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おっさん俳優ブームの立役者、吉田鋼太郎&田中泯の存在感と信頼感
またプライベートでは、バツ3で現在は独身。素敵だなと思う女性と見ればその気持ちを素直に表現する姿はラテン系だ。2014年12月に出演した『おしゃれイズム』(日本テレビ系)では、酔うと必ず女性を口説くという性癖(?)も暴露されていた。
しかし、それが嫌らしく見えないのも人気の所以だろう。4月6日にゲスト出演した『しゃべくり007』(日本テレビ系)でも吉田羊に対して、「すごいキレイな人がいるなと思っていた」「10年越しの恋みたい」と告白していたが、そこには押しつけがましさがなく、自分が好意を持っているという気持ちを臆せず伝えたいだけという態度に嫌味がない。そんなところも好感度の高さの秘密ではないだろうか。
そんな吉田の演技の上での魅力は、アドリブにもあると言っていいだろう。NHK朝ドラ『花子とアン』で、吉田は妻役の仲間由紀恵演じる蓮子と別れるシーンでおでこにキスをしたが、そのキスが台本にはなかったというのは有名な話。吉田演じる嘉納伝助のピュアな一面が伝わるアドリブシーンだった。
例えば『まれ』では、田中は塩職人の桶作元治を演じている。塩田に木桶で塩水を投げるシーンでは、田中のもりあがった足の筋肉が話題になったが、長年のダンスで鍛えた肉体はとても御年70には見えないものだった。
そんな田中の魅力にはまっているというのは、『まれ』で共演中の大泉洋だ。大泉は、5月16日に出演した『SmaSTATION!!』(テレビ朝日系)で、最近はまっているものとして田中泯のダンスをとりあげ、公演を観に行くと「1時間まったくしゃべらないけれど(ダンスから)目が離せない。中毒性がある。ダンスが神にささげるものだった時代があって、それに通じるものがある」と絶賛していた。
このように、渋い見た目だけでなく、豊かな人間性と長年の経験に裏打ちされる本物のすごみがあることが、このふたりに代表されるおっさん俳優たちが注目される所以ではないだろうか。彼らの持つ大人の男性の雰囲気は、エンタテインメントシーンで活躍するスターであるにも関わらず、その存在をより身近に感じさせる親近感がある。また、強面な目上の存在でありながら、堂々としたたたずまいのなかにふと見せるやさしさ、素の意外な一面は、頼れる存在としての信頼感や安心感とともに、愛おしさといった愛情を抱かせる。
年齢と経験を重ねてきたからこそにじみでる包容力とでもいうのだろうか。そんな温かさと頼りがいのある存在感が、今の時代に生きる若者たちを惹きつけているのかもしれない。