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(更新: ORICON NEWS

広瀬アリスが発展途上の現状と“フェアトレード”について語る

 世界の今を知り、1人ひとりができる活動を見つけてもらうための国際協力プラットフォーム「なんとかしなきゃ!プロジェクト」のメンバーに就任した広瀬アリスが、フェアトレードとは何かを学ぶドキュメンタリー番組『エシカルの贈りもの〜ハピネスをつくるデザイン〜』が、8月30日にBS日テレで放送される。初めてフィリピンを訪れた彼女が、発展途上国の現実について語った。

ゴミ山やスラム……実際に訪ねて言葉を失いました

――今回、アリスさんは「なんとかしなきゃ!プロジェクト」に参加なさったわけですが、それ以前に“フェアトレード(開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指ざす貿易のしくみ)”について知っていましたか?
広瀬アリス 実は知らなかったんです。今回番組ロケでフィリピンに行くことになって、事前にお話を聞いたんですが、正直そのときはピンと来ませんでした。なので、あえてあまり勉強をせず行って、そこで実際に見たもの、感じたことを全部受け止めようと思っていました。
――フィリピンに行ったのは初めてだったそうですが、やはり日本とは環境が全く違いますよね。衝撃を受けましたか?
広瀬 はい。行く前はどんな国なのか全然知らなかったんです。だから、スラムに住む人や路上生活をしている人がいたので、本当に驚いて。しかも、フィリピンにはゴミを燃やしてはいけないっていう法律があるので、ゴミが積み上げられて巨大な山になっているんですよ。それを最初に見たときは、ぴっくりしました。それにそのゴミ山をよく見ると、そこでリサイクル資源を集めている人がたくさんいて。大人だけじゃなく、子供もいて。フィリピンに行って、最初に訪れた場所が、そのゴミ処理場だったので、もう言葉になりませんでした。
――ゴミから集めたリサイクル資源を売って生計を立てているんでしょうね。
広瀬 そうなんです。びっくりすることだらけで、なかなか思考が追いつかなかったですし、自分の価値観が全部覆されました。ゴミ山でもそうでしたが、スラムや路上生活をしている人たちのなかには、子供もたくさんいます。そのことにも、かなり強い印象を受けて。テレビとかで見ていて、日本とは環境が違うなって思ってはいたんですが、実際にその現状を見ると、本当に言葉を失いました。そんななかでも子供たちはすごく明るくて、いろいろ話しかけてきてくれるんです。笑顔がとてもステキで、おもちゃをプレゼントすると、すごく喜んでくれて、本当にかわいくて癒されました。

――そういう子供たちの未来のためにも、私たちがフェアトレードのような国際協力をしていくことは必要ですよね。
広瀬 すごく必要だと思います。若者は特にだと思いますが、たぶん知らない人のほうが多いと思うので。私もそうだったんですが、知らないうちにフェアトレードの商品を買っていたっていうことはあると思うんですよ。でも、ちゃんと意識して買ってくれたら、さらにいいかなって思います。

フィリピンに行って一番感じたのは、仕事のありがたみ

――私たちが発展途上国の人たちにできることは“買うこと”くらいしかないかもしれない。でも、それが助けにつながっていくわけですからね。
広瀬 そうなんです。今日着ているチュニックもフェアトレードの商品なんですが、刺繍の部分のデザインのクオリティがとても高いんです。フィリピンで小説用のブックカバーを買ったんですが、それを使っていると周りのみんなから「かわいいね!」って言われます。フェアトレードは、作る方も収入を得られるし、買う人も欲しいものを手に入れることができ、発展途上国の人たちに協力できる。そういうすごくステキな制度なので、もっとたくさんの方に広まればいいなって心から思いました。
――今回フィリピンでは、刺繍ブランド『Atelier Likha(アトリエ・リカ)』の工房にも行かれたそうですね。そこで働く方たちの様子はどうでしたか?
広瀬 みなさん、すごくパワフルで、ずっと笑っていて、本当に楽しそうでした。『アトリエ・リカ』のお仕事をし始めてから変わったって、おっしゃっていました。それに手作業なので、色やちょっとした形が全部違って、世界にひとつだけの刺繍なんです。

――そうやってみなさんが明るくなったのも、フェアトレードによって仕事ができるようになったからなんでしょうね。
広瀬 そうですね。みなさん、それまでは働く場所がなくて、収入もなかったそうです。今回フィリピンに行って一番感じたのは、仕事のありがたみかもしれないです。自分たちは毎日お仕事をしているので、休みが欲しい! とかって言ってますが(笑)、それはとても贅沢なことなんだなって思いました。
――日本には、まだまだフェアトレードのことが浸透していないと思いますが、今回アリスさんが体験したことを通して、同世代の方たちに、どんなことを伝えたいですか?
広瀬 若い世代に一番わかりやすいのはファッションだと思います。エシカルファッションって言うんですが、フェアトレードはファッションともつながりがあるので、そういうところから興味を持っていただけたらなって思います。今着ている洋服も実際に日本で買ったもので、ちょっと注意してみると結構身近に売っています。

――そのお洋服も手刺繍ですよね。
広瀬 はい。だから、すごく細かくてキレイ。機械ではできないので、味がありますよね。今、エシカルファッションのブランドも増えていて、そのなかには若い方が買うようなブランドもあります。だから、やっぱりファッションが一番身近だと思います。

少しでも国際貢献する気持ちは大切

――そういうブランドを調べて、そこの洋服を着たり、お友達へのプレゼントに選んだりする。ちょっとした意識が国際貢献につながっていくわけですよね。
広瀬 そうですね。今、世界の人口の80%が貧困層らしいんです。でも、自分たちは食べたいものを食べ、好きなものを買って、仕事もできる。なんて贅沢なんだろうって思います。だからこそ、少しでも国際貢献する気持ちは大切。そうやって、みんなで助け合っていけるといいなって思います。
――本当にそうですよね。みんな地球の一員なわけですから。アリスさん自身も、今回フィリピンに行ったり、フェアトレードの現場を見たりしたことは、自分の生活を見直すきっかけになりましたか?
広瀬 はい。物は大切にしようって思いました。だから、今までは捨てていたお洋服も誰か必要な人にあげるようになりました。それと両親や妹のすずに、フィリピンでの出来事を話しましたし、買ってきたお土産も、これはこういうものなんだよって、1つひとつ説明しました。今回は自分が体験してきたことが番組にもなりますが、こうやって世の中に発信できて、こういうお仕事をしていて良かったなって思いました。

――しかも、アリスさんは、ちょうど20歳という年齢。それもよかったと思いますか?
広瀬 そうですね。たぶん10代でフィリピンに行っていたら、現実を受け止めきれなかったと思います。10代の頃は、何も考えてなかったので、目の前のことをしっかり受け止めて、考えることができなかったような気がします。でも、今は少なくとも、“自分には何ができるだろう?”って考えられる。そういう意味では、すごくいいタイミングで参加できたと思います。私自身、ひとりの人間として大きな出来事だったので、また違う形で協力できたらなって思います。

(文:高橋栄理子/撮り下ろし写真:西田周平)

妹の広瀬すずにプレゼントを渡した瞬間は?

『エシカルの贈りもの〜ハピネスをつくるデザイン〜』BS日テレ番組概要

【放送日時】8月30日(日) 11時30分〜12時
【ナビゲーター】広瀬アリス/広瀬すず

広瀬アリスが、フィリピンで妹・すずへの誕生日プレゼントを探しに行く。そこで出会う“フェアトレード”の商品の数々や、携わる人々、そこに暮らす人々の背景……果たして、どんなプレゼントを贈るのか。“エシカルファッション”を入り口に、その背景にある女性の生き方や支援のあり方を、デザインのチカラで国際協力をしている人々への取材を通じて、「つくる人」「買う人」「もらう人」みんながハッピーになれることの大切さを伝える。

『エシカルの贈りもの〜ハピネスをつくるデザイン〜』番組公式サイト(外部サイト)

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」とは

 発展途上国の現状を知ってもらい、その解決をめざす国際協力の必要性を社会全体で共有して行きたいという思いを共有する人、団体などで進める「なんとかしなきゃ!プロジェクト」。国際協力に関心の高い著名人や、国際機関やNGOなど国際協力を行っているプレイヤーが、様々な場面やメディアで、広く情報を発信し、それを受けた1人ひとりが国際協力の重要性を少しでも自分のこととして捉え、それぞれの立場でできるかたちで国際協力に参加するきっかけとなることを目指す。広瀬アリスやすず姉妹のほか、高橋尚子、北澤豪、知花くらら、有森裕子など、多くの著名人が賛同している。

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」オフィシャルサイト(外部サイト)

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