コラボ

 佐藤健、くるりの岸田繁、浅野忠信がコラボした作品が今、話題を呼んでいる。非常に豪華な顔ぶれに、まるで映画のキャスティングのようだと驚く人もいるだろう。だが、彼らが参加したのは、トヨタ自動車が取り組む『5大陸走破プロジェクト』の一環として作られた『トラベルノベル「風の惑星」』という映像作品。特設サイトで配信されている連作のWEBムービーである。

南米大陸の映像をバックに佐藤健が朗読する、不思議な物語

 トヨタ自動車の従業員自らがステアリングを握り、“もっといいクルマづくり”を担う人材育成を目的とした『5大陸走破プロジェクト』は、2014年のオーストラリア大陸走破からスタート。2015年は北米大陸、そして本年は南米大陸走破を目指している。『トラベルノベル「風の惑星」』は、そのチームから送られた南米大陸の映像をもとにしている。トヨタの担当者によると、「今回走破した場所は、とても普通の観光旅行では行かないようなところ。それを記録して、クルマがあればこういう風景に出会えるという感覚をみなさんに共有したい」という思いから発足したものだそうだ。そんな映像に、浅野が描いた独特な絵によるオープニングアニメーション、オーケストラで奏でられる岸田の音楽、そして佐藤が朗読した物語が深みを与えている。

 『風の惑星』の幕開けは、音楽に乗せたアニメーションから。そして、南米大陸を走破する映像をバックに、“ひとりの男が旅に出た”という佐藤健の朗読により、物語はスタートする。失恋したことをきっかけに、手術によって彼女の名前である“ま”“ゆ”“み”という3文字を発音できなくしてしまった男の、切なくも不思議なストーリーだ。

 単に記録映像を流すのではなく、物語を乗せることで面白さを提供する、それが『風の惑星』の特徴でもある。次々に流れていく映像は非常に美しく、現地の空気をそのまま写し取ったようで旅情を誘う。佐藤も、「映像がとてもきれいなので、その情景を思い浮かべながら収録した」と語っている。

これまでの役者経験が育んだ、朗読という“声”の魅力

 佐藤を起用した理由について、同企画の担当者は「声のセクシーさ」を挙げる。「佐藤さんの“声”が旅をするとしたら、と考えて物語を書いた」というだけあって、その朗読は『風の惑星』にしっとりとハマった。感情を前に出しすぎることなく淡々としているが、艶っぽい湿り気もあり、どこかに寂しさをも感じさせる。乾いた南米の映像と相まって、いつの間にか男の心情が心にしみてくるのだ。今まで俳優として、いくつもの人生を歩んできた経験がそうさせているのであろうか。ナレーターの綴りとは違ったリアルさが感じられた。

 佐藤健といえば、『仮面ライダー電王』(2007年)で人気俳優の階段を駆け上り、大河ドラマ『龍馬伝』(2010年)では岡田以蔵役を熱演。映画『るろうに剣心』シリーズ(2012〜2014年)で魅せた迫力ある太刀さばきなどでも知る人は多いだろう。だが、そんな実力派俳優の佐藤をもってしても、芝居と朗読とは似て非なるもの。この物語についても、「主人公が“ま”“ゆ”“み”の3文字を発音できない設定なので、そこは苦労しました」と語っている。だが、収録を進めていく上で「彼が行く先々でどんな人に出会うのか、どんな展開になるのか、毎回、楽しみにしながら収録に臨んでいます。彼のようにドラマティックな出会いがあるのかわかりませんが、ぜひ車の旅に出てみたいと思いましたね」と、やりがいと共に、自身が『風の惑星』に触発されたことも明かしてくれた。

南米への関わりも多かった、佐藤と『風の惑星』の運命的な出会い

  • 浅野忠信の絵によるオープニングアニメーション

    浅野忠信の絵によるオープニングアニメーション

  • くるり・岸田繁が作曲した音楽「風の惑星」、オーケストラ演奏の収録風景

    くるり・岸田繁が作曲した音楽「風の惑星」、オーケストラ演奏の収録風景

 ちなみに、「最近、自分自身も仕事で南米に行く機会が多かったので、南米の町が持つ独特の鮮やかな色使いや、植物の濃い緑の色、乾いた風の感じなど、懐かしく感じました。イグアスの滝(アルゼンチンとブラジルにまたがる世界三大瀑布のひとつ)は、とにかく迫ってくるエネルギー量がすごいので、目の前にすると圧倒されました。あと、ウユニ塩湖は、自分が訪れた場所の中でも特に印象に残っています」と、自身と南米との関わりも語ってくれた佐藤。現地を知る彼だからこそ表現できる空気感もあったと思われ、今回の企画がある意味、運命的なものであったことを感じさせる。

 一方、オープニングアニメーションの絵を担当した浅野忠信は、普段から自身のSNSで、シュールなイラストをいくつも投稿している。「地平線はまっすぐ描かない」といったこだわりもあったという彼は、今回も独特なタッチで、クルマが大地から海、空の上までを走る様子を描いた。物語に流れる音楽を手掛けたのくるりの岸田繁は、この企画の最初の打ち合わせの段階で、「あ、浮かびました」と微笑んだという。なんと翌日にはデモを仕上がり、最終的には出来上がった楽曲をオーケストラで演奏。温かみと郷愁が感じられる音楽は、映像と佐藤の朗読をさらに印象的なものへと昇華させている。

 このように、豪華かつ印象的な仕上がりとなった『トラベルノベル「風の惑星」』。全8話のストーリーを2週間ごとに2話ずつ公開しており、10月28日にも2話更新し、現在は6話まで配信中。「お前は、声を取り戻したいか?」と言われた男が5話ではある出会いを果たし、さらに物語は展開していく。さらに、物語の公開とあわせ、この作品のもとになっている南米大陸の映像もダイジェスト版として同時公開している。多様で厳しい道を走行する迫力満点の映像も必見だ。
「南米走破2016 REPORT MOVIE」(外部サイト)

 なお11月11日公開予定の7話、8話については、WEBサイト『CINRA.NET』にて特集予定。佐藤らにより紡がれる物語の今後を楽しみに待ちたい。

TOYOTA GAZOO Racing 風の惑星│5大陸走破プロジェクト(外部サイト)

(文/今 泉)
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