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(更新: ORICON NEWS

誰かの役に立つ海外体験! 学生たちの国際ボランティア体験談

ボランティア活動への意識が高まる日本。災害発生時には、多くのボランティアが集結し、被災地のために汗を流しています。また、「人の役に立ちたい」という思いで海外に出る若者も多数います。とはいえ世界が相手だと、言葉や文化、環境など、国内ボランティアとは違う苦労もたくさんあるはず。それでも海外にボランティアに向かう理由とは? 実際に体験したり参加を考えている摂南大学の学生に話を聞きました。

中央アジアのキルギスで1年8ヶ月活動! ―石田裕貴さん

 2014年1月から2015年8月まで、独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として活動した、外国語学科3年の石田裕貴さん。中央アジアにあるキルギスのエムゲクタラーという村に派遣され、スポーツや音楽などの文化活動を通じた青少年の育成に携わりました。その村への隊員の派遣は石田さんが初めて。赴任当初は悩むことも多かったそう。
石田さん 赴任先は、都市部から離れた自然の美しい小さな農村でした。日本の小学生から高校生にあたる年齢の子どもたちが通う公立学校で活動しました。キルギス語は、派遣前の訓練で勉強しましたが、やはり言葉の面で苦労することはたくさんありました。また、キルギスはイスラム教国ということもあり、日本とは異なる教育制度や慣習があります。その中で自分に何ができるのかと、模索する日々でした。

 現地では、体育や音楽の授業のサポートのほか、サッカークラブや日本の言葉や文化を学ぶ日本語クラブの立ち上げ、運動会やコンサート、日本にまつわるセミナーなど、幅広く活動したとのこと。現地になかった運動会は、生徒も先生も熱中し、「よかった」「今後も開催したい」という声が起こるほど大好評でした。
石田さん 勉強やスポーツを通じて、子どもたちの心身を養うとともに、世界に視野を広げ、さまざまな事に興味を持ってほしいという気持ちで活動しました。また、学校の方から、「日本語や日本文化を伝えてほしい」という要望もあったので、日本語クラブを立ち上げました。

 日本人だからこそできることとして、日本の言葉や文化を伝えることにも取り組んだ石田さん。日本語クラブでは、近隣の町にある日本語センターとも交流の輪を広げたそうです。

 活動を続ける中で、現地の人たちともすっかり打ち解け、帰国直前のお別れパーティーでは羊と仔羊の料理をお世話になった人々へ振る舞うという、現地の風習にならったコミュニケーションを取るほどに。「同じアジアの流れをくむキルギスの人は、日本人と顔が似ているので、現地の人から『君はキルギス人だ』と言われていました(笑)」。そんな石田さんに、ボランティアの意義について聞いてみました。

石田さん 僕は、助けるというイメージでボランティアをしていませんでした。現地の人々と一緒に生活して、一緒に楽しいことをしたいという思いでした。ただ、僕の言動が、日本人全体のイメージつながるという意識は常に持っていました。自分を通じて日本人の存在を伝えられる、日本に良い印象を持ってもらうことができる。そこに意義があるのではと思います。

 JICAでは、今後もエムゲクタラー村に協力隊員を派遣する予定。石田さんは帰国後、自分の経験を生かし、国際ボランティアを志望する後輩たちにアドバイスを行っています。

南インドの小学校で子供たちを教える!  ―光畑梢さん

 続いての体験者は光畑梢さん。外国語学科4年で、2015年1月からインド南部の村で一人暮らしをしながら、青年海外協力隊員として活動している。赴任先はどんな地域?
光畑さん 電気・ガス・水道は通っています。携帯電話やテレビ、冷蔵庫なども普及してきていますが、生活スタイル自体は100年前と大きく変わっていないそうです。女性は、サリーもしくはクルタを着ています。またヒンドゥー教をはじめ、宗教をとても大切にしています。

 光畑さんの活動拠点は、主に貧困層の子どもたちが通う小学校。文字カードを使ったゲーム形式の学習や挨拶などを通じた日本語教育、新聞を使った折り紙やボール回しなど、インドの一般的な小学校では行われていない美術・音楽・体育などの情操教育を実行しているそうです。とはいえ赴任して約9ヶ月。やりがいを感じる一方で、自身の課題や苦労も痛感しているとか。
光畑さん 今の課題は、現地語タミル語の習得です。現地語のほうが意思疎通しやすいことが多いので、歯がゆい思いをすることがあります。ですが、言葉や文化、気候など日本と全く違う環境の中で生活し、精神的に強くなったと思います。ほかの外国人ボランティアやインド人学生と関わるなかで、広い視野で物事を見られるようにもなってきました。

