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『家売るオンナ』北川景子の“キャラ映え” 結婚後初ドラマで好感度上昇

 リオ五輪開催と重なり苦戦が続く今期の民放ドラマで唯一奮闘しているのが『家売るオンナ』(日本テレビ系)。その好調の要因にはいくつかのポイントが挙げられるが、なかでも特筆すべきは、主人公・三軒家万智(さんげんやまち)を演じる北川景子の“無表情”演技。今どきなかなかいないであろう、部下にめっぽう厳しくやりすぎ感もある女性リーダーだが、その生真面目すぎる硬さが周囲とのギャップでコミカルにも描かれている。北川にとってDAIGOとの結婚後初ドラマとなる今作だが、そんなひとクセあるキャラクターの熱演で好感度が急上昇している。

かつての大映ドラマ彷彿とさせるケレン味溢れる演出も好印象

 今作の好調の理由としては、まず見やすさで最近好まれる1話完結のスピード感があげられる。さらに仲村トオル演じる“実は仕事ができるキレもの?”ダメ課長ぶりや、イモトアヤコ、千葉雄大、工藤阿須加といった物語に奥行きをもたせる個性的な脇役たちの存在。そして、“家を売る、買う”という人生の一大イベントを通して市井の人々の人間ドラマを映し出す脚本のおもしろさがある。しかし、そのなかでも特筆すべきは、北川の堂々たる無表情、セリフ棒読みの能面キャラクターのおもしろさと、強烈な存在感、そしてその演技。松嶋菜々子主演の大ヒットドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)の名物キャラクターを彷彿とさせるが、今作はそのコメディ版といった風情もある。

 北川の役どころで特徴的なのが、先述の“謎の棒読みセリフ”。当初は視聴者も“ナマっているのか?”というほどの違和感があったが、徐々に慣れてくると“これは何か理由があるのでは?”と逆に深読みしたくなる。また、朝の出社時、ドアが閉まりかかった瞬間に出てくる北川の手と「おはようございます」(もちろん棒読み)と言うシーン、さらには勝負どころで出す北川の「GO!」というセリフは、名フレーズになりそうな予感。視聴者は、いつのまにかその強烈なインパクトに惹きつけられているのだ。

「とくに第4話、上司の仲村さんにタクシー車内でいきなりキスされたときの、北川さんの目がカッと開くシーンはなかなかでした。この“目のカッ開き”は時々見せていて、いつもクールで能面なような無表情に、微妙な変化をつけていますね。あとドラマで多用される独特の効果音。全盛期のフジテレビさんのドラマのようなノリもあるし、北川さんが振り向くときの“バサっ”という効果音などは、かつての大映ドラマさん(『不良少女と呼ばれて』などTBS系のドラマを多く制作した)を思い出します。言ってみれば“古い”手法ですが、今見るとまた新鮮で、同時に北川さんや脇役の役者さんたちの演技にスピード感を与えています」(ドラマ制作会社スタッフ)

“王道”正統派女優ポジションから“市井”に降りてきた北川景子

 北川の女優歴と言えば、文字通りのキャラクターを演じた『美少女戦士セーラームーン』(TBS系)でデビューした後、『謎解きはディナーのあとで』(フジテレビ系)の気の強いお嬢様役など、いわゆる“美人系”の作品が多かった。近年は、『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)の腹黒い本性を隠した良い先生(途中から本性をさらす)、『HERO 第2シリーズ』(フジテレビ系)では元ヤンのクールなドS事務次官、『探偵の探偵』(同)では暗い過去を持った笑顔を見せない探偵など、クセのある役どころも好演してきているが、やはりドラマ主演を重ねる経歴は、そのビジュアルを活かした正統派女優の“王道”とも言える。

「今回の三軒家万智役は、表情もなく、セリフも棒読み、感情のないマシーンのような能面女で、同時に真剣な姿がコミカルにも映るという、かなり個性的なキャラクターを演じています。しかも、彼女の冷徹な言動は、仕事のことしか考えていないようで、その裏でそれが結果的に人の幸せにもつながることも理解していながら、そこは出しすぎず、にじませています。これはしっかりとした演技力がないとこなせません。今回のドラマで、北川さんに対する視聴者の見方も変わるでしょうし、北川さん自身、演技の引き出しが増えるでしょう。今年1月にDAIGOさんと結婚した北川さんは、その記者会見や式で好感度も上がりました。結婚後初となったこのドラマには、そんな北川さんへの視聴者の温かい目線もあったのかもしれませんが、そこで女優としての存在感をしっかりと示したのではないでしょうか」(前出・スタッフ)
 北川は、これまで多くの作品に出演してきているなかでは、そのビジュアルを活かしたクール系美女役が目立っていたが、ここ数年ではチャーミング系の役も増えてきているように感じる。そんななか、力量が問われる当たり役と出会い、一見“素人芝居”に見せながら、特異なキャラクターをしっかりと作品になじませることで、女優としての実力を示すとともに、“キャラ映え”という新たな魅力も開花させた。結婚後の芸能活動も順調にスタートさせた北川だが、これまでの“王道”から“市井”に降りてきた感があるこれからの女優業には、これまで以上に期待と関心が集まりそうだ。

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