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【Hey! Say! JUMPライブレポート】勢いに乗る9人、山田涼介演出の“舞踏会”の完成度
山田涼介が演出など担当、統一感ある“舞踏会”風ステージ
大きくなった理由として、コンサートのコンセプトが、より明確になったことがまず挙げられる。以前は、八乙女光や薮宏太が構成・演出のアイディアを形にしたものが多かったのだが、3rdアルバム『smart』発売時からはアルバムを軸にしたツアーを行うようになり、メンバー全員でブラッシュアップするようになった。今回は最新アルバム『DEAR.』のリード曲「Masquerade」にインスピレーションを受けて、曲順から演出、衣装、グッズまでを山田涼介が担当。9人が仮面舞踏会への招待状を運ぶ映像から、その舞踏会の場であるメインステージ、天上にはゴージャスなシャンデリア、ステージを華やかに彩る幾多のコスチュームの中には、NEWSの増田貴久がデザインしたものも。そして曲によって放つ光が変わるペンライトも仮面仕様と、その統一感は見事なものだった。MCで山田は「半年前、取材を受けている最中にパッとアイディアが降りてきて、メンバーに(構成を)やらせてとお願いした」と明かしてくれたが、その閃きをここまで具現化させた彼のプロデュース力に驚かされた。
ファン層が広がったからこそ、自分たちの真髄を届ける
続く「Tasty U」、ストリングスアレンジされた「Ride With Me -2016-」の流れは、グループのクールな部分をもっとも表現していたように思う。テレビの彼らだけを観てきた人は意外に感じるかもしれないが、これもHey! Say! JUMPなのである。逆に、個々の活動が忙しいなかで、ここまで揃ったダンスを完成させたことに感服した。以前からよく「コンサートでの僕らが本来の姿」と語っていただけに、ステージにかける努力は少しも惜しまない。ファン層が広がった今だからこそ、自分たちの真髄を届けようと、より多くの情熱を注いだのだろう。
この日は、10月26日に発売する新曲「Fantastic Time」も披露。終始踊るネオレトロ・テクノポップで、新たな魅力を引き出していた。ダンス曲が多かったからこそ際立った曲もある。伊野尾慧のピアノから始まる「ChikuTaku」だ。切なさを助長させる伴奏で山田と薮がしっとりと冒頭を歌い、一瞬の静寂の後に岡本圭人と中島裕翔、八乙女のJUMP BANDがドラマティックに盛り上げる。JUMP BANDの演奏は今回この曲のみだったが、タイトなプレイは本当に安定感がある。ここで聴かせる薮と八乙女のハモリは、その美しさに格別の感情を思い起こさせた。また、「Dear.」での山田と薮のハーモニーは温かみを感じさせるなど、ダンスに負けない歌力を聴かせてくれた。
10周年イヤーを前に、グループとして個人としても自信
そんな自信に満ちあふれた彼らは、もうすぐ10周年イヤーに突入。節目となる時期に、東京ドームでの初の年末年始単独コンサートを開催することが決定した。メンバーは「信じられない!」というリアクションだったようだが、加速する人気からすると、自然な流れではないかと思う。「10周年は感謝の年にしたい。皆さんは僕たちの生きる道標になっています。ステキな思い出をありがとうございました」。薮が放ったジェントルな挨拶で締めくくられた舞踏会は、間違いなくJUMP史上ベストライブだったが、この年末年始にどうアップデートされるのか、彼らへの期待がまたひとつ増えた。平成という時代をジャンプする。彼らは今、いちばん大きなジャンプをしようとしているのかもしれない。