 今は、赴任先でどのような活動ができるか、日々奮闘しているという光畑さん。苦労や悩むことも多いけれど、国際ボランティアにはそれ以上の充実感がある様子。赴任は2017年1月までの2年間です。

光畑さん 世界は、とても広くて深いです。今後もチャンスがあれば、多くの人と教育や環境について学びたいと思っています。世界を舞台に仕事をするなど想像していなかった私ですが、今、青年海外協力隊員として活動しています。協力隊員を目指している人には自分の気持ちに素直にチャレンジすることを勧めたいですね。
 石田さんも光畑さんも、自分の力だけでは人を救えないと言うが、現地の人々と交流し、彼らのニーズを汲み取り、懸命に活動していることは確か。また、自らにとっても良い経験になっているよう。では、国際ボランティアに参加するためには、どうすればよいでしょうか? 現在、青年海外協力隊を目指している学生にも話を聞きました。

大切なのは、語学と人間力!? ―生藤知樹さん

 石田さんと光畑さんが在籍する摂南大学では、国際協力の専門家である浅野英一教授のゼミを中心に、グローバル人材育成の一環として青年海外協力隊への参加を支援しています。青年海外協力隊への応募は、一次選考として技術や語学力、健康状態の審査が行われ、この合格者が面接を含む二次選考に進みます。合格後は70日程度の派遣前訓練を経て、各国へ派遣されます。摂南大学では、2006年度からの9年間で32人の学生が選考試験に合格。なかでも毎年競争倍率の高い「青少年活動」の分野で多くの合格者を輩出しています。一体どんな受験準備を行っているのでしょうか? 外国語学科3年の生藤知樹さんに、その内容などを聞いてみました。
――国際ボランティアに参加しようと思ったきっかけは?
生藤さん 「国際貢献実習」という授業で、フィリピンの孤児院でのボランティアを体験しました。帰国後、「国際ボランティア論」で青年海外協力隊への理解を深め、また「ボランティア・スタッフズ」というクラブでの活動を通じてチャレンジしたいと思い、浅野先生のゼミに入りました。

――選考突破のために努力していることは?

生藤さん TOEIC650点以上が合格の最低ラインと言われているので、今は特に単語とリスニングの勉強に力を入れています。また、スポーツインストラクター、キャンプ指導員の資格も取得し、上級救命講習も修了しました。

――先生からのアドバイスは?
生藤さん 青年海外協力隊員は日本の代表として派遣されるので、報告・連絡・相談の「ホウレンソウ」を習慣づけること。また、海外での生活のなかで、自分の任務や目的を見失わないように、「折れない心を持つことが大事」とも言われています。

――大学のプログラムでボランティアに役立つと感じたものは?
生藤さん 先ほど話した授業やクラブ、ゼミもそうです。特にゼミでは、小学校でのボランティア活動により、子どもたちの視点で考えることの大切さや、自分の関わった児童が成長することの喜びを実感することができました。

――合格したら、どんな活動をしたいですか?
生藤さん 小学校から今も続けている野球の経験や資格を生かしたスポーツ指導を通じて、チームワークの大切さを伝えたり、地域に貢献する活動をしたいと思います。
 ちなみに、石田さんにアドバイスを聞くと、「現地では、社会人の方々と協力して活動するため、幅広い年齢の方との交流も大切です。また、日本の文化を知っておくこと。現地では、いろんな人に質問されますから」とのこと。光畑さんは、「英語を勉強することはもちろんのこと、派遣される地域の文化や風習、考え方、現地語などの知識も現地の人たちと心を通わせるために必要なことだと思います。また、常に相手に敬意を払う意識も大事」とのことでした。

 国際ボランティアを経験した学生は、企業をはじめ、国際機関や教員、自治体など就職活動でも高い評価を得ています。石田さんや光畑さんが語るように、学生のボランティアでは直接、人を救うことができないかもしれません。しかし、国内外を問わず多くの人々のために働くことは、自分自身にとっても貴重で有益な経験になるはずです。

摂南大学

7学部13学科からなる総合大学。薬剤師国家試験や青年海外協力隊選考試験では、全国トップレベルの合格実績を毎年達成。心の通った少人数教育と、理論と実践を連動させたアクティブ・ラーニングなどにより、学生の可能性を伸ばしている。


〒572-8508 大阪府寝屋川市池田中町17-8
摂南大学 公式HP(外部サイト)

(取材協力:摂南大学)

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