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2016年上半期本ランキング『絵本が異例の総合1位! コミックから文庫へも波及する恋愛ムーブメント』
◆BOOK 1位〜25位/26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
◆コミック 1位〜25位/26位〜50位 ◆作品別 1位〜10位
◆文庫 1位〜25位/26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
<<ジャンル別ランキング表>>
◆ライトノベル作品別 1位〜10位 ◆ビジネス書 1位〜10位
◆文芸(小説) 1位〜10位 ◆ライトノベル 1位〜10位
◆タレント本 1位〜10位 ◆写真集 1位〜10位
現代ならではの社会事情が反映される“絵本”1位獲得
そのほか、今年に入ってからの書籍コーナーで大きな話題となったのは2作品。「たった10分で、子どもの寝かしつけができる」ことを謳った絵本『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(1位)と、昭和を代表する宰相・田中角栄氏の人物像に迫った石原慎太郎氏・著の『天才』(2位)だ。
スウェーデンの行動心理学者が、子どもの寝つきをよくするために心理学的な仕掛けを随所に施して完成させた『おやすみ、ロジャー〜』は、絵本としては驚異的なセールスと反響を集め続けている。先日厚生労働省から発表された『合計特殊出生率』(女性が生涯に産む子どもの推定人数を示す数値)が、2年ぶりのプラスとなったことは明るいニュースとして伝えられたが、それでも依然として我が国の少子化には歯止めがかかりそうにない。そこには、夫婦がともに働かなければならない状況も大きく関わっているのだが、それゆえに、我が子を上手にあやす術を模索している世代が増えているとも言える。子どもの寝かしつけの活路を絵本に見出すという実情もまた、現代社会ならではであり、それを象徴する上半期の1位とも言える。
一方、『天才』のヒットには様々な複合的要素が見受けられる。まず著者が、代議士時代に「反・田中」の代表格でもあった石原慎太郎氏その人であるということ。天敵をして「天才」と言わしめる田中角栄氏の魅力とはいったい何なのか、誰もが興味を示したくなるポイントだ。加えて、アベノミクス効果への疑問とともに世の中に垂れこめている諦めにも似た無力感が、ヒーローの出現を待ち望んでいるという時代背景もあるだろう。金権政治という汚点を一身に浴びて表舞台を去った稀代の政治家・田中角栄氏だが、紛れもなく日本の繁栄を築き上げていった彼のバイタリティこそが現在の政治には求められているのかもしれない。改めて田中角栄氏を知りたい、という欲求が人々を動かしたからこそのベストセラーであり、書店における「田中角栄コーナー」の設置事情と言えそうだ。
そのほか、『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(5位)『置かれた場所で咲きなさい』(10位)は、2015年の年間ランキングに引き続いてのTOP10入り。時代性とは関係なく“真理”を捉えた永遠のバイブルとした良書である。また、本屋大賞のブランドパワーも変わることがない。2016年の大賞作『羊と鋼の森』(6位)のみならず、同賞2位の『君の膵臓をたべたい』(7位)も堂々の上位ランクイン。バイヤーが認める傑作は毎年読者の心をも的確にとらえている。
小説発信の恋愛ものが大きなムーブメントへ?
このところ、コミックの世界での恋愛ものにはヒット作が目白押しだったが、文庫、それも小説発信の恋愛ものが久しぶりに大きなムーブメントを起こすかもしれない。年間での動向から目が離せなくなりそうだ。
(文:田井裕規)
◆BOOK 1位〜25位/26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
◆コミック 1位〜25位/26位〜50位 ◆作品別 1位〜10位
◆文庫 1位〜25位/26位〜50位 ◆作家別 1位〜10位
<<ジャンル別ランキング表>>
◆ライトノベル作品別 1位〜10位 ◆ビジネス書 1位〜10位
◆文芸(小説) 1位〜10位 ◆ライトノベル 1位〜10位
◆タレント本 1位〜10位 ◆写真集 1位〜10位
集計期間:2015/12/7付〜2016/5/23付
(実質集計期間:2015年11月23日〜2016年5月15日)