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(更新: ORICON NEWS

日本のマナー、ここがスゴイ! 外国人留学生がホテルマン体験 〜関西外国語大学〜

街ではたくさんの外国人観光客を見かけるものの、海外の人々と一緒に学んだり、働いたりする機会はまだまだ少ない。けれど、文部科学省は「2020年留学生30万人計画」を実行中で、大阪府の関西外国語大学のように、外国人留学生が日本で就業体験する「グローバル・インターンシップ・プログラム(GIP)」をスタートした大学もある。グローバル社会といわれる今、日本人と外国人が日常的に暮らす世の中は、近づいているの? そんな疑問を調査しました。

良いことだけど、戸惑いも… 日本とのギャップを感じた5つの事

  • 2人がインターンシップ体験をしたリーガロイヤルホテル(大阪・中之島)

    2人がインターンシップ体験をしたリーガロイヤルホテル(大阪・中之島)

 今回取材したのは、関西外国語大学に留学している姚 竣(ヨウ・シュン)さんと、ムレル・ジェシカさん。2人は同大学のGIPに応募し、インターンとして2カ月間、大阪・中之島のリーガロイヤルホテルでベル業務を担当しています。

 将来は日本のサービス業で働くことを希望していて、「日本の常識も学んでいきたいです」(姚さん)と、前向きに異文化を吸収しようと頑張っています。そんな2人に、インターンシップ体験で感じたことやホンネを聞いてみました!

 姚さんもジェシカさんも、もともと大の日本好きで、関西外大に留学したそう。インターンシップ期間中はほかの社員の人々と同じく、1日7時間、シフト制で勤務。ベル担当として、主にお客さんの案内や荷物の預かりと部屋への運搬を中心に、問い合わせ対応などの接客も行っているそうです。では、日本であこがれの仕事を体験してみて感じたことは?
  • ムレル・ジェシカ/出身:アメリカ/出身大学:ポートランド州立大学/好きな日本のアニメ:セーラームーン

    ムレル・ジェシカ/出身:アメリカ/出身大学:ポートランド州立大学/好きな日本のアニメ:セーラームーン

ジェシカさん 働いてみて感じるのは、日本のサービスレベルの高さです。私の知る限り、アメリカのホテルよりもサービスは良いと思います。
姚さん 私もそう思います。お辞儀の角度や、待機のときは右手を左手の下に置くこと、常に笑顔を崩さない姿勢、必ずあいさつをするところなど、ビジネスマナーも徹底しています。香港でもマナーは学びますが、そこまできちんと守りません。
ジェシカさん 私たちは、主に海外からのお客様に対応しています。初めて1人でお客様に対応したときは緊張しましたが、今では案内するのが楽しいです。
姚さん 最初の2日間で、立ち方や話し方、業務などについての研修を受け、何日か先輩に同行していただいた後に、1人で現場に出ます。それでも、最初は私もビビりました(笑)。でも、このホテルの制服を着ている責任があるので、不安を隠して仕事をしていました。
ジェシカさん 英語での会話は大丈夫ですが、やはり日本語、特に敬語は難しいですね。
  • 姚 竣(ヨウ・シュン)/出身:中国(香港)/出身大学:香港中文大学/好きな日本の食べ物:刺身

    姚 竣(ヨウ・シュン)/出身:中国(香港)/出身大学:香港中文大学/好きな日本の食べ物:刺身

姚さん 私は、日本のサービスの特徴である“気持ちを察する”という点に難しさを感じています。仕事なので、覚えることがすごく多いのですが、そのぶん勉強になります。大阪城や心斎橋など、観光地の知識も増えました。
ジェシカさん 業務の知識もそうですし、私はメモの大切さも学びました。先輩の説明や自分で気づいたことは、細かくメモを取っています。
姚さん 私は、ミスがないように業務の一つひとつを確認するという意識を学びました。早く仕事を学んで、一人前のホテルマンになりたいです。

 目を輝かせながら話す2人は、インターンシップの良さを実感している様子。一方で、受け入れ先にもメリットがあるようです。「最近は、海外観光客のお客様が増えていますし、海外の方には外国人スタッフに接客をしてもらう方が良い場面もあります。また、インターン生から外国人なりのお客様への案内方法を学ぶなど、日本人スタッフにもよい刺激になっています」と語るのは、ロイヤルホテル人事チームの南浦美沙子さん。

