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“都落ち”イメージ払しょく ドラマ不況の中で安定の2時間ドラマ
いまや映画や連ドラより豪華なキャストが集結することも
一時期は、かつての売れっ子俳優が2時間ドラマに出ると、微妙な“都落ち感”があったものだが、今では人気俳優が堂々と出演している。先の『名探偵キャサリン』にしても、90年代に『月曜ゴールデン』(TBS系)で、かたせ梨乃主演で放送されたシリーズだが、今回は主人公の人気がまだ未知数であるところに、これだけのキャストを配役するあたり、テレビ朝日の2時間ドラマに対する力の入れようが見て取れるとも言える。また、特別企画枠などでは、草なぎ剛などのジャニーズ勢が出演することもあるし、先日の『水曜ミステリー9』(テレビ東京系)では、中村獅童と石田ひかりが出演して視聴者を驚かせている。
演技派キャストが繰り広げる水戸黄門ばりの心地良い“お約束感”
そして2時間ドラマ最大の特徴といえば、やはり“お約束”だ。船越英一郎、片平なぎさ、山村紅葉といった常連キャストは、完全に“お約束”である。もちろんストーリー展開にも多くの“お約束”が仕込まれており、代表例の“最後は断崖絶壁で犯人が告白”という定番パターンは、かねてよりバカにされていたが、今でもこのシーンは健在なのである。また過去には新聞で「石野真子がまた犯人役で出ており、結末のわかる配役に不満」といった内容の投書が取り上げられたほどだが、これはこれで“お約束・お決まりの心地よさ”があるものなのだ。ちなみに「火災調査官・紅蓮次郎」では、船越英一郎が最後に犯人をぶん殴るというのが“お約束”だったのだが、ここ2作ではなぜか殴らず、逆に消化不良を感じた人も多かったのではないか。
古今の人気スターを起用した豪華なキャストや、人気の定番シリーズ、“お約束”による安心感・安定感、集中するにはちょうどよいともいえる長さ。こうした要素が2時間ドラマの魅力であり、面白さであろう。かつての“古くさい”イメージも払拭され、もはや老若男女が楽しむコンテンツとなり、全体的にドラマの視聴率が振るわない中、人気シリーズともなると安定した視聴率をはじき出す。先の『水曜ミステリー9』などいくつかの枠が終了するという話に対しては、「寂しい」といった声も多く聞かれる。それだけ安定したファン層を持つ2時間ドラマだけに、今後も模様替えしながらでも、まだまだ継続させていただきいものである。
(文/五目舎 )