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過剰なファンサービスが奪う“アイドルの価値”

 AKB48が“会いに行けるアイドル”をコンセプトに大ブレイクしたことをきっかけに、“アイドルとファンの距離”がどんどん縮まっているのは周知の通り。CDを買って“握手券”をもらえるのは言うに及ばず、ついには“壁ドン”“顎クイ”“お姫さま抱っこ”など、女性の憧れる“プレイ”を提供するイケメンによるフリーマーケット「メンフリ2016」なるイベントまで開催されるという。もはやファンの願望がすべて実現してしまうのでは?というほど“ファンサービス”が過激化・過剰化している現在、もう一度アイドルのあり方を考えてみたい。

ついに“付き合える”アイドルまで登場 ファンが“プチ・タニマチ”に

 アイドル黄金時代の1970〜80年代は、アイドル=トイレにもいかない“神聖な存在”であり、ファンとの距離が遠いほど“偶像化”されていた。しかし1985年、秋元康氏プロデュースによるおニャン子クラブがクラスメイト的なノリで人気を獲得した後、偶像としてのアイドルの人気は下降しはじめる。

 長らくアイドルの“冬の時代”が続いたが、2000年代に入って再び秋元氏プロデュースによるAKB48が登場し、小劇場の公演や握手会などで“会いに行けるアイドル”を掲げると、一気にアイドル“グループ”の人気に火が点いたのである。そして、アイドルに対するファンたちの志向としても、“憧れる”というよりは、“身近な”存在として機能していくようになる。

 「同時にファンサービスも過激になっていきました。特にテレビに出ないようなアキバ系の地下アイドルになると、会いに行けるどころか話ができる、触れられる、ついにはご法度だったはずの、(ファンとアイドルが)“付き合える”アイドルまで登場したんです。お金をたくさん使ってくれるコアなファンの囲い込みが激化して、いわばファンが“プチ・タニマチ化”したんですね。こうなると、もはやアイドルとファンの垣根がないも同然。イベントの運営側がもともとファンだったりする場合もあって、アイドルとファンとの交際などが問題となり、純粋なファンがどんどん離れるという例も出ているのが現状です」(エンタメ誌編集者)

過剰なファンサービスにより崩壊したアイドルとファンの距離感

 CD特典の握手会からはじまったファンサービスは、ファンとの距離が近くなればなるほど過激化していき、例えばCD30枚でアイドルの手料理が食べれる→50枚で一緒にカラオケ→100枚で1時間半のデート……など、確かに行き過ぎ感もある。実際、人気アイドルが“「独占禁止法」上の「不公正な取引」に抵触する恐れ”があるとして販売を中止したこともあり、公正取引委員会がいつ動いてもおかしくない状況である。しかし、ファンを囲い込む戦略は、ジャンルを問わず“芸能事務所のドル箱事業”として、以前から存在していたのも事実。

 「よくあるのが、ファンクラブの会員とタレント本人が1年に1回、それなりの会費を取って事務所主催で1泊旅行するといったもので、これは俳優、歌手、アイドルを問わず、意外と普通に行なわれています。かつて、特に新宿二丁目界隈で人気のあった某人気俳優さんが、ファンたちと1泊旅行したところ、参加したファンがほとんど“そっち”系の人で、その俳優さんが恐怖におののいていた…なんて都市伝説的な話もありますが(笑)、このファンサービスにしても、本当は普段からファンとの距離感を保っていればこそ、プレミア感も出てくるというもの。安易にサービスが過剰になれば、いろいろと問題が出てくるのは当たり前です」(前出・編集者)

 結局、ファンとの距離が近すぎたり、ファンサービスが過激化すれば、アイドル自体の価値を低下させることにもなり、自らの首を絞める結果になってしまうだろう。時代とともに、ファンがアイドルに対して求めるものが変わってきているとしても、やはりアイドルには、“みんなの憧れの存在”であり、“特別な存在”であってほしいもの。アイドル側が自らの価値を下げるような過剰なサービスにならないよう、アイドルとファンの線引きをもう一度見直す必要があるのではないだろうか?

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