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アイドルの“再就職先”、フリーアナが受け皿として拡大
タレント出身・フリーアナの活躍で、女子アナの“くくり”が曖昧に
「ただ、元アイドルの紺野アナや平井さんにしろ、あるいは大学在学中にミスコンでグランプリを獲ってタレント活動をしていた多くの女子アナさんにしろ、みなさん名門大学を卒業し(紺野、平井は慶應義塾大学、中元は上智大学)、超難関の女子アナ採用試験をくぐり抜けてきた“才女”なわけです。アナウンサーとして最低限のスキルを身につけるために、局による実習や訓練を積むという慣習がこれまでの流れだった。そこに、アイドルやタレントさんたちが“フリーアナ”として参入してきたんです。フリーアナと言っても芸能活動の延長線上にあるので、それまでの女子アナの“くくり”が曖昧になってきたきらいはありますね」(エンタメ誌編集者)
フリーアナと局アナとの“線引き”とは? 局アナとの二極化が加速する可能性も
「そのきっかけのひとつが、『ひるおび!』(TBS系)のお天気アナウンサーとしてAKB48の柏木由紀さんが出演したことでしょうね。当時、柏木さんは現役アイドルであり、まだ17歳でした。意外にトークも上手く、天気予報やニュースを現役アイドルが読んでも別にいいんだ、という前例を作ったんです。以来、ソロ歌手になるか、女優になるか、バラエティ番組で頑張ってタレントになるかというアイドルの再就職先のひとつとして、“女子アナ”という選択肢が加わったのです」(前出の編集者)。
近年、フリーのアナウンサーなのかタレントなのかわからない、ということがよく言われるくらい、フリーアナが増えている。確かに元アイドルや元タレントのフリーアナのほうが知名度もあるし、仮にバラエティに出演するにしても局アナよりも叩かれにくいという面もあるだろう。そうした意味では、今やフリーアナとタレントとの“線引き”の必要はなくなってきたのかもしれないが、局アナの存在に対しては、依然としてステイタスが付与されているようにも思われる。今でも局側は従来通りにアナウンサーを育てているし、例えばNHKの女子アナの実力は高く評価され、大河ドラマや朝の連続テレビ小説の“語り”で局アナが採用されると、“女子アナの再評価”が進んだりするという現状もある。
しかし、アイドルたちの再就職先として、歌手や女優に加えてフリーアナウンサーが定番化していくことも間違いないと思われる。そして今後は、フリーアナへの門戸はさらに開かれていくだろうし、女子アナウンサーという職業の“あり方”自体、局アナとフリーアナとで大きく二極分化していく可能性もある。テレビ文化の隆盛から、ここ十数年のメディア環境の激変は、“女子アナ”というポジショニングにも大きな影響を及ぼしている。