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10月期の平均年齢は42歳、ドラマの主演役者が高齢化〜5年前より10歳増

  • 10月期ドラマ『レンタル救世主』(日本テレビ系)主演の沢村一樹 (C)ORICON NewS inc.

    10月期ドラマ『レンタル救世主』(日本テレビ系)主演の沢村一樹 (C)ORICON NewS inc.

 今期の夏ドラマもほぼ終了を迎え、10月からの次期プライムタイムで放送されるドラマの主演俳優も発表された。主役を務めるのは、米倉涼子や天海祐希、菅野美穂、織田裕二、沢村一樹、玉木宏など、豪華俳優陣が勢ぞろいしているのだが、ふと気づけばアラフォー・アラフィフを中心に平均年齢は約42歳と、主演俳優たちの“高齢化”が進んでいるように思われる。果たしてこの傾向には、どんな戦略が秘められているのだろうか?

20代の主演は4作のみ、経験豊富な豪華俳優が勢ぞろい

 10月期からのドラマの主演俳優を列挙すれば、『科捜研の女』(テレビ朝日系)の沢口靖子(51歳)、『ドクターX〜外科医・大門未知子』(同)の米倉涼子(41歳)、『Chef〜三ツ星の給食』(フジテレビ系)の天海祐希(49歳)、『砂の塔〜知りすぎた隣人』(TBS系)の菅野美穂(39歳)、『THE LAST COP』(日本テレビ系)の唐沢寿明(53歳)、『IQ246〜華麗なる事件簿』(TBS系)の織田裕二(48歳)、『キャリア〜掟破りの警察署長』(フジテレビ系)の玉木宏(36歳)、『レンタル救世主』(日本テレビ系)の沢村一樹(49歳)など、確かに経験も貫録もある豪華絢爛たる顔ぶれで、アラフォー・アラフィフが勢ぞろいしている

 一方20代で言えば、フジの新月9ドラマ『カインとアベル』の山田涼介(23歳)や『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の新垣結衣(28歳)、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の石原さとみ(29歳)などがいるが、全13作品中4作品のみ。逆に“ガッキーも石原さとみも三十路目前か!?”という驚きもあるが、10月期ドラマ主演俳優の平均年齢が42.5歳(フジテレビ系『メディカルチーム レディ・ダヴィンチの診断』の主演・吉田羊は年齢非公表なので除く)であることは間違いない。

5年前より10歳高齢化 若者向け恋愛ドラマ、学園ドラマも年々減少

 ちなみに7月期で言えば、『好きな人がいること』(フジテレビ系)の桐谷美玲(26歳)、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子 』(同)の波瑠(25歳)、『せいせいするほど、愛してる』(TBS系)の武井咲(22歳)、『時をかける少女』(日本テレビ系)の黒島結菜(19歳)、『HOPE〜期待ゼロの新入社員』(フジテレビ系)の中島裕翔 (23歳)など若手が目立っており、『仰げば尊し』(TBS系)の寺尾聰(69歳)や『女たちの特捜最前線』(テレビ朝日系)の高島礼子(52歳)、『刑事7人』(テレビ朝日系)の東山紀之(49歳)といったベテラン勢が押し上げたとは言え、平均年齢は計13作品で35.5歳と、10月期のドラマと比較しても約6歳も“若い”ことになる。

 「夏ドラマは夏休みの影響で若者たちの恋愛ものや学園ものが中心となるので、若手俳優が起用されるケースが多いです。逆に秋から冬にかけての10月期ドラマは、季節柄もあって落ち着いた内容になる場合が多く、主演俳優さんたちの平均年齢が高くなるのは当然と言えば当然なんです。でも、今回の10月期は、医療ドラマや刑事もの、サスペンスが多いように思いますし、制作側もより中高年層を意識しているのかもしれません」(エンタメ誌編集者)

 では5年前、『家政婦のミタ』が大ヒットした2011年10月期のドラマと比較するとどうだろうか。『私が恋愛できない理由』(フジテレビ系)の香里奈が27歳(年齢は当時、以下同)、『謎解きはディナーのあとで』(同)の櫻井翔(29歳)、『僕とスターの99日』(同)の西島秀俊(40歳)、『ランナウェイ〜愛する君のために』(TBS 系)の市原隼人(24歳)、『専業主婦探偵〜私はシャドウ』(同)の深田恭子(28歳)、『南極大陸』(同)の木村拓哉(38歳)、『妖怪人間ベム』(日本テレビ系)の亀梨和也(25歳)等々、全11作品中20代が約半数を占めている。さらに、今期ドラマで主演を勤める『DOCTORS〜最強の名医』(テレビ朝日系)の沢村一樹(44歳)、『HUNTER 〜その女たち、賞金稼ぎ〜』(フジテレビ系)の米倉涼子(36歳)が、5年前も変わらず主演を張っていた。

5年前と変わらぬ主演役者たち 反面では世代交代も急務か?

 「となると、この10月期ドラマの主演陣は、7月期より6歳、5年前の同期と比べると10歳も平均年齢が上がってることになりますね。これは明らかに意図的なことでしょう。現在は、SNSや動画サイトで自分の趣味に合ったコンテンツを自由に選択して、好きなように鑑賞するスタイルが若者を中心に確立されつつあります。若い世代のテレビ視聴率も下降していますし、制作側にも仕事や家庭内で奮闘する中高年層や、趣味や恋愛に没頭する若者など、主人公により感情移入しやすいドラマ作りが求められている。“安定”した視聴率を考えれば、新垣さんや山田さんたち20代主演の恋愛ドラマを残しながらも、テレビ視聴者のメイン層であるアラフォー・アラフィフにターゲットを絞ったということでしょうね」(前出・編集者)

 近年のドラマのヒット作と言えば『半沢直樹』(TBS系)や『下町ロケット』(同)など、30代、40代以上のサラリーマンが胸を熱くする熱血ドラマであった。いわば中高年層が自分の仕事や家をかえりみて、身につまされるような内容のドラマということである。10月期ははからずも各局、中高年が感情移入しやすい同世代が主人公のドラマがそろっている。中高年は人生経験も多く、それだけ主人公にも感情移入しやすいし、同世代が主演となればなおさらだ。制作側も視聴率の安定を求め、分厚い中高年のテレビ視聴者層に期待をかけているのであろう。

 ドラマ制作側の狙いが視聴率にどう反映されていくのか期待されるが、一方で“ドラマの顔”である主演役者が5年前と変わらないというのは少し寂しさを覚える。若手俳優が主演を演じるドラマは、ときにその時代の象徴する存在にもなり、ドラマ自体の見所でもある。ドラマキャストの世代交代を図り、新陳代謝を行うことで新しい風を呼び込むことも必要不可欠な要素であることは確かだ。

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