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カメラ台本にYC、UC…テレビ東京、“女子アナ起用”も独自路線
テレビ東京で脈々と続く女子アナ冠番組
女性アナウンサーのタレント化傾向があるとはいえ、局アナは放送局の社員。基本的に自らが全面に出る存在ではない。冠番組となると、フジテレビの新人アナウンサー登龍門として2000年の千野志麻アナの『チノパン』から始まり、『アヤパン』(高島彩)、『ショーパン』(生野陽子)など断続的に続く“パン”シリーズが知られる程度だ。
そんななか、テレビ東京ではこれまでも局アナの冠番組を作ってきた。2008年に入社したばかりの相内優香アナと秋元玲奈アナを抜擢した『A×A ダブルエー』は3年続き、その後を継いだのがやはり入社1年目だった植田萌子アナと紺野アナの『もえ×こん』。大江麻理子アナの『麻理子の部屋』はDVD化もされている。鷲見アナは『世界卓球2014』中継に向けた『ピンポーン!玲奈ちゃんねる』を持っていたこともあり、『お肉 吟じます。』は2本目となる。
他の民放キー局に比べて番組予算が格段に少ないと言われるテレビ東京。それを逆手に『YOUは何しに日本へ?』など素人をフィーチャーした番組が強みになっているが、タレントと違い出演ギャラが派生しない局アナを冠に据えるのも同じ流れだろう。そして冠番組に限らず、女子アナの扱い方も独特だ。
独特な女子アナへのカメラアングル
大橋未歩アナなどは情報番組やスポーツ番組でも、胸のラインが露わになる横からのカットがよく入る。昨年12月に『ジョブチューン 女子アナSP』(TBS系)に出演した元テレ東の亀井京子アナは「テレ東にしかないカメラ割りがあって、カメラマンさん用の台本にYC(横乳)、UC(上乳)と書かれてある」と話していた。スタイルのいい女子アナにはグラビアアイドルのような役割を担わせている。
また、松丸友紀アナは『ゴッドタン』で“清水アキラがやる村田英雄、松山千春、研ナオコのものまね”のものまねとして、ハゲカツラをかぶったりテープで鼻の穴をむき出しにしていた。『モヤモヤさまぁ〜ず2』でアシスタントを務める狩野恵里アナも顔にストッキングをかぶったり、動物園で苦手なカンガルーと接近して「やだやだ! 帰る!」と号泣したり。体を張って芸人のような“汚れ”の役回りを引き受けている。
築きあげられた制作陣との信頼関係からの相乗効果
各アナウンサーの個性を踏まえたタレント的起用だが、いずれも堅い番組にも出演する一方でのこと。アナウンサーの数から他局より少ないためでもあるのだろう(フジテレビ70人、テレビ朝日59人、TBS58人、日本テレビ52人に対し、テレビ東京は31人)。それにしても、セクハラまがいの扱いやムチャぶりをされるアナウンサー自身に抵抗はないのだろうか?
狩野アナは、『ゴッドタン』での先輩・松丸アナの姿を観て「そこまでやって大丈夫ですか?」と聞いたら、「あの編集は愛がある」と返されたという。そして、自身の『モヤさま』についても「私もアナウンサーとしてギリギリのラインは保たれていると思います」と話していた。その裏には、制作陣との信頼関係が築きあげられているから、そういう演出が成立するのだろう。また、アナウンサーも本気でそれに応えようと振り切っているから、それが相乗効果を生んでいるのだ。
制作費もスタッフも他局より少ないなか、それぞれが出せることは全部出して番組を作るのは、テレビ東京の伝統のようだ。それが他局の番組にない空気感も生み出している。その先陣に時としてアナウンサーが立つ。
(文:斉藤貴志)