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“『火花』じゃない”ほう、羽田圭介氏 芸人顔負けのキャラに注目

 ピース・又吉直樹と同時に芥川賞を受賞した作家・羽田圭介氏のキャラクターが、“芸人以上に面白い”として話題となり、テレビでの露出が激増している。9月17日放送の『白熱ライブビビット』(TBS系)では、ポップに「僕も芥川賞とったんですよ 7/28羽田圭介」と直筆で書かれた書店で、既刊本100冊にサインをしてきたと明かし、「サイン本は書店は返品できなくなるんですよ」「全部金のためって感じですよ」とぶっちゃけ発言を連発。金、女性などに対する発言は毒舌ながらも、作家ならではの知性も感じさせ、視聴者に強烈なインパクトを与えている。もはやピース・綾部祐二以上に“又吉じゃないほう”になりつつある羽田氏。今後は、作家業以外にもバラエティ番組で活躍するキャラクターとなっていくのか?

芥川賞発表の日は“デーモン閣下”メイクで待機

  • キャラクターも注目を集める羽田圭介。写真は『第153回 芥川賞・直木賞』贈呈式の様子 (C)ORICON NewS inc.

    キャラクターも注目を集める羽田圭介。写真は『第153回 芥川賞・直木賞』贈呈式の様子 (C)ORICON NewS inc.

 羽田は現在29歳、明治大学商学部を卒業。明治大学付属明治高校在学中、17歳のときに『黒冷水』で第40回文藝賞を受賞して鮮烈デビュー。その後、『ミート・ザ・ビート』、『メタモルフォシス』と、芥川賞候補に挙がること2回。“三度目の正直”で、要介護老人と無職青年を通して超高齢化社会の現実を描いた『スクラップ・アンド・ビルド』でついに芥川賞を受賞した。社会的なテーマを内包しつつも、身近にある人間関係や日常のずれなどを特異な視点で小説として描き出す彼は、“天才作家”とも評されるような人物。しかし、まずは芥川賞発表当日のとある様子がTwitterなどで拡散され、ネットで注目を集める存在となる。

 先輩の芥川賞作家・長嶋有氏によって投稿された“待ち会”の写真に写っていたのは、何と東京・銀座のカラオケボックスでロックバンド・聖飢魔IIのデーモン閣下風のメイクを施した羽田氏の姿だったのだ。受賞後の会見では、「(長嶋氏の提案で)受賞したら聖飢魔IIの「WINNER!」を歌うと決めていた」と明かし、報道陣を驚かせた。“実はすごく面白い人なのでは……”という疑惑が浮かぶなか、8月6日に『アウト×デラックス』(フジテレビ系)で初のバラエティ番組に出演したことで、それが確信に変わる。

 登場するや「クッキー作ってきたんで…気分転換で大量生産するのが趣味です」とマイペースな様子でクッキーの入った大きな容器を置く羽田氏に、矢部浩之も思わず「がさつやな(笑)」とツッコミを入れる。マツコ・デラックスに「可もなく不可もなく」と味を評されると、「番組側に作ってこいと言われたんで…超面倒くさかったです」と告白。その後も「とにかく背の高い女が好き」と言いながら、マツコにカウンターレディのGカップ(身長161cmと普通)の女性はどうかと聞かれると、「ちょうどいいかも」と満更でもない様子でニヤニヤ。「合理的でないこと、意味のないことには興味ない」と言い、「昔の友だちと会っても昔話しかしないから意味がない。結婚した女と会っても何もできないし意味がない」「女性アーティストは自分が歌えないから絶対聞かない」等々、今どきの若者的な“さとり世代”っぽい発言を繰り返す。

一見“破天荒” しかし作家ならではの機知と頓智

  • 羽田圭介著『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)

    羽田圭介著『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)

 さらに9月21日に放送された『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)では、自分も又吉の『火花』を受賞以前から薦めていたことをあげ、「選考委員の方もなかなかセンスいいな」と上から目線だったり、密着取材に対して「4、5日張り付かれて10数分で終わりか」と文句を言ったり、ゲストの清水富美加に褒められると、「番号とか教えてくれませんか?」といきなりナンパ。さらに贈呈式の会見の記事を執筆したWEBニュースの記者に対して、「読解力ねぇなぁ」と暴言を吐く。こうなると嫌味な若造だとしてバッシングを受けそうだが、羽田氏の作家ならではの機知と頓智が効いたのか、「キャラが濃くて、面白すぎ!」と、むしろ好感度を上げたようだ。

 又吉に関する記者からの質問についても、その多くが「専業作家じゃない又吉と比較されてどう?」「向こうの本のほうが売れてるが、ジェラシーは?」といったものだが、羽田氏は「便乗出来て本当にありがたい」「同時受賞じゃなかったら、軽く報道されて終わり。こうやってテレビに出て一冊でも多く買ってもらって印税もらうことしか作家はできないから」とさらりと回答。まさにその通りであり、出版不況の現在、例え芥川賞をとったところで昔のように“〇十万部突破!”といった景気のいい話はあり得ない。羽田氏が謙虚なのではなく、又吉効果の恩恵を受けていることは事実なのであり、いたずらに浮かれたり嫉妬に駆られることもなく、合理的・客観的に分析するあたりは大物の予感さえ感じさせる。

 芸人顔負けとも言えるキャラを持つ羽田氏だが、やはり本業は作家。真面目そうな作家としてのルックスと破天荒な言動とのギャップが、今のところは受けているといったことだろう。そのあたりは、羽田氏自身としても冷静に判断して行動しているものと思われる。果たして、これからも本業以外でバラエティ番組に露出し続けるのか? それとも将来、大先輩の芥川賞作家・村上龍氏のようにシリアスな自分の番組を持つことになるのか? 羽田の今後に注目したいところだが、羽田圭介氏自身、そうした芸能活動をも自作のネタにしかねない“したたかさ”を持っているかもしれない。

(文/五目舎)

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