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(更新: ORICON NEWS

王者・日テレ、好調の裏にあるタレント発掘力

 藤田ニコルや佐藤栞里といったタレントがバラエティを中心にブレイク中だ。“しばじゅん”こと、シンガー・ソングライターの柴田淳もここにきて注目されている。彼らはまだ知名度がさほど高くない時期からゴールデンの『行列ができる法律相談所』『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』、深夜枠の『今夜くらべてみました』や『有吉反省会』まで、日本テレビの番組に多数出演し、同局の番組をきっかけにブレイクしたと言っても過言ではないだろう。2015年間視聴率では2年連続の三冠をキープし、独り勝ち状態が続く日テレ。強さの理由はタレント発掘力にもある。

藤田ニコル、佐藤栞里……日テレ番組をきっかけにブレイク

  • 日本テレビ系『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』の「朝までハシゴの旅」で一躍知名度を上げたモデルの佐藤栞里

    日本テレビ系『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』の「朝までハシゴの旅」で一躍知名度を上げたモデルの佐藤栞里

 かつての王者・フジテレビが2015年間視聴率のゴールデン、プライムで4位に転落したのとは対照的に、全日、ゴールデン、プライムのどの区分も2連連続で首位となった日本テレビはトップを独走中だ。さらに、テレビ朝日がこれまで首位を死守していた23時〜翌1時の深夜枠までも、日本テレビが年間1位を奪ってしまった。そんな日テレの強みの一つが、素人を含めた人材の発掘力の高さだろう。それほど知名度が高くなくても、面白いと感じた逸材にはスポットを当て、同局の番組でとことん起用し、ブレイクにつなげていく。さらに、かつての人気タレントにもスポットを当て、「タレント再生工場」という声も聞かれるほど。タイムテーブル上のあらゆる番組で抜け目なく発掘体制が敷かれている。

 例えば、モデルの佐藤栞里は『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』のコーナー「朝までハシゴの旅」で知名度を上げ、老若男女から愛される好感度の高いキャラクターとして、他局の番組でも引っ張りだこの存在。「ハシゴの旅」では2014年6月以来、計6回に渡って出演し、お酒が弱いながらも一般のお客さんから勧められると笑顔で楽しみ、モデルでありながらモリモリおいしそうに料理を食べるなど、飾らない素顔が浸透したことで、ブレイクに至った。同番組の東井文太プロデューサーからは「番組開始から20年、『笑コラ』から初めて番組発の人気者が誕生しました」と高評価。所ジョージとMCを務めていた関根麻里の産休によって、『笑コラ』のサブMCの後任に抜擢されるまでになった。

脈々と受け継がれる“素人イジリ”“無名タレント育成”のノウハウ

 また、無名から知名度を上げるだけでなく、かつて人気だったタレントが同局の番組をきっかけに再ブレイクする事例も多い。特にあらゆるジャンルのプロが反省すべきことを告白するという『有吉反省会』を中心に、23時台の番組にはタレントを発掘しやすいフォーマットが築かれている。売れっ子タレントの知名度やトーク力に頼るのではなく、“えっ、この人がこんなことまで!?”という意外性や、いかにタレントの面白い部分を引き出せるかに主軸が置かれており、これが逸材を発掘する秘訣。過去には『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』、現在も放送されている『笑コラ』といった過剰なまでの“素人イジリ”の系譜や、『電波少年』で確立し『世界の果てまでイッテQ!』へと受け継がれている、若手無名タレントをスターへと押し上げるノウハウも、こうしたヒトにスポットを当てた発掘力へとつながっているのだろう。

 最近では『月曜から夜ふかし』で、知る人ぞ知る千葉のローカルスター・ジャガーを猛烈にプッシュし、『有吉反省会』では78歳のベテラン双子歌手・こまどり姉妹を「三戸なつめ」に変身させている。面白いと思ったら、矢継ぎ早に番組に出していくタイミングが絶妙。深夜で人気を確立した後、ゴールデンでも積極的に起用することで、ゆくゆくは安定的な人気へとつながっていくのだ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの藤田ニコルのように、売れた後でも日テレに積極的に出演するという好循環を生み出している。

「日テレさんの場合、『このタレントは来る!』と決めたら、テレビ局全体でとことんプッシュするんです。そうすることで、契約を交わしているワケではないのに、暗黙の“独占権”を得られる。また仮にブレイクしたら、そのタレントにも所属事務所にも貸しを作れるので、“次”にも繋がる。非常に計算されたシステムだと思いますね」(テレビ誌ライター)

 一方で、こうした手法は、ともすれば“囲い込み”や“ゴリ押し”といった、視聴者からマイナスイメージを持たれる危うさも秘めている。事実、ネットなどでは「この子、日テレばかり出てる」「最近ゴリ押しされてる子」といった批判的な意見も少なくない。また、特に局側が制限しておらずとも、タレント側が恩義を感じて他局の番組に出にくくなる、といった弊害も出てくるだろう。日テレをきっかけにブレイクしたタレントの本当の勝負は、“卒業後”にあるのかもしれない。

(文・長谷川朋子)

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