 同ホテルは観光客の多様化に対応するため、多彩な国籍の従業員を受け入れる文化を作っているところだとか。「今後は、積極的に外国人の採用をしたいと思います。これまでは、外国人志望者も日本人と同じ基準で採用試験を行っていましたが、今後は外国人の方への採用方法も変えていく予定です。お2人の場合はインターンシップですが、日本人学生と比べて人柄に加えて、日本文化への理解と日本語力を重視しました」(南浦さん)。

 すると、今後は日本で暮らし、働く外国人がもっと増えるかも!? その可能性についても調べてみました。

意外!? 日本で働くために 外国人留学生が求めるものとは

 企業が外国人を雇用する際、「日本の文化への理解と日本語力」が重要とのこと。すると、外国人労働者が増えるには、社会人を採用するよりも、日本の言葉や生活に慣れた海外留学生を雇用する方が、可能性が高いといえそう。

 文部科学省が2020年をめどに外国人留学生受け入れを30万人に増やす「留学生30万人計画」を進めていて、現在は海外の大使館や関連機関と連携して、インターネットなどを通じて日本への留学希望者への情報発信や相談サービスを行っています。

 ただ、姚さんは日本が好きで、行ってみたいというだけでは「働くのは、むずかしいと思う」と語ります。それはなぜ? 「一番は、日本語です。アメリカでは、直接的に意見をいいますが、日本は言わないので、むずかしい。そこは、私も勉強中です」(ジェシカさん)。また、「日本語だけでなく、仕事のスキル、また報告・連絡・相談の『ほうれんそう』など日本のビジネス文化に慣れることも重要だと思います」(姚さん)。

 確かに、海外の人は、日本と育った環境も価値観も違う。しかも、異文化のなか1人で暮らすのは大変なこと。受け入れる日本側はそこを理解し、フォローすることが大切なよう。毎年、欧米を中心に各国から約700人の留学生を迎え入れている関西外大のGIPは、留学生にとっても企業にとっても貴重な制度となっているようです。

グローバル・インターンシップが 日本のグローバル化の課題を救う!?

 実は、日本で働きたいという外国人留学生は、かなり多いんだそう。関西外大が2015年度からGIPをスタートさせたのも、そうした声に応えたからこそ。そこで、関西外国語大学国際交流部の谷口紀仁さんに、GIPの概要とさらに詳しい内容をうかがいました。
――GIPの概要を教えてください
谷口さん 外国人留学生が日本の企業でインターンシップをする制度です。今年度は、金融、メーカー、電鉄など大企業の10社と枚方市小・中・高校11校に受け入れていただいています。期間は、約1ヶ月を基本に、受け入れ先に応じて調整していただいています。

――企業の派遣先は、なぜ大手が多いのですか。
谷口さん 比較的受け入れ先として、海外展開など英語を話せる人が多く、外国人留学生を受け入れやすい環境だからです。ただ企業規模にかかわらず、日本全体をみると、まだまだ企業や社会に、外国人の立場で物事を考え、サポートできる人が少ないと思います。

――参加学生へのサポートは?
谷口さん インターンシップの準備として大学内で事前研修を行っています。事前研修では、あいさつ、敬語、名刺交換の方法など、日本の企業風土やビジネスマナーをしっかりと身につけもらっています。インターンシップ期間中は、毎週、就業先での活動内容や困ったこと、悩みごとなどを記載するウィークリーレポートを提出してもらい、問題があれば随時、対応しています。学生によって、派遣先を見るようにアドバイスしたり、インターン採用の模擬面接を行うなど、個別のサポートもしたりしています。

――GIP参加者に期待することは?
谷口さん インターンシップ期間中はしっかりと働き、将来的には採用につながってくれることです。日本での就業につながらなかった場合でも、参加者が母国の企業で就職して、日本担当として活躍してくれるとうれしいですね。

 かつて、福田元総理は、当時の留学生たちに「日本は働くには環境が悪い」と語ったとか。外国人留学生の気持ちを理解しつつ、企業との接点を創出している関西外大のGIPは、グローバル化に向けた日本の課題を解決する大きな取り組みとなりそうです。

関西外国語大学

世界52ヶ国・地域、375の海外大学のネットワークを持ち、年間の留学派遣学生数は1551人にものぼる。また、世界約40ヶ国・地域から706人の外国人留学生、約200人のネイティブ教員が在籍し常に外国語教育をリードしている。

〒573-1195 大阪府枚方市中宮東之町16-1

(取材協力:関西外国語大学)